「愛と悲しみと、クライスラー」
※ライブストリーミング配信
【日時】
2023年2月27日(月) 開演 20:00
【会場】
カフェ・モンタージュ (京都)
【演奏】
ヴァイオリン:中村太地
ピアノ:佐藤卓史
【プログラム】
クライスラー:プニャーニの様式による前奏曲とアレグロ
クライスラー:美しきロスマリン
クライスラー:愛の悲しみ
クライスラー:愛の喜び
クライスラー:シンコペーション
クライスラー:ウィーン奇想曲
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト長調 op.78 「雨の歌」 (1879)
※アンコール
クライスラー:オールド・リフレイン
カフェ・モンタージュ主催のコンサートをオンライン配信で聴いた。
中村太地と佐藤卓史による、クライスラーの小品集およびブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番の演奏会である。
2人は以前にもクライスラーとブラームスの演奏動画をアップしており(その記事はこちら)、十八番なのだろう。
実際、中村太地はクライスラー国際コンクールやブラームス国際コンクールで入賞しているようである。
前半はクライスラーの小品がいくつか奏されたが、中でも私の好きな曲とその録音は
【プニャーニの様式による前奏曲とアレグロ】
●五嶋みどり(Vn) 1992年8月セッション盤(Apple Music/CD)
【ウィーン奇想曲】
●クライスラー(Vn) G.ファルケンシュタイン(Pf) 1910年5月13日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube)
●クライスラー(Vn) C.ラムソン(Pf) 1926年4月14日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube)
●メニューイン(Vn) M.ガゼール(Pf) 1936年2月22日セッション盤(NML/YouTube)
●クライスラー(Vn) ルップ(Pf) 1936年9月28日セッション盤(NML/Apple Music/YouTube)
●キュッヒル(Vn) プレヴィン(Pf) 1991年6月セッション盤(CD)
あたりである。
今回の中村太地の演奏は、五嶋みどりの洗練もクライスラーの華もなかったけれど、音が素直で、角張っておらず、丸みがあって聴きやすい。
ウィーン奇想曲など、引っ搔くような鋭い音がするキュッヒル盤よりも好き、という人もいるかもしれない(キュッヒルはそうした“ウィーンの辻ヴァイオリン弾き”風のところが良いのだが)。
後半のプログラムは、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番。
この曲で私の好きな録音は
●五嶋みどり(Vn) マクドナルド(Pf) 2004年4月13日ロンドンライヴ(動画) ※動画の抜粋はこちら
●S.ハチャトゥリアン(Vn) L.ハチャトゥリアン(Pf) 2012年7,8月セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3)
●イブラギモヴァ(Vn) ティベルギアン(Pf) 2018年5月9-11日セッション盤(CD、その記事はこちら)
あたりである。
そして、これらの名盤にも増して、2016年に聴いた五嶋みどりの実演が、忘れられない美しさだった(その記事はこちら)。
この曲は、できる限り繊細に、爽やかに、清涼に弾いてほしい。
今回の中村太地の演奏は、繊細さを突き詰めたというよりは素朴な歌が前面に出たもので、音程の甘さなど技巧面の難もあり私の好みとは違ったけれど、それでも先ほどのクライスラーと同様、丸みのある音が魅力だった。
ピアノの佐藤卓史は、いつもの彼らしく、優れた技巧に基づく安定した演奏を聴かせてくれた。
とはいえ彼も、細部の表現に全神経を集中させるというよりは、歌は素材に任せるといったタイプの人であり、その意味では中村太地との相性は決して悪くないように感じた。
(画像はこちらのページよりお借りしました)
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