2017年ブゾーニ国際ピアノコンクール セミファイナル 第3日 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

イタリアのボルツァーノで、ブゾーニ国際ピアノコンクールが開催されている。

8月24日は、セミファイナルの第3日。

ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。

ちなみに、これまでの記事はこちら。

 

セミファイナル 第1日

セミファイナル 第2日

 

 

Xingyu Lu (17/06/1999 China)

 

F. BUSONI: 10 variazioni su un preludio di Chopin BV 213a

F. CHOPIN: Étude n. 1-12 op. 25

 

ショパンのエチュードop.25全曲をコンクールで弾くというのは、意外と珍しい気がする。

そういう選曲をするだけのことはあって、かなりよく弾けている。

技巧的な困難をほとんど感じさせない、余裕のある鮮やかな演奏である。

ただ、技巧的難しさが比較的少ない曲、例えば第1曲や第7曲などでは、むしろ淡々としすぎて面白みに欠けるきらいがある。

まだ若いからかもしれない。

 

 

Maddalena Giacopuzzi (31/05/1991 Italy)

 

J. S. BACH: Toccata BWV 911

F. CHOPIN: Sonata n. 3 op. 58

F. BUSONI: 10 variazioni su un preludio di Chopin BV 213a

 

バッハのトッカータBWV911、きわめて緻密な演奏というほどではないが、それなりにしっかりと弾けている。

ショパンのソナタ第3番、悪くはないのだが、全体にリズムなどややdullな感じで、キレに欠ける(第2楽章も軽やかさがなく、速く弾こうとがんばりすぎている感じになってしまっている)。

メロディの歌わせ方も、端正ではあるが、うまいなぁと感心するほどではない。

 

 

Arisa Onoda (16/01/1996 Japan)

 

W. A. MOZART: Rondò K 511

F. BUSONI: 10 variazioni su un preludio di Chopin BV 213a

M. RAVEL: Miroirs

 

モーツァルトのロンドK.511、途中で暗譜が飛んでしまったのが痛かったが、どうにか持ち直してがんばった。

ラヴェルの「鏡」、こちらはなかなか聴かせる演奏。

私のラヴェルにおける好みからすると、やや表情付けがされすぎている気はしたが、そのぶん普段退屈しがちな「海原の小舟」や「鐘の谷」なども面白く聴けた。

そして「道化師の朝の歌」は、かなりの急速テンポで生き生きと奏された。

右手のトリル風の急速な三連符や、同音連打の部分は、もう少し明瞭に聴こえてきたらなお良かったけれど。

 

 

Jaeyeon Won (22/02/1988 Korea, Republic of)

 

R. SCHUMANN: Humoreske op. 20

F. BUSONI: Élégie n. 2 All’Italia! In modo napolitano BV 249

B. BARTÓK: Szabadban Sz. 81 BB. 89

 

シューマンのフモレスケ、少し崩すような感じの弾き方は私の好みとは少し異なるが、それでも技巧的に安定しているし、表情の付け方も堂に入っている。

バルトークの「戸外にて」、こちらもなかなかキレがあって良い。

 

 

Nicolas Riyad (15/01/1989 Syrian Arab Republic)

 

A. SCARLATTI: Sonata K 466, Sonata K 455

J. FRANÇAIX: Nocturne e Scherzo

F. BUSONI: Élégie n. 2 All’Italia! In modo napolitano BV 249

M. RAVEL: Gaspard de la nuit

 

スカルラッティのソナタ へ短調 K.466とソナタ ト長調 K.455、素朴な味わいはあるのだが、急速な同音連打など、テクニック面で難あり。

フランセの夜想曲とスケルツォ、知らない曲なので何とも言えないが、まずまずの出来といったところか。

ラヴェルの「夜のガスパール」、テンポが遅めであるにもかかわらず、タッチコントロールがいまいち。

独特の味わいがなくはないかもしれないが、悪い言い方をすると、まるでまだ練習途中のような演奏。

 

 

そんなわけで、第3日の演奏者のうち、私がソロファイナルに進んでほしいと思うのは

 

Xingyu Lu (17/06/1999 China)

Arisa Onoda (16/01/1996 Japan)

Jaeyeon Won (22/02/1988 Korea, Republic of)

 

あたりである。

Onodaは途中で暗譜が飛んだのが、どう評価されるか。

少なくともGiacopuzziやRiyadよりはうまかったと思うし、できれば次に進んでほしいのだが。

 

 


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