松本和将 漆原啓子 上里はな子 臼木麻弥 大島純 京都公演 ドヴォルザーク ピアノ五重奏曲 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

「ピアノ五重奏」

 

【日時】
2018年5月30日(水) 開演 20:00 (開場 19:30)

 

【会場】

カフェ・モンタージュ (京都)

 

【演奏】

ピアノ:松本和将
ヴァイオリン:漆原啓子 *
ヴァイオリン:上里はな子 *
ヴィオラ:臼木麻弥 *
チェロ:大島純

 

【プログラム】
ドヴォルザーク:テルツェット ハ長調 作品74 (1887) *
ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲 第2番 イ長調 作品81 (1887)

 

 

 

 

 

カフェ・モンタージュのコンサートを聴きに行った。

なんと、松本和将・上里はな子と、漆原啓子との共演である。

それも、大ホールではなく、カフェ・モンタージュという小さな空間で。

なぜこのような公演が実現したのか、多くは語られなかったが、当人たちにとっても特別な機会となったようである。

 

 

漆原啓子というと、私は一昨年の4月にびわ湖ホールで、篠﨑靖男&日本センチュリー響とのブラームスのヴァイオリン協奏曲を聴いたのが印象に残っている。

また、録音も色々あるけれど、私が特に好きなのは

 

●モーツァルト:ピアノ四重奏曲第2番変ホ長調 マイボローダ(Pf) 漆原啓子(Vn) 鈴木康浩(Va) 向山佳絵子(Vc) 2015年浜コンライヴ盤(CD)

 

の名盤で、これは何度も聴いている。

コンクールでこのような豪華メンバーによる室内楽が実現するのは、何とも嬉しいことである。

 

 

ともあれ今回、改めて実演で聴いて、漆原啓子と上里はな子は音楽性が似ている、と感じた。

2人とも、音の質は分厚めで豊潤であり、かつ音程やフレージングの丁寧さなど、演奏の完成度がかなり高い。

違うところというと、上里はな子の音からは「ドイツの香り」がするのに対し、漆原啓子の音にはそれはなく、その分どこかぴんと張ったような存在感を持っていることだろうか。

 

 

前半の曲、ドヴォルザークの「テルツェット」は、聴き慣れない曲だし、大変な名曲かというとそれほどではないような気もしたが、漆原啓子と上里はな子の妙技を聴き比べるにはうってつけの曲だった。

※なお、「テルツェット」では上里はな子が、次のピアノ五重奏曲では漆原啓子が第1ヴァイオリンを担当した。

 

 

後半の曲は、ドヴォルザークのピアノ五重奏曲。

この曲で私の好きな録音は、

 

●フアンチ(Pf) ブレンターノ四重奏団 2013年クライバーンコンクールライヴ(動画

●プレスラー(Pf) エベーヌ四重奏団 2013年11月7日パリライヴ盤(NMLApple MusicCD・DVD

 

あたりである。

ぴちぴちと跳びはねるように活きのいいフアンチに、しっとりと優美なプレスラー。

今回の松本和将らの演奏は、これら2つの録音とは全く違った、重厚で壮大なアプローチだった。

まるで、ブラームスのピアノ五重奏曲第2番、とでも言いたくなるような演奏。

ブラームスがドヴォルザークを高く評価していたことが思い出された。

第1楽章の再現部の、すさまじいほどのスケール感(特に、松本和将の弾くピアノの低音部の圧倒的な迫力!)。

終楽章も軽快というよりはずっしりと充実していて、まるで先日彼らの演奏で聴いたベートーヴェンの「大公」トリオの終楽章のようだった(そのときの記事はこちら)。

5人の演奏者の音楽性もぴったりとそろっていて、何とも聴きごたえのある演奏会だった。

 

 

 

終演後の写真(撮影許可は得ています)。

彼らの共演は今後も計画されているような口ぶりのトークもあったので、大いに期待したい。

 

 


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