佐藤卓史 京都公演 シューベルト 最後のワルツ D146 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

F.SCHUBERT VOL.21

「最後のワルツ」 F.シューベルト

※ライブストリーミング配信

 

【日時】

2022年3月29日(火) 開演 20:00

 

【会場】

カフェ・モンタージュ (京都)

 

【演奏】

ピアノ:佐藤卓史

 

【プログラム】

シューベルト:ドイツ舞曲 ホ長調 D135

シューベルト:ドイツ舞曲 嬰ハ長調 D139

シューベルト:20のワルツ D146 op.127「最後のワルツ」

 

シューベルト:エコセーズ ニ短調 D158

シューベルト:12のエコセーズ D781

シューベルト:エコセーズ ニ長調 D782

シューベルト:ドイツ舞曲 ニ長調 D975

シューベルト:16のドイツ舞曲と2つのエコセーズ D783 op.33

 

シューベルト:3つのドイツ舞曲 D971

シューベルト:3つのドイツ舞曲 D973

シューベルト:2つのドイツ舞曲 D974

シューベルト:2つのレントラー D980B

シューベルト:2つのドイツ舞曲 D841

シューベルト:ギャロップと8つのエコセーズ D735 op.49

 

 

 

 

 

カフェ・モンタージュ主催のコンサートをオンライン配信で聴いた。

佐藤卓史による、シューベルトのピアノ作品全曲シリーズのVol.21である。

ソロ・ピアノによるダンス音楽を並べたプログラム。

なお、このシューベルト全曲シリーズのこれまでの演奏会のうち、私が聴けたのは以下のものである。

 

→ 番外編 2017年 「ウィーンの夜会」

→ Vol.9 2017年 「人生の嵐」 w/川島基

→ Vol.12 2018年 「グランド・ソナタ」 w/中桐望

→ Vol.20 2021年 「大行進」 w/崎谷明弘

→ 番外編 2022年 「夜と夢」 w/安達真理

 

 

 

 

 

ドイツ舞曲、レントラー、ワルツは三拍子のダンスで、エコセーズ、ギャロップは二拍子のダンスである。

シューベルトは、こういうダンス音楽を弾きながら、仲間たちとワイワイガヤガヤ楽しんだのかもしれない。

 

 

シューベルトの死後に「最後のワルツ」と題され出版された曲集は、その前半10曲が1815年、シューベルト18歳頃の作とのこと。

19世紀に大いに流行した“ワルツ”というジャンルの楽曲として、現存する最初期のものの一つではないだろうか。

この頃のワルツは、まだ18世紀の“ドイツ舞曲”に近い、素朴なものだったことが分かるが、それでもシューベルトらしい、きらりと光る瞬間がそこここにある。

 

 

この曲が書かれた前年の1814年、シューベルトのいたウィーンの街では、“会議は踊る、されど進まず”で有名なウィーン会議が開かれ、各国の貴賓たちによって連日のようにワルツが踊られた。

このときのワルツは、「美しく青きドナウ」のようなロマンティックなものを想像しがちだが、実際にはこの時代はもっと素朴なドイツ舞曲風のワルツだったであろうことが分かって、大変興味深い。

まだ18世紀の薫り残る当時のウィーンの宮廷や街並み、音楽風景に思いを馳せながら聴いた。

 

 

この後、ワルツはヴェーバー「舞踏への勧誘」(1819年)、シューベルト「感傷的なワルツ」(1823-25年)、ショパン「華麗なる大円舞曲」(1833年)と、少しずつロマン性を増していくことになる。

J.シュトラウス2世「美しく青きドナウ」にいたっては、1867年とずっと後年の作である。

そんなワルツの元祖ともいうべき曲を聴けた、貴重な機会だった。

佐藤卓史による演奏は、素朴なダンス音楽にはもったいないくらいの質の高さである。

 

 

 

 

 

なお、今回の演奏は3月30日の23時59分まで有料配信されているため、興味のある方はぜひ。 → こちら

 

 

 

(画像はこちらのページよりお借りしました)

 

 


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