兵庫芸術文化センター管弦楽団 第89回定期演奏会 ルスティオーニ ドヴォルザーク交響曲第8番ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

兵庫芸術文化センター管弦楽団 2015-16シーズン
第89回定期演奏会

【日時】

2016年6月19日(日) 開演 15:00


【会場】

芸術文化センター KOBELCO大ホール


【出演者】

指揮 ダニエーレ・ルスティオーニ
ヴァイオリン 川久保賜紀
管弦楽 兵庫芸術文化センター管弦楽団


【プログラム】

ロッシーニ:歌劇「泥棒かささぎ」序曲
コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
ドヴォルザーク:交響曲 第8番 ト長調 op.88


●ソリストアンコール曲
  マスネ:タイスの瞑想曲
●PACアンコール曲
  ヴェルディ:歌劇 「運命の力」 序曲






兵庫県立芸術文化センター管弦楽団(PAC)の定期演奏会である。

ルスティオーニは30歳代のとても若い指揮者。

若々しくぴょんぴょん飛び跳ねながら指揮していた。

お国モノのロッシーニ、ヴェルディが特に良かった。

昨年、佐渡裕の指揮でPACの第九を聴いたが、そのときには感じられなかった艶が、特に弦楽器から感じられた(例えば、「運命の力」の主題提示後のヴァイオリンによる美しいパッセージ!)。

そして、金管の扱い。

繊細な弱音のハーモニーから、快活なフォルテまで、様々なダイナミックレンジを自在に扱い、それぞれが美しく響いて決して汚くならない。

日本のオーケストラにもかかわらず(外国人演奏者も多く在籍しているが)、「あぁイタリア!」と言いたくなるような、まさしく地中海の快活さを思わせる素晴らしい演奏だった。


コルンゴルトの協奏曲は、あまりなじみのない曲だが、コルンゴルト特有の甘く晴れやかな和声が存分に楽しめる演奏だった。

ここでもルスティオーニの音はとても柔らかで明るい。

川久保賜紀の演奏もなかなか良かった。

彼女は、ヴィブラートをややたっぷりとかけた音を出す印象で、この曲によく合っていた。

そして、アンコールの「タイスの瞑想曲」。

もはや通俗的ともいえる名曲だが、彼女はこの曲をきわめて表情豊かに、かつ繊細に表現した。

主要主題が再現する部分での繊細なピアニッシモは、この聴き慣れた曲はこうも美しかったか、と再認識させてくれた。


メイン・プロのドヴォルザークも素晴らしかったが、この曲についてはもう少ししっとりとした素朴な味わいを出してほしかった気もする。

それでも、良い演奏であることには違いなかった。

それにつけても、彼のロッシーニ、ヴェルディ。

繊細かつ陽気で、何度でも聴きたくなる演奏だった。

一度、彼の手になるイタリア・オペラ全曲も聴いてみたくなった。