2017年ブゾーニ国際ピアノコンクール セミファイナル 第4日 および結果発表 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

イタリアのボルツァーノで、ブゾーニ国際ピアノコンクールが開催されている。

8月25日は、セミファイナルの第4日。

ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。

ちなみに、これまでの記事はこちら。

 

セミファイナル 第1日

セミファイナル 第2日

セミファイナル 第3日

 

 

Ivan Krpan (28/05/1997 Croatia)

 

F. BUSONI: Sonatina seconda BV 259

J. BRAHMS: Variationen über ein Thema von R. Schumann op. 9

F. LISZT: Après une Lecture de Dante: Fantasia quasi Sonata

 

ブラームスの「シューマンの主題による変奏曲」、音はやや硬めだが、ブラームスらしい情緒はそれなりに出ているし、テクニックも安定している。

リストの「ダンテを読んで」、こちらもやはり音は硬いが、力強く充実した演奏。

第2日のEunSeong Kimの同曲演奏ほど卓越した表現力は聴かれないけれど。

 

 

Julian Trevelyan (29/10/1998 United Kingdom)

 

J. HAYDN: Sonata HOB. XVI:36 in sol maggiore / G-dur

M. RAVEL: Gaspard de la nuit

F. BUSONI: Toccata (Preludio-Fantasia-Ciaccona) BV 287

 

先日のルービンシュタインコンクールにも出場していた彼。

ハイドンのソナタ第36番 ト長調、さわやかな表現が印象的。

ラヴェルの「夜のガスパール」、こちらもさわやかな美音が聴かれる。

しかし、テクニック的には、第3日のRiyadに比べるとはるかに良いのだけれど、それでも甘さがある。

スカルボの同音連打など、かなり怪しい。

選曲が惜しい(他の曲だったならもっと印象がよかったかも)。

 

 

Julius Asal (12/02/1997 Germany)

 

B. BARTÓK: Suite op. 14

F. SCHUBERT: Sonata D. 664

F. BUSONI: Indianisches Tagebuch 1 BV 267

 

バルトークの「ピアノのための組曲」、なかなかにキレがあって良い。

シューベルトのソナタ第13番 イ長調 D664、自然な情趣の発露があって味わい深い。

第2日のYuka Morishigeの同曲演奏よりも表情豊かな印象である。

第3楽章は、(モントリオールコンクールでのAlbert Cano Smitのような)しっとりした歌に溢れた演奏が私は好きなのだが、ここでのAsalの演奏はよりからっとした仕上げになっており、適度な遊び心もあって、これはこれで良い。

 

 

Yui Fushiki (26/01/1991 Japan)

 

BACH/BUSONI: Choralvorspiel n. 3 Nun komm‘ der Heiden Heiland BWV 659

F. BUSONI: 10 variazioni su un preludio di Chopin BV 213a

R. SCHUMANN: Carnaval op. 9

 

バッハ/ブゾーニの「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」、丁寧な表現で、まずまずの味わい。

シューマンの「謝肉祭」、こちらも丁寧な演奏で、細部がおざなりになることなく、好感が持てる。

ただ、先日のモントリオールコンクールでのKociubanによる溌剌とした同曲演奏のような、個性的なアプローチに比べると、ややおとなしいか。

 

 

Franck Laurent-Grandpré (19/10/1991 France)

 

WAGNER/LISZT: Liebestod

W. A. MOZART: Sonata n. 12 K 332

F. BUSONI: Sonatina In diem nativitatis Christi MCMXVII n. 4 BV 274

M. RAVEL: La valse

 

ヴァーグナー/リストの「イゾルデの愛の死」、この曲ならではのロマン性をよく表現した演奏。

モーツァルトのソナタ第12番 ヘ長調 K.332、こちらもうまいはうまいのだが、少しバタバタしているというか、激しすぎてモーツァルトらしい優美さ、典雅さが損なわれている感あり。

ラヴェルのラ・ヴァルス、最高度に洗練された演奏とまでは言えないし、粗さもあるが、概ね良好にコントロールされ、かつ華やかさもある佳演。

 

 

そんなわけで、第4日の演奏者のうち、私がソロファイナルに進んでほしいと思うのは

 

Ivan Krpan (28/05/1997 Croatia)

Julius Asal (12/02/1997 Germany)

Franck Laurent-Grandpré (19/10/1991 France)

 

あたりである。

次点で、Julian Trevelyanあたりか。

 

第1~3日と合わせて、ソロファイナルに進める人数である12人を選ぶとすると

 

第1日

Giorgio Trione Bartoli (24/05/1996 Italy)

Łukasz Krupinski (05/06/1992 Poland)

第2日

Stefano Andreatta (25/07/1991 Italy)

Anna Geniushene (01/01/1991 Russian Federation)

Madoka Fukami (16/07/1988 Japan)

EunSeong Kim (07/03/1997 Korea, Republic of)

第3日

Xingyu Lu (17/06/1999 China)

Arisa Onoda (16/01/1996 Japan)

Jaeyeon Won (22/02/1988 Korea, Republic of)

第4日

Ivan Krpan (28/05/1997 Croatia)

Julius Asal (12/02/1997 Germany)

Franck Laurent-Grandpré (19/10/1991 France)

 

となる。

 

 

さて、実際の結果は、下記のようになった。

 

【ソロファイナル進出者】

第1日

Larry Weng (25/09/1987 China)

Dmytro Choni (31/08/1993 Ukraine)

第2日

HanGon Rhyu (12/06/1999 Korea, Republic of)

Anna Geniushene (01/01/1991 Russian Federation) ○

Daniele Paolillo (14/09/1991 Italy)

Madoka Fukami (16/07/1988 Japan) ○

EunSeong Kim (07/03/1997 Korea, Republic of) ○

Leonora Armellini (25/06/1992 Italy)

第3日

Xingyu Lu (17/06/1999 China) ○

Jaeyeon Won (22/02/1988 Korea, Republic of) ○

第4日

Ivan Krpan (28/05/1997 Croatia) ○

Julius Asal (12/02/1997 Germany) ○

 

なお、○をつけたのは私がソロファイナルに残ってほしかった12人の中の人である。

 

12人中7人。

私としては、けっこう意外な結果だった。

特に、Andreattaが落ちることになろうとは!

優勝候補とさえ思っていたのだが。

こうなると、もう一人の優勝候補(と私が思っていた)EunSeong Kimが第1位となる可能性が高くなった気がする。

今後もどうなるか読めないけれど。

 

 


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