(手が小さくてもピアノの上手な人) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

前回の記事で好きなピアニスト、中川真耶加の演奏動画を載せたが(その記事はこちら)、そのついでにもう一つ、彼女の別の演奏動画を紹介したい。

 

 

 

 

スタインウェイサロン東京で撮影されたもので、曲目は

 

ラフマニノフ:ヴォカリーズ (断片)

シューマン:幻想小曲集 op.12 より 第5曲 「夜に」 (断片)

シューマン:幻想小曲集 op.12 より 第4曲 「気まぐれ」 (断片)

ショパン:バラード 第4番 op.52 (断片)

 

である。

いずれもごく短い断片しか収録されていないが、「夜に」とバラード第4番については、上から鍵盤を見下ろすようなアングル(つまり、奏者の目線)で撮影されているのが、面白い。

特に、ピアノを弾く人にとっては、大変参考になるのではないだろうか。

例えば、バラード第4番。

彼女の手は、決して大きくないようである。

そのため、和音を弾くときには、だいたいいつも親指から小指まで、めいっぱい手を広げて弾いている。

なので、右手の和音のうち、メロディとなる一番高い音は、たいてい小指で弾くことになる(幅の小さな和音のときには、薬指や中指で弾いていることもあるが)。

メロディを全て同じ小指で弾くと、音同士を滑らかにつなげることはできず、ぶつぶつ切れるはずなのに(ペダルでつなげているとはいえ、ペダルも万能ではないはず)、彼女の右手のメロディラインはムラなくつながって、美しい歌として聴こえてくる。

すごい。

音の出し方に細心の注意を払っているのだろうか。

 

 

また、彼女の左手も、やはり大きいとはいえないのに、幅の広いアルペッジョ(分散和音)を弾くときでも縦横無尽に自由に動き回り、無理がない。

ガタガタしてしまうことなく、あくまで滑らかである。

一番低い♭ソの音に跳ぶときでも、彼女の左手はあまりに軽やかに素早く動くので余裕で届き、小指でなく薬指で弾いているほど。

手の小さなピアノ弾きの方にとっては、お手本になる動画ではないだろうか?

できれば、バラード第4番を全曲通して、このアングルで見てみたいものである。

 

 

ところで、この動画の演奏は、コーダの直前で終わっているけれど、ここでの彼女の演奏は、だいぶおとなしい。

実演で聴いたこの部分の彼女の演奏は、奈落の底に突き落とされるような、すさまじい迫力があった(そのときの記事はこちら)。

やっぱり、こういった動画撮影のときの演奏と、聴衆を前にした本番での演奏とでは、弾き手のテンションも全く違うのだろう。

あのときの演奏、もう一度生で聴いてみたいものである。

 

 

なお、前々回の記事で彼女の名古屋公演について書いたが(記事はこちら)、それと同様のプログラムの演奏会が、明日2月10日に東京で開催予定とのこと(他のブロガーの方よりお教えいただいた)。

 

2018年2月10日(土) 開演 14:00 (開場 13:30)

会場 「SALON PLEYEL」
・バッハ:パルティータ 第2番 BWV826
・モーツァルト:ピアノソナタ 第4番
・ショパン:24のプレリュード

 

お近くの方はぜひ(詳細はこちらのページ)。

 

 

最後に、同じくスタインウェイサロン東京で撮影された、務川慧悟の演奏動画も載せておきたい。

チャイコフスキー/プレトニョフの組曲「くるみ割り人形」からの断片である。

 

 

 

 

こちらも素晴らしい演奏で、できれば全曲を聴いてみたいものである。

 

 


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