(クレア・フアンチの新譜 シューベルト/カバレフスキー ピアノと管弦楽のための幻想曲へ短調) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

好きなピアニスト、クレア・フアンチ(Claire Huangci)の新譜が発売されたので紹介したい(NMLApple MusicCD)。

詳細は下記のとおり。

 

 

 

 

 

ヴァインベルグ:ヴァイオリン協奏曲、カバレフスキー:幻想曲、チェロ協奏曲
ベンヤミン・シュミット、クレア・ファンチ、ハリエット・クリーフ
コルネリウス・マイスター&ウィーン放送交響楽団


20世紀のロシアでほぼ同時期に活躍した2人の作曲家ヴァインベルグとカバレフスキー。しかし「ソビエト連邦公認の作曲家」とみなされたカバレフスキーと、抑圧され苦難を強いられ続けたヴァインベルグの生涯は全く対照的なものでした。その作品も「常にわかりやすく大衆的な音楽」を書いていたカバレフスキーに比べ、ヴァインベルグの作品は、前衛音楽を統制するための“ジダーノフ批判”の対象となるほど、抽象的で難解なものとされていました。最近になってヴァインベルグの作品は復興の兆しを見せており、毎年多くのアルバムがリリースされますが、カバレフスキーの作品は、現在では子供のための作品以外はあまり演奏されることがありません。
 このアルバムでは2人の作曲家の協奏曲に焦点を当て、ベンヤミン・シュミットをはじめとした独奏者による演奏を収録しています。叩きつけるように激しいヴァインベルグのヴァイオリン協奏曲、おどけた雰囲気ではじまるカバレフスキーのチェロ協奏曲。この2曲には各々の作曲家の特徴が良く表れています。珍しいのはカバレフスキーがシューベルトの幻想曲を「ピアノ協奏曲風」にアレンジした作品。まるで映画音楽のようにロマンティックな世界を表出しています。(輸入元情報)

【収録情報】
1. ヴァインベルグ:ヴァイオリン協奏曲 Op.67 (1959)
2. カバレフスキー:ピアノとオーケストラのための幻想曲ヘ短調(シューベルト:幻想曲 D.940による) (1961)
3. カバレフスキー:チェロ協奏曲第1番 Op.49 (1948-1949)


 ベンヤミン・シュミット(ヴァイオリン:1)
 クレア・ファンチ(ピアノ:2)
 ハリエット・クリーフ(チェロ:3)
 ウィーン放送交響楽団
 コルネリウス・マイスター(指揮)

 録音時期:2016年11月5-7日、26日
 録音場所:ORF Radio Kulturhaus
 録音方式:ステレオ(デジタル)

 

 

 

 

 

なお、上記はHMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

なかなかにマニアックな曲である(笑)。

シューベルトのピアノ連弾曲、幻想曲D940を、カバレフスキーがピアノとオーケストラのために編曲したもの。

シューベルトによる原曲は、例えばマーティン・ヘルムヘンとユリア・フィッシャー(ヴァイオリンでなくピアノ!)による録音など素晴らしい演奏だが、そこで聴かれるようなシューベルトならではの傷つきやすい繊細さは、カバレフスキーの手にかかるとかなり弱められ、もっと華やかなものに変わっている。

その華やかさが、ここではむしろフアンチによく合っている気がする。

あまりじめじめしていない、カラッとした華やかで美しいロマン性が、ここにはある。

フアンチ一流の音楽的センスはここでも健在で、何でもないようなフレーズであっても、全てが生き生きとして聴こえてくる。

シューベルトの「孤独」よりも、むしろ「幸福」のほうを感じる。

原曲がお好きな方にも、そうでない方にも、ぜひお聴きいただけたらと思う。

 

 

それ以外には、ヴァインベルクのヴァイオリン協奏曲と、カバレフスキーのチェロ協奏曲第1番が収録されている。

演奏もまずまず悪くない(特にチェロのほう)。

何ともマニアックだが、お勧めしたい一枚である。

 

 

なお、フアンチには2018年3月にも新譜の発売が予定されている。

下記のものである。

 

 

 

 

 

ベートーヴェン秘曲作品集

ベートーヴェンの比較的珍しい作品を3曲収録。ヴァイオリン協奏曲をベートーヴェン自身がクレメンティの勧めに従って編曲し『ピアノ協奏曲』には、ヴァイオリン協奏曲の時にはなかった長大なカデンツァが付されていることで知られます。『騎士のバレエ』は作品番号なしの小さな曲集。恐らく20歳頃に書かれた作品であろうと推測されており、どの曲も単純ながら、楽しさと明るさに満ちています。『ウェリントンの勝利』は1813年6月21日、スペインにおけるビトリアの戦いで初代ウェリントン侯爵アーサー・ウェルズリー率いるイギリス軍が、フランス軍に勝利したことを受け、ベートーヴェンがウェリントン侯を讃えるために作った曲。本来は当時開発された自動楽器「パンハルモニコン」のために書かれましたが、後に大編成の管弦楽のために編曲。実演では大砲が用いられるなど、チャイコフスキーの『1812年』にも匹敵する迫力を持つ作品です。
 ピアノ協奏曲では若手ピアニスト、フアンチが流麗な演奏を披露、グリフィスも新鮮でエネルギッシュなアプローチで作品を構築しています。(輸入元情報)

【収録情報】
ベートーヴェン:
1. ピアノ協奏曲ニ長調 Op.61a
(原曲:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.61)
2. 騎士のバレエ WoO1(行進曲/ドイツの歌/狩りの歌/ドイツの歌/愛の歌「ロマンス」/ドイツの歌/戦いのダンス/ドイツの歌/酒の歌/ドイツの歌/ドイツのダンス/コーダ)
3. 交響曲『ウェリントンの勝利またはビトリアの戦い(戦争交響曲)』(第1部:戦い/第2部:勝利の交響曲)

 クレア・フアンチ(ピアノ:3)
 フランクフルト・ブランデンブルク州立管弦楽団
 ハワード・グリフィス(指揮)

 録音時期:2017年8月21-23日
 録音場所:Konzerthalle“Carl Philipp Emanuel Bach”Frankfurt
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

 

 

 

 

 

なお、上記はHMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

これまたマニアックな選曲で、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲のピアノ編曲版である。

ベートーヴェン自身による編曲で、シンプルながらまったりしたピアノが楽しめる曲。

フアンチが弾いたら、ともすると単調になりやすいこの曲が、生き生きとした輝きを帯びるのではないだろうか。

Apple Musicでは第3楽章だけ1分半ほど試聴できるのだが、やはり素晴らしい演奏となっている。

発売が大変楽しみである。

 

 


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