イタリアのボルツァーノで、ブゾーニ国際ピアノコンクールが始まった。
8月22日は、セミファイナルの第1日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
Florian Caroubi (04/11/1989 France)
F. CHOPIN: Barcarolle op. 60
P. I. ČAJKOVSKIJ/CAROUBI: Sinfonia n. 6 Pathétique (Finale)
L. JANÁČEK: Sonata "I. X. 1905"
F. BUSONI: Élégie n. 2 All’Italia! In modo napolitano BV 249
B. BARTÓK: Danza rumena n. 2 op. 8a
ショパンの舟歌、たまにリズムがコケるところがある。
トップバッターで緊張しているか。
音色もやや硬めだが、ライヴ配信の音信の問題もあるかもしれない。
ただ、精緻な演奏というわけではないが、味わいもある。
チャイコフスキーの「悲愴」の終楽章や、ヤナーチェクのピアノ・ソナタ「1905年10月1日」も、雰囲気があってなかなか良い。
ヤナーチェクは、先日のルービンシュタインコンクールやクライバーンコンクールでChen Hanも弾いていたが、技巧的に卓越していながらもこういった地味な曲ではやや一本調子だったChenに比べ、Caroubiのほうはそこはかとない「味」が感じられる。
バルトークのルーマニア舞曲第2番も悪くない。
Giorgio Trione Bartoli (24/05/1996 Italy)
F. CHOPIN: Impromptu n. 2 op. 36
F. BUSONI: Élégie n. 3 Meine Seele bangt und hofft zu dir
K. SZYMANOWSKI: Variazioni su un tema polacco op. 10
M. RAVEL: Gaspard de la nuit: Scarbo
先ほどのCaroubiに比べると、表現に緻密さが感じられる。
音のコントロールもしっかりとなされており、粗くならない。
音の硬さもCaroubiの演奏ほど感じない。
ショパンの即興曲第2番、シマノフスキの「ポーランド民謡の主題による変奏曲」、いずれも緻密かつ音楽的な表現が聴かれ、良い。
ラヴェルの「スカルボ」では、まずまず安定したテクニックが聴かれるものの、連打などややもたつく感じがあり、トップクラスの技巧とまではいえないのが惜しいところではある。
ただ、この曲らしい雰囲気はそれなりに出ている。
Larry Weng (25/09/1987 China)
J. BRAHMS: Vier Balladen op. 10
M. RAVEL: Sonatine
F. BUSONI: 10 variazioni su un preludio di Chopin BV 213a
ブラームスの「4つのバラード」、音はやや硬めだが、ブラームスらしい充実感はそれなりにある。
ラヴェルの「ソナチネ」、技巧的には安定しているが、ヴィルトゥオーゾ風すぎるというか、表現はやや大味で、やや弾き飛ばしているような印象。
第1楽章最後のリタルダンドなど、やりすぎの感あり、逆に終楽章の最後は急ぎすぎている。
ラヴェルらしい繊細さがもっと欲しい。
最後のブゾーニはあまり知らない曲だが、ラヴェルよりは、ヴィルトゥオーゾ風な彼の表現に合っているように思った。
Hyoung Lok Choi (18/11/1993 Korea, Republic of)
J. HAYDN: Sonata HOB. XVI:31 n. 46
F. BUSONI: 10 variazioni su un preludio di Chopin BV 213a
F. CHOPIN: Ballade n. 4 op. 52
STRAVINSKIJ/AGOSTI: L'uccello di fuoco
ハイドンのソナタ第31番は、やや生硬な感じがしなくはないが、爽やかではある。
ショパンのバラード第4番は、自然な表現であり悪くはないのだが、ところどころ音が硬めである。
また、表現がとりわけ詩的だとか、技巧にとりわけキレがあるとかいうこともなく、これといった特長があまりない。
ストラヴィンスキー/アゴスティの「火の鳥」も、まずまずといったところか。
Dmytro Choni (31/08/1993 Ukraine)
F. BUSONI: Élégies Berceuse, Turandots Frauengemach BV 249
SCHUBERT/LISZT: Aufenthalt, Erlkönig
C. DEBUSSY: Images (I)
A. GINASTERA: Suite de danzas criollas op. 15
全体に音が硬め。
シューベルト/リストの「住処」と「魔王」、よく弾けてはいるが、少しゴツゴツしている。
もう少しシューベルトらしい「詩」が欲しいところ。
ドビュッシーの「映像」第1集、思ったより繊細に弾けているが、速くなってくるとやや弾き飛ばす風があるし、音も硬くなる。
ヒナステラの「クレオール風舞曲の組曲」、これは活気があって彼には比較的合っている感じではあるが、感心したというほどではない。
Łukasz Krupinski (05/06/1992 Poland)
A. SKRJABIN: Sonata Fantasie n. 2 op. 19
F. BUSONI: Préludes (I-VI) op. 37 BV 181
F. CHOPIN: Barcarolle op. 60
F. CHOPIN: Grande valse brillante op. 18
スクリャービンのソナタ第2番、ちょっと崩しがちな弾き方は私の好みではないが、音の美しさは今日の中では上のほう。
ショパンの舟歌、味があって悪くない。
ショパンのワルツ第1番、こちらも味付けがなかなかのもの。
連打部分も概ね安定している。
そんなわけで、第1日の演奏者のうち、私がソロファイナルに進んでほしいと思うのは
Giorgio Trione Bartoli (24/05/1996 Italy)
Łukasz Krupinski (05/06/1992 Poland)
あたりである。
次点で、トップバッターのFlorian Caroubiあたりか。
セミファイナル第1日は、全体に「当たり」のピアニストが少ない気がした。
ライヴ配信の音質の問題もある?
第2日以降に期待したい。
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