2017年ブゾーニ国際ピアノコンクール セミファイナル 第2日 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

イタリアのボルツァーノで、ブゾーニ国際ピアノコンクールが開催されている。

8月23日は、セミファイナルの第2日。

ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。

ちなみに、これまでの記事はこちら。

 

セミファイナル 第1日

 

 

Stefano Andreatta (25/07/1991 Italy)

 

M. CLEMENTI: Sonata n. 5 op. 25

F. BUSONI: 9 variazioni su un preludio di Chopin BV 213a

F. CHOPIN: Sonata n. 2 op. 35

 

先日のモントリオールコンクールで3位だった彼。

モントリオールのときにも感心したものだが、相変わらずうまい。

技巧的にかなり安定しているし、細部の音までよくコントロールされている。

音楽的には冷静沈着、かつ過剰にならない適度な抒情性がある。

クレメンティのソナタ第5番、ショパンのソナタ第2番、いずれも素晴らしい。

彼がこのセミファイナルで落ちることはまずなさそう。

 

 

Yuka Morishige (11/05/1988 Japan)

 

F. BUSONI: Indianisches Tagebuch 1 BV 267

F. SCHUBERT: Sonata D 664

S. PROKOFIEV: Sonata n. 4 op. 29

 

シューベルトのソナタ第13番 D664、丁寧に弾けており、各パッセージは滑らか。

ただ、先日のモントリオールコンクールでのAlbert Cano Smitの同曲演奏などと比べると、やや淡々としている感じもある。

彼ほどに美しい歌が聴かれたならば、なお良かったか。

プロコフィエフのソナタ第4番、こちらも丁寧な感じの好演。

キレッキレというほどではないが、このくらいの端正なアプローチも、このソナタには悪くない。

 

 

HanGon Rhyu (12/06/1999 Korea, Republic of)

 

F. BUSONI: 10 variazioni su un preludio di Chopin BV 213a

F. CHOPIN: Barcarolle op. 60

J. BRAHMS: Variationen über ein Thema von Paganini op. 35 (I)

J. BRAHMS: Variationen über ein Thema von Paganini op. 35 (II)

 

ショパンの舟歌、歌わせ方が堂に入っておりなかなか良い。

ブラームスのパガニーニ変奏曲、なかなかうまく弾けている。

ただ、ところどころ苦しそうな箇所はあり、キレッキレというわけではないのが惜しい。

また、タッチが軽めで、個人的にはこの曲ではもっとしっかりとした重めの打鍵が欲しいところ。

まぁ総合的にはそれほど悪くはないけれど。

 

 

Anna Geniushene (01/01/1991 Russian Federation)

 

R. SCHUMANN: Drei Phantasiestücke op. 111

F. BUSONI: Élégies Berceuse, Turandots Frauengemach BV 249

S. RACHMANINOV: Études-tableaux op. 33

 

シューマンの「3つの幻想的小品」op.111、ラフマニノフの「音の絵」op.33、ともに丁寧さと情熱とを兼ね備えている印象。

テクニックもなかなかのもの。

ざっくり言うと、奔放で情熱的な女流ピアニストKociubanを少しおとなしく、かつ丁寧にしたような感じか。

なかなかの好印象。

 

 

Daniele Paolillo (14/09/1991 Italy)

 

F. BUSONI: Fantasia nach J. S. Bach BV 253

R. SCHUMANN: Sonata op. 11

 

シューマンのソナタ第1番op.11、弾けていないわけではないのだが、ところどころ少しもたついており、リズムに乗り切れていない。

また、ペダルに頼りすぎずスタッカートをもう少し活かして、この曲特有の躍動感をもっと出してほしい。

テンポの変化のさせ方もやや恣意的な印象(弾きやすい箇所で少し速くなりがちか)。

 

 

Madoka Fukami (16/07/1988 Japan)

 

J. S. BACH: Präludium und Fuge n. 6 BWV 851

C. DEBUSSY: Douze Études (II)

F. BUSONI: Élégie n. 1 Nach der Wendung (Recueillement)

F. BUSONI: Élégie n. 4 Turandots Frauengemach

S. PROKOFIEV: Sonata n. 3 op. 28

 

先日のクライバーンコンクールでも、ヒナステラのソナタ第1番など、なかなかの名演を聴かせてくれた彼女。

バッハの平均律第1巻より第6番ニ短調、少し淡々としてはいるが、ほのかな表情付けというか、フレージングの妙は感じられ、悪くない。

ドビュッシーの「12の練習曲」より第2部、およびプロコフィエフのソナタ第3番、ともになかなかのキレ味。

前者はドビュッシーらしい詩情が、後者はプロコフィエフらしい勢いがよく表現されている。

 

 

EunSeong Kim (07/03/1997 Korea, Republic of)

 

C. FRANCK: Prélude, Choral et Fugue FWV 21

F. BUSONI: Toccata: Preludio, Fantasia, Ciaccona BV 287

F. LISZT: Après une Lecture de Dante: Fantasia quasi Sonata

 

フランクの「前奏曲、コラールとフーガ」、雰囲気のよく出た演奏。

この曲も、上記と同じ、モントリオールコンクールでのAlbert Cano Smitのみずみずしい同曲演奏が忘れがたいのだが、今回のKimの場合はよりデモーニッシュな面を押し出したダイナミックな演奏で、こういうアプローチも良い。

リストの「ダンテを読んで」も迫力に満ちており、大変良い。

テクニックのキレも相当なもの。

2009年浜コンでのチョ・ソンジンの同曲演奏にも劣らない。

チョ・ソンジンの演奏よりも、音楽的な勢いは上かもしれない。

少し表情付けが濃すぎるかな、と思われる箇所もないではないが、まぁ十分に許容範囲だろう。

彼もAndreatta同様、ソロファイナルに進む確率が高いと思われる。

 

 

Leonora Armellini (25/06/1992 Italy)

 

F. BUSONI: Sonatina Seconda

F. CHOPIN: Ballade n. 4 op. 52

F. LISZT: Après une Lecture de Dante: Fantasia quasi Sonata

 

ショパンのバラード第4番、丁寧に弾いていて悪くないが、とりわけ幻想的だったり、技巧的に卓越した演奏だったりするわけではなく、これといった特長には欠けるか。

リストの「ダンテを読んで」も丁寧だし、決して力感にも欠けるわけではないのだが、先ほどKimの迫力ある名演を聴いたばかりなので、どうしても霞みがちになってしまうのはやむを得ない。

 

 

そんなわけで、第2日の演奏者のうち、私がソロファイナルに進んでほしいと思うのは

 

Stefano Andreatta (25/07/1991 Italy)

Anna Geniushene (01/01/1991 Russian Federation)

Madoka Fukami (16/07/1988 Japan)

EunSeong Kim (07/03/1997 Korea, Republic of)

 

あたりである。

次点で、Yuka MorishigeやLeonora Armelliniあたりか。

 

 


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