「あの頃は、豚の金玉もごちそうだった。養豚っていうのは、まず、子豚の段階で去勢しなくちゃならないんです。だから自分たちで豚の金玉を切り落としてね。それを七輪で焼いて食べる。これも絶品だ。正義も私と一緒に、豚の金玉をよく食べましたよ」(「焼肉仁」経営者の大竹仁鉄)
こんなエピソードから始まる本書は、あのソフトバンクのCMからは想像できない孫氏の壮絶な人生を描いています。
久々に刺激的な本に出会いました。
孫氏よりも、父親の起業家魂に惚れました。
孫氏自身も、インタビューの中でこう述べています。
「ええ、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの帝王学です。親父は僕が小さい頃から、何でも相談相手にしていましたからね。そんな実地教育を小さな頃から受けてきた僕からすれば、ハーバード・ビジネススクールも東大も、幼稚だし、低脳です。」
孫氏の父親は、サラ金、パチンコ屋、さらに喫茶店の経営も手がけたのですが、特に印象に残ったエピソードは
喫茶店の話。この喫茶店は立地も悪く、コーヒーを卸してもらうにも卸してもらえなかったのです。
そこでこの父親は、まだ小学生3年生くらいの孫氏に「お前は天才やろ。何かいいアイデアはないか?」と紙と
ボールペンを渡したら、孫氏は2,3分考えて「コーヒー何杯飲んでも無料」と書いて、コーヒーのイラストまで描きました。
そして父親は、その無料コーヒ券を何千枚と刷って、店の入り口に置くと、客がどんどん集まってきた。
客はコーヒーだけではなく、他のメニューのオーダーもするので、最初から黒字になったというものです。
この発想が、後のYahooと共同で通信事業に進出したとき、街頭で端末を無料で配布するというアイデアにつながっているということです。
孫正義伝というよりも、孫氏という人物がどのように形成されていったのか?むしろそのルーツをたどったビジネス教育論とも言える内容でした。
ビジネスで大成している人は、私の知る限り、間違いなく成功の裏に、壮絶な過酷な体験、生死をさまようような思い、どん底というものを知っています。
それが、どんな逆境にもめげないパワーを生み出しているのです。
スキーは谷側重心、つまり自分の怖い方向に重心を傾けなくてはならないのですが、ビジネスも似ています。
リスクばかりを避けていては、ビジネスは成立しないのです。
あのFacebookの創始者、M・ザッカーバーグ氏も、「リスクを取らないことが、今後最大のリスクになる」と発言
してます。
「リスク」....ここにビジネスのヒントが凝縮されています。