イタリアのボルツァーノで、ブゾーニ国際ピアノコンクールが開催されている。
8月25日は、セミファイナルの第4日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、これまでの記事はこちら。
Ivan Krpan (28/05/1997 Croatia)
F. BUSONI: Sonatina seconda BV 259
J. BRAHMS: Variationen über ein Thema von R. Schumann op. 9
F. LISZT: Après une Lecture de Dante: Fantasia quasi Sonata
ブラームスの「シューマンの主題による変奏曲」、音はやや硬めだが、ブラームスらしい情緒はそれなりに出ているし、テクニックも安定している。
リストの「ダンテを読んで」、こちらもやはり音は硬いが、力強く充実した演奏。
第2日のEunSeong Kimの同曲演奏ほど卓越した表現力は聴かれないけれど。
Julian Trevelyan (29/10/1998 United Kingdom)
J. HAYDN: Sonata HOB. XVI:36 in sol maggiore / G-dur
M. RAVEL: Gaspard de la nuit
F. BUSONI: Toccata (Preludio-Fantasia-Ciaccona) BV 287
先日のルービンシュタインコンクールにも出場していた彼。
ハイドンのソナタ第36番 ト長調、さわやかな表現が印象的。
ラヴェルの「夜のガスパール」、こちらもさわやかな美音が聴かれる。
しかし、テクニック的には、第3日のRiyadに比べるとはるかに良いのだけれど、それでも甘さがある。
スカルボの同音連打など、かなり怪しい。
選曲が惜しい(他の曲だったならもっと印象がよかったかも)。
Julius Asal (12/02/1997 Germany)
B. BARTÓK: Suite op. 14
F. SCHUBERT: Sonata D. 664
F. BUSONI: Indianisches Tagebuch 1 BV 267
バルトークの「ピアノのための組曲」、なかなかにキレがあって良い。
シューベルトのソナタ第13番 イ長調 D664、自然な情趣の発露があって味わい深い。
第2日のYuka Morishigeの同曲演奏よりも表情豊かな印象である。
第3楽章は、(モントリオールコンクールでのAlbert Cano Smitのような)しっとりした歌に溢れた演奏が私は好きなのだが、ここでのAsalの演奏はよりからっとした仕上げになっており、適度な遊び心もあって、これはこれで良い。
Yui Fushiki (26/01/1991 Japan)
BACH/BUSONI: Choralvorspiel n. 3 Nun komm‘ der Heiden Heiland BWV 659
F. BUSONI: 10 variazioni su un preludio di Chopin BV 213a
R. SCHUMANN: Carnaval op. 9
バッハ/ブゾーニの「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」、丁寧な表現で、まずまずの味わい。
シューマンの「謝肉祭」、こちらも丁寧な演奏で、細部がおざなりになることなく、好感が持てる。
ただ、先日のモントリオールコンクールでのKociubanによる溌剌とした同曲演奏のような、個性的なアプローチに比べると、ややおとなしいか。
Franck Laurent-Grandpré (19/10/1991 France)
WAGNER/LISZT: Liebestod
W. A. MOZART: Sonata n. 12 K 332
F. BUSONI: Sonatina In diem nativitatis Christi MCMXVII n. 4 BV 274
M. RAVEL: La valse
ヴァーグナー/リストの「イゾルデの愛の死」、この曲ならではのロマン性をよく表現した演奏。
モーツァルトのソナタ第12番 ヘ長調 K.332、こちらもうまいはうまいのだが、少しバタバタしているというか、激しすぎてモーツァルトらしい優美さ、典雅さが損なわれている感あり。
ラヴェルのラ・ヴァルス、最高度に洗練された演奏とまでは言えないし、粗さもあるが、概ね良好にコントロールされ、かつ華やかさもある佳演。
そんなわけで、第4日の演奏者のうち、私がソロファイナルに進んでほしいと思うのは
Ivan Krpan (28/05/1997 Croatia)
Julius Asal (12/02/1997 Germany)
Franck Laurent-Grandpré (19/10/1991 France)
あたりである。
次点で、Julian Trevelyanあたりか。
第1~3日と合わせて、ソロファイナルに進める人数である12人を選ぶとすると
第1日
Giorgio Trione Bartoli (24/05/1996 Italy)
Łukasz Krupinski (05/06/1992 Poland)
第2日
Stefano Andreatta (25/07/1991 Italy)
Anna Geniushene (01/01/1991 Russian Federation)
Madoka Fukami (16/07/1988 Japan)
EunSeong Kim (07/03/1997 Korea, Republic of)
第3日
Xingyu Lu (17/06/1999 China)
Arisa Onoda (16/01/1996 Japan)
Jaeyeon Won (22/02/1988 Korea, Republic of)
第4日
Ivan Krpan (28/05/1997 Croatia)
Julius Asal (12/02/1997 Germany)
Franck Laurent-Grandpré (19/10/1991 France)
となる。
さて、実際の結果は、下記のようになった。
【ソロファイナル進出者】
第1日
Larry Weng (25/09/1987 China)
Dmytro Choni (31/08/1993 Ukraine)
第2日
HanGon Rhyu (12/06/1999 Korea, Republic of)
Anna Geniushene (01/01/1991 Russian Federation) ○
Daniele Paolillo (14/09/1991 Italy)
Madoka Fukami (16/07/1988 Japan) ○
EunSeong Kim (07/03/1997 Korea, Republic of) ○
Leonora Armellini (25/06/1992 Italy)
第3日
Xingyu Lu (17/06/1999 China) ○
Jaeyeon Won (22/02/1988 Korea, Republic of) ○
第4日
Ivan Krpan (28/05/1997 Croatia) ○
Julius Asal (12/02/1997 Germany) ○
なお、○をつけたのは私がソロファイナルに残ってほしかった12人の中の人である。
12人中7人。
私としては、けっこう意外な結果だった。
特に、Andreattaが落ちることになろうとは!
優勝候補とさえ思っていたのだが。
こうなると、もう一人の優勝候補(と私が思っていた)EunSeong Kimが第1位となる可能性が高くなった気がする。
今後もどうなるか読めないけれど。
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