(クルレンツィスの新譜 ベートーヴェン 交響曲第7番) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

好きな指揮者、テオドール・クルレンツィスの新譜が発売された。

オーケストラはムジカエテルナ、曲目はベートーヴェンの交響曲第7番(Apple MusicCD)。

詳細は以下の通り。

 

 

 

 

 

 

 


テオドール・クルレンツィスとムジカエテルナによる
ベートーヴェンの交響曲シリーズ第二弾がついに発売決定。
交響曲第7番を2021年4月にリリース!


2020年、ベートーヴェン生誕250周年という記念の年の春にリリースされたテオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナという注目のアーティストたちによるベートーヴェン:交響曲第5番『運命』は、世界中で大きな話題となりました。本来、それに続いてその年の秋には第二弾となる交響曲第7番のリリースも同時にアナウンスされていましたが、世界各地を覆ったCOVID-19禍による影響もあったのか、残念ながら発売日は延期となっておりました。
 しかし、ついにその時はやってきたのです。
 「舞踏の神化」とワーグナーをして言わしめた交響曲第7番が、ついに2021年4月のリリースが決定いたしました。
 2018年8月にウィーンのコンツェルトハウスで録音されたこのアルバムは、ロシアを拠点に活動する音楽家たちが作曲家の生誕250周年を記念して行った意義深いアルバムであり、2020年4月にリリースされた交響曲第5番『運命』と同様に重要なものになることは間違いありません。ドイツ「Die Welt」紙は「21世紀の第5番」と評し、イギリスの「The Times」紙は「この曲のスコアに組み込まれた革命的な力を新たに示唆するために見せかけの親しみやすさを吹き飛ばす、扇動的な記録のひとつ」と評しています。
 クルレンツィスは、本アルバムのブックレットの中でベートーヴェンの交響曲第7番について「かつて書かれた交響曲の中で最も完璧な形式をそなえています」と語り、その構造的な完成度を、古典建築の頂点であるアテネの古典と比較しています。
 交響曲第7番の録音は、2021年4月9日(日本では4月7日)にCDとデジタルでリリースされる予定です。2021年クラシック界の最大の話題となることは間違いないでしょう。
 日本盤のみ高品質Blu-specCD2仕様。(メーカー資料より)

【収録情報】
● ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 Op.92


 ムジカエテルナ
 テオドール・クルレンツィス(指揮)

 録音時期:2018年8月
 録音場所:ウィーン、コンツェルトハウス
 録音方式:ステレオ(デジタル)

 

 

 

 

 

以上、HMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

ベートーヴェンの交響曲第7番で私の好きな録音は

 

●トスカニーニ指揮 ニューヨーク・フィル 1936年4月9、10日セッション盤(CD

●フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル 1950年1月18、19日セッション盤(NMLApple MusicCD

●C.クライバー指揮 バイエルン国立管 1982年5月3日ミュンヘンライヴ盤(NMLCD

●カラヤン指揮 ベルリン・フィル 1983年12月1-3、5日セッション盤(NMLApple MusicCD

●西本智実指揮 ロイヤル・フィル 2009年9月22日東京ライヴ盤(CD

 

あたりである。

いずれも、重々しい表現から最後の熱狂へ向けてじわりじわりと駆け抜けるような、熱量の高い演奏。

 

 

今回のクルレンツィス&ムジカエテルナの演奏は、これらに比べるとだいぶ風通しのよい軽快な演奏で、各楽器のあらゆる音型がはっきりと聴こえ、耳に心地よい。

また、上の各盤のような「苦悩から歓喜へ」といった最後の大爆発への志向、すなわち第1楽章でいうとコーダ、曲全体でいうと終楽章をピークとする熱狂は、ほとんどみられない。

終楽章も上の各盤に比べテンポが遅めで(トスカニーニとフルトヴェングラーは別だが)、むしろ第3楽章のほうが熱狂的であり、「第3楽章はPrestoだが終楽章はAllegroだよ」とでも言わんばかり。

このテンポなればこそ、主題の「タッタカタカタカ」の急速な音型も、曖昧になることなくくっきりと聴こえるのだろう。

 

 

この曲のイメージを洗い流すようなこの演奏、確かに新鮮だった。

ただ、清冽と熱狂とを完全に両立させていた第5番「運命」の演奏(その記事はこちら)と比べると、肩透かしとは言わないが、よりアグレッシブなバージョンでの演奏も聴いてみたかったのも否めない。

交響曲第7番の以前のライヴ録音(その記事はこちら)、今はもう聴けないけれど、もう少し勢いがあったような気もするのだが、どうだっただろうか(ただし完成度は今回のセッション録音のほうが上)。

とはいえ名演であることに異論はなく、しばらくこのさわやかな第7番を楽しみたい。

 

 

 

 

 

なお、クルレンツィスのこれまでのCDについての記事はこちら。

 

クルレンツィスの新譜 チャイコフスキー「悲愴」

クルレンツィスの新譜 マーラー 交響曲第6番

クルレンツィスの新譜 ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」

テオドール・クルレンツィス&ナデージダ・パヴロヴァの新譜映像 ヴェルディ 「椿姫」第3幕抜粋

 

 


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