大阪フィルハーモニー交響楽団 第518回定期 ルスティオーニ マーラー 交響曲第4番 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

大阪フィルハーモニー交響楽団

第518回定期演奏会

 

【日時】

2018年5月29日(火) 開演 19:00 (開場 18:00)

 

【会場】

フェスティバルホール (大阪)

 

【演奏】
指揮:ダニエーレ・ルスティオーニ
ソプラノ:小林沙羅

管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団

(コンサートマスター:崔文洙)

 

【プログラム】
メンデルスゾーン:交響曲 第4番 イ長調 作品90 「イタリア」
マーラー:交響曲 第4番 ト長調

 

 

 

 

 

大フィルの定期演奏会を聴きに行った。

指揮はイタリアの俊英、ダニエーレ・ルスティオーニ。

一昨年にPACのオケの定期で彼の演奏を聴いたが(そのときの記事はこちら)、ぴょんぴょん飛び跳ねながらの活気あふれるロッシーニ「泥棒かささぎ」やヴェルディ「運命の力」序曲が、何とも印象的だった。

 

 

今回は、イタリアはイタリアでもロッシーニやヴェルディではなく、メンデルスゾーンの交響曲「イタリア」である。

地中海風の開放的な明るさとは違った、もう少しおとなしめの丁寧な演奏だった。

速めだけれども速すぎない、余裕のあるテンポ。

明るいけれど羽目を外しすぎず、気品も感じられ、メンデルスゾーンの様式によく合っていた。

管楽器の扱いも粗さがなく、丁寧で良い。

 

 

後半のマーラー交響曲第4番も、昨年聴いたガッティ&ロイヤル・コンセルトヘボウ管の同曲演奏に負けない出来だった(そのときの記事はこちら)。

もちろん、コンセルトヘボウ管はさすがにうまかったし、第3楽章終盤の弱音部分での、上質なミルクのようにまろやかで繊細な味わいは、格別のものではあった。

それにはさすがにかなわないとはいえ、大フィルもかなりがんばっていたし、オケの技量として不足を感じなかった。

ルスティオーニも、ここで管を際立たせるとか、ここで弦を歌わせるといった、やりたい音楽の方向性を分かりやすく実現できていたように思う。

全体に、ガッティほどねっとりせず、爽やかにサクサク進みながらも、情感にも欠けない、そんな演奏だった。

 

 

ただし、贅沢を言うと。

私は録音としては、メンデルスゾーンの「イタリア」では

 

●アバド指揮ベルリン・フィル 1995年12月31日ベルリンライヴ盤(Apple MusicCD

●ガーディナー指揮 ウィーン・フィル 1997年11月セッション盤(NMLApple MusicCD

●ネゼ=セガン指揮 ヨーロッパ室内管 2016年2月20-22日パリライヴ盤(NMLApple MusicCD

 

あたりが好きで、またマーラーの交響曲第4番では

 

●ブーレーズ指揮クリーヴランド管 1998年4月セッション盤(NMLApple MusicCD

●ネゼ=セガン指揮グラン・モントリオール・メトロポリタン管 2003年10月2、3日セッション盤(NMLApple MusicCD

●アバド指揮ベルリン・フィル 2005年5月ベルリンライヴ盤(NMLApple MusicCD

 

あたりが好きなのだが、今回のルスティオーニの演奏からこれらの盤に匹敵するほどの特別な魅力を感じたかというと、そこまではいかなかった。

それは、上記コンセルトヘボウ管の演奏会のときのガッティも同じである。

良い演奏なのだが、アバド特有の「軽み」だとか、ネゼ=セガンの神経質なまでの細部へのこだわりといったような、どこか突き抜けた個性がほしくなってしまう瞬間があるのも確かである。

一昨年のロッシーニやヴェルディのときは、快活なアレグロを文句なく楽しめたのだが。

 

 

とはいえ、ルスティオーニが一流の音楽家の一人であることは、今回の演奏会でも改めて感じた。

まだ若いし、今後の活躍にも期待したい。

 

 

(画像はこちらのページからお借りしました)

 

 


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