イタリアのボルツァーノで、ブゾーニ国際ピアノコンクールが開催されている。
8月24日は、セミファイナルの第3日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、これまでの記事はこちら。
Xingyu Lu (17/06/1999 China)
F. BUSONI: 10 variazioni su un preludio di Chopin BV 213a
F. CHOPIN: Étude n. 1-12 op. 25
ショパンのエチュードop.25全曲をコンクールで弾くというのは、意外と珍しい気がする。
そういう選曲をするだけのことはあって、かなりよく弾けている。
技巧的な困難をほとんど感じさせない、余裕のある鮮やかな演奏である。
ただ、技巧的難しさが比較的少ない曲、例えば第1曲や第7曲などでは、むしろ淡々としすぎて面白みに欠けるきらいがある。
まだ若いからかもしれない。
Maddalena Giacopuzzi (31/05/1991 Italy)
J. S. BACH: Toccata BWV 911
F. CHOPIN: Sonata n. 3 op. 58
F. BUSONI: 10 variazioni su un preludio di Chopin BV 213a
バッハのトッカータBWV911、きわめて緻密な演奏というほどではないが、それなりにしっかりと弾けている。
ショパンのソナタ第3番、悪くはないのだが、全体にリズムなどややdullな感じで、キレに欠ける(第2楽章も軽やかさがなく、速く弾こうとがんばりすぎている感じになってしまっている)。
メロディの歌わせ方も、端正ではあるが、うまいなぁと感心するほどではない。
Arisa Onoda (16/01/1996 Japan)
W. A. MOZART: Rondò K 511
F. BUSONI: 10 variazioni su un preludio di Chopin BV 213a
M. RAVEL: Miroirs
モーツァルトのロンドK.511、途中で暗譜が飛んでしまったのが痛かったが、どうにか持ち直してがんばった。
ラヴェルの「鏡」、こちらはなかなか聴かせる演奏。
私のラヴェルにおける好みからすると、やや表情付けがされすぎている気はしたが、そのぶん普段退屈しがちな「海原の小舟」や「鐘の谷」なども面白く聴けた。
そして「道化師の朝の歌」は、かなりの急速テンポで生き生きと奏された。
右手のトリル風の急速な三連符や、同音連打の部分は、もう少し明瞭に聴こえてきたらなお良かったけれど。
Jaeyeon Won (22/02/1988 Korea, Republic of)
R. SCHUMANN: Humoreske op. 20
F. BUSONI: Élégie n. 2 All’Italia! In modo napolitano BV 249
B. BARTÓK: Szabadban Sz. 81 BB. 89
シューマンのフモレスケ、少し崩すような感じの弾き方は私の好みとは少し異なるが、それでも技巧的に安定しているし、表情の付け方も堂に入っている。
バルトークの「戸外にて」、こちらもなかなかキレがあって良い。
Nicolas Riyad (15/01/1989 Syrian Arab Republic)
A. SCARLATTI: Sonata K 466, Sonata K 455
J. FRANÇAIX: Nocturne e Scherzo
F. BUSONI: Élégie n. 2 All’Italia! In modo napolitano BV 249
M. RAVEL: Gaspard de la nuit
スカルラッティのソナタ へ短調 K.466とソナタ ト長調 K.455、素朴な味わいはあるのだが、急速な同音連打など、テクニック面で難あり。
フランセの夜想曲とスケルツォ、知らない曲なので何とも言えないが、まずまずの出来といったところか。
ラヴェルの「夜のガスパール」、テンポが遅めであるにもかかわらず、タッチコントロールがいまいち。
独特の味わいがなくはないかもしれないが、悪い言い方をすると、まるでまだ練習途中のような演奏。
そんなわけで、第3日の演奏者のうち、私がソロファイナルに進んでほしいと思うのは
Xingyu Lu (17/06/1999 China)
Arisa Onoda (16/01/1996 Japan)
Jaeyeon Won (22/02/1988 Korea, Republic of)
あたりである。
Onodaは途中で暗譜が飛んだのが、どう評価されるか。
少なくともGiacopuzziやRiyadよりはうまかったと思うし、できれば次に進んでほしいのだが。
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