在宅介護を成功させるための4つの答えは、しばらくして見つかりました。
1.今の私にできることはなんだろう?
まず、他人を嫌がらずに受け入れることを決めました。今の私からは想像できないかもしれませんが、他人から体を触られるのが本当に嫌いでした。今は何とも思いませんが、その頃は病院でバイタルをとられることすら嫌でした。
しかし、在宅介護を成功させるためには、他人の手を借りることが必要だと気付きました。自分のプライドやこだわりを捨て、他人の助けを受け入れることで、介護がスムーズに進むようになりました。
2.妻の介護負担をどうやって減らそうか?
次に、妻の介護負担を減らすために、ヘルパーさんを利用することにしました。先ずは、三大介護の一つである食事介助、ブランチ(朝食を兼ねた昼食)と夕食。メニュー決めは、私と妻、もしくは私とヘルパーさんで決めて、調理や食事介助はヘルパーさんにお願いし、直接的に妻の介護負担を軽減しました。
ヘルパーさんが入ることで、妻の精神的、肉体的、時間的な負担が少しずつ減っていきました。特に、ヘルパーさんといろいろと話すことが妻の気分転換になっていたようです。この経験から、さらにヘルパーさんを活用して妻の介護負担を減らそうと決めました。妻の負担が軽くなることで、家の中の雰囲気も少しずつ明るくなりました。
3.これ以上ALSが進行しないためにどうしたらいいのだろう?
次に、ALSの進行を遅らせるために、生活スタイルを単調にすることを決めました。具体的には、1年365日、毎日同じことをするようにしました。つまり、【昨日行ったことは今日もやる!】ということです。このアプローチは非常に効果的でした。今でも、この習慣を続けています。
生活のリズムが変わると、出来ていたことが出来なくなることが多いです。例えば、入院するまでは出来ていたのに、退院して家に戻ってきたら出来なくなったという話はよく聞きます。私も何度もこのような経験をしましたし、最近も同じ話を聞きました。この方法を続けることで、ALSの進行を止めることができています。
4.もし進行しても生活に困らないためにはどうしたらいいのだろう?
最後に、ALSが進行しても生活に困らないためには、先回りして対策を講じることを決めました。具体的には、ALSの進行を予測し、先に先に手を打つことにしました。これにより、これから自分の身に起きることをすべて想定内にすることができました。
だから、出来ていたことが出来なくなった時も、うろたえることなく、別のやり方に即切り替えて困らないようにしました。これを分かりやすく言うと、例えば、今まで飛行機で東京に行っていたのを新幹線に変更しただけなのです。
出来なくなったことを「出来なくなった」と悲観するより、別の方法に切り替えて「ザマアミロ」と思った方が気持ちいいでしょう!何が何でも目的を果たすと思えば、いろんな知恵が出てくるものです。
実際、その頃はわずかに動く指を使ってパソコンを操作していましたが、この頃から手が使えなくなったら足で操作すると決めていました。そして、どうやって足でパソコンを操作するのか?やり方もハッキリとイメージできていました。つまり、パソコンは絶対やるという目的は果たしたのです。
パソコンはALS患者にとって命綱のようなものだから。こういうふうに、ALSに対しては、喋れない問題も、動けない問題も、食べづらくなる問題も想定して対策を考えていました。
常に、ALSの進行を見据えて、次の一手を考えるようにしました。例えば、喋れない問題や動けない問題は、食事の時にヘルパーさんとのコミュニケーションを密にし、喋れない問題を解決して、食事の時に信頼関係を築くことで、ヘルパーさんは私の手足となって動いてくれるようなりました。これにより、動けない問題は大きく軽減できました。
その肝心な食事については、嚥下が難しくなる度に、私がポジショニングを変えたり、食べ物の形態を工夫したり、飲み込みやすいメニューを検討していました。こういう事は。常に私と妻、そしてヘルパーさんと一緒に考えました。3人で知恵を出し合えば何とかなるものです。
これにより、急な変化にも対応できるようになり、安心して生活を続けることができました。
在宅介護を成功させるためには、支援と対策は欠かせません。私が見つけた4つの答えは、他人の助けを受け入れること、ヘルパーさんの利用、生活スタイルの一定化、そして先回りして対策を講じることでした。
これらを実践することで、笑顔で過ごせる在宅生活を実現することができました。
写真は、歩くことが出来なくなり、腕も動きが悪くなってヘルパーさんに食事介助をお願いしてもらっていた時の私です。
自己紹介
ALS生活30年の会社経営者です。皆さんからゲンゾウさんと呼ばれています。
ALS患者の在宅の楽しさや、困らない生き方など書いています。書籍は下のURLをクリック。フォロー、お待ちしています!
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