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リスクには考え方が、2通りあります。昨日はエルピーダのケースを取り上げましたが、エルピーダは取るべきリスク(リスクテイク)を取らなかったということです。

同時期にAIJ投資顧問による2000億円の年金資金が消失した事件が発生しました。本来資産・資金運用とは、リスクを避け(リスクヘッジ)、運用されるべきものですが、高利回りの運用を売りにしたAIJは、高利を実現するために、リスクテイクしてしまったわけです。

この消失した資金は、今後会社側が負担しなければならず、「年金倒産」もありうるとのことです。


経営判断とは、このように「取るべきリスク」、「回避すべきリスク」を常に見据えて梶をきる必要があるのです。

リスクテイクとリスクヘッジを取り違えた2企業の事件が同時に起こったのは、なんとも皮肉なことですが、「リスク」というものについて改めて考えさせられた
事件だったのではないでしょうか?
スキーは谷側重心、つまり自分の怖い方向に重心を傾けなくてはならないのですが、ビジネスも似ているということを先日記事にしました。

リスクを避けてばかりでは、スキーと同様、逆に失速してしまう・・エルピーダの破綻はあらためてそんなことを思わせるニュースでした。

負債総額4800億円、製造業では過去最大となったエルピーダの破綻の本質について考えてみます。
「円高」「価格下落」「震災」「タイの洪水」など確かに社長のコメント通りの要因はあったでしょうが、そもそもの原因は1990年代にさかのぼる必要があります。

エルピーダは、もともと需要の少ない大型コンピュータ向けの半導体製造を得意としていたのですが、ウィンドウズの登場により、PCの急速な普及は確実視されていたにもかかわらず、生産増による価格下落を恐れ、この分野への投資を控えてしまったのです。
この時点でスキーでたとえるなら
山側重心、守りの姿勢に入ってしまったわけです。

一方韓国企業(サムスン電子など)は、こうした動きを見越して市況が悪化している時でさえ、大型投資を続けて
今日のポジションを築き上げました。
韓国企業は、スキーでたとえるなら
谷側重心をつらぬいたわけです。

ですから、この時点ですでに勝負はついていたのです。また、役所(経産省)がビジネスに首をつっこんだことも、もうひとつの大きな原因でしょう。エルピーダ救済のために公的資金をつぎ込んで、今回280億円の国民負担となるそうですが、この責任は徹底して究明すべきでしょう。一企業を国が救済するということは、マーケットの原理原則に反していますし、これは東電問題にもいえることです。

国が関与することにより、
経営側が緊張感を失う、これが最大の問題でしょう。自分の病気を自分で治そうとせず
ひとまかせにする、これではいくら高価な薬を使っても病気は治りません。



「あんぽん 孫正義伝」の中で、孫氏は次のようなことを述べています。

「人間が生涯で読めるページ数は、1日10ページとして、1年で3000ページ、10年で3万ページ、100年で30万ページになりますから、人間が1生涯で読めるのは、30万ページ程度です。その30万ページが、1円以下のメモリーチップの中に入る」

「30年後には,新聞の情報量に換算して、iPhone,iPadといった持ち運びできるディバイス1台に、3.5億年分の情報量が貯蔵できる時代がくる。30年後には紙の本、雑誌は100%なくなる」


確かに情報量という観点ではその通りですし、デジタルディバイスは文字の拡大もできますから、これからの高齢化社会では、よりハードも進化するのでしょう。また将来、新聞のように折りたたんで持ち運びできるようになるもしれません。
孫氏はEペーパーと表現しています。このEペーパーは、動画や音声も再生できる、そんなものがまもなく登場するでしょう。


しかし、紙には紙の良さもあります。紙の手触り、ページをめくる感覚、紙独特の匂い、やがて紙媒体は本当に消えていくのでしょうか?

皆さんはどう思いますか?



「あの頃は、豚の金玉もごちそうだった。養豚っていうのは、まず、子豚の段階で去勢しなくちゃならないんです。だから自分たちで豚の金玉を切り落としてね。それを七輪で焼いて食べる。これも絶品だ。正義も私と一緒に、豚の金玉をよく食べましたよ」(「焼肉仁」経営者の大竹仁鉄)

こんなエピソードから始まる本書は、あのソフトバンクのCMからは想像できない孫氏の壮絶な人生を描いています。

久々に刺激的な本に出会いました。

孫氏よりも、父親の起業家魂に惚れました。

孫氏自身も、インタビューの中でこう述べています。
「ええ、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの帝王学です。親父は僕が小さい頃から、何でも相談相手にしていましたからね。そんな実地教育を小さな頃から受けてきた僕からすれば、ハーバード・ビジネススクールも東大も、幼稚だし、低脳です。」

孫氏の父親は、サラ金、パチンコ屋、さらに喫茶店の経営も手がけたのですが、特に印象に残ったエピソードは
喫茶店の話。この喫茶店は立地も悪く、コーヒーを卸してもらうにも卸してもらえなかったのです。

そこでこの父親は、まだ小学生3年生くらいの孫氏に「お前は天才やろ。何かいいアイデアはないか?」と紙と
ボールペンを渡したら、孫氏は2,3分考えて「コーヒー何杯飲んでも無料」と書いて、コーヒーのイラストまで描きました。

そして父親は、その無料コーヒ券を何千枚と刷って、店の入り口に置くと、客がどんどん集まってきた。
客はコーヒーだけではなく、他のメニューのオーダーもするので、最初から黒字になったというものです。

この発想が、後のYahooと共同で通信事業に進出したとき、街頭で端末を無料で配布するというアイデアにつながっているということです。

孫正義伝というよりも、孫氏という人物がどのように形成されていったのか?むしろそのルーツをたどったビジネス教育論とも言える内容でした。


ビジネスで大成している人は、私の知る限り、間違いなく成功の裏に、壮絶な過酷な体験、生死をさまようような思い、どん底というものを知っています。

それが、
どんな逆境にもめげないパワーを生み出しているのです。

スキーは谷側重心、つまり自分の怖い方向に重心を傾けなくてはならないのですが、ビジネスも似ています。
リスクばかりを避けていては、ビジネスは成立しないのです。

あのFacebookの創始者、M・ザッカーバーグ氏も、「リスクを取らないことが、今後最大のリスクになる」と発言
してます。

「リスク」....ここにビジネスのヒントが凝縮されています。