ALSを発病すると、皆さん やがて体が動かなくなります。
これは間違いありません。 つまり一大事という事です。
これを僕なりに例えて言うと、竜巻や津波が発生して、患者とその家族に襲いかかって来るイメージに似ています。
そしてこの竜巻や津波は、誰も消滅させる事は出来ません。
また、止める事も出来ません。
そんな中、今、進行を遅らせる研究に尽力されて、色々出ていますが、進行を止める手立てがないので、早かれ遅かれ、必ず患者とその家族に襲いかかってきます。
さぁ、どうしましょう!
備えるしかありません!
備えをして困らないようにするしかありません。
※よく勘違いされますが、治療などは備えではありません。
今、備えを忘れて、すでに襲われて困っている患者・家族もいるでしょう!
もうすぐ襲われる患者・家族もいるでしょう!
中には、まだまだ大丈夫と思っている患者・家族もいるでしょう!
しかし、必ずこの患者・家族にも襲ってきます。
これがALSという奴です。
もし襲って来なければ『ALSではなかった』と安心してください。
しかし備えを忘れても、生きる方法はあります。
人工呼吸器をつけて生きる方法があります。
多分これを延命というのだと思います。
備えを忘れた延命は、例えて言うと、避難所で不自由な暮らしを強いられる生活に似ていると思います。
この不自由な暮らしを強いられる生活が、社会が持っているALSに対してのイメージではないでしょうか?
そういう中で、僕達は困らない生活を実現しました。
さらに、生活者として社会復帰も果たしました。
なぜでしょう?
答えは難しくありません。
それは、備えを固めたからです。
困らない生活を実現するために 誰よりも早く備えを固めたからです。
当時 僕達夫婦は、体が動かなくなる備えと、その後の生活をイメージして。
・僕達は何をすれば良いのだろう?
・周りの人達(支援者達)に依頼することは何だろう?
と、シッカリ地に足をつけて考え、自分達がする事と、周りの人に依頼することを明確にして、困らない生活を実現するために備えを固めました。
備えを考えるときは、誰の考えも入れずに夫婦だけで考えて備えました。
決して寝たきりの病人になるための備えではありません。
ここがポイントです!
僕が備えた目的は、体が動かなくなっても、声を失っても、人工呼吸器をつけても、それまで通りに。
1.食べて
2.飲んで
3.仕事をして
4.収入を得て
5.日常生活に困らないようにするためです。
つまり 体が動かなくなっても、それまでと同じ生活をするためです。
約20年前に、こんな事を考えて、そのために備えをしました。
そして、僕達はこの5項目を実現したのです。
エッ! ALSで、食べて・飲んで・仕事をして・収入を得て・日常生活に困らないようにしたって、そんな馬鹿な! 出来るはずがない!と思うでしょう!
これが先入観です。 固定観念です。
しかし僕達は実現しました。
だから僕達は、特別とか希と言われました。
多くの医療・介護関係者や患者・家族、患者会も、「出来るはずがない」という固定観念があるから、最初からこういう事を目指さないようです。
しかし最近は、分離手術をして、食べて・飲んでる人が増えてきました。
また、仕事をして、収入を得てる人も増えつつあります。
そして、日常生活を困らないようにするために、パーソナルアシスタント育成に取り組む動きがあります。
そうなのです!
出来るのです!
出来ることは、これから多くの患者さんが証明してくれるでしょう!
さて、話を戻しますが、僕達は20年前から備えをしていたので、呼吸器をつけて在宅生活をスタートさせた時は、以前と同じ生活が出来る生活環境と、パーソナルアシスタントがいる不自由しない支援体制は出来上がっていました。
もし備えがなかったら、完全に潰されていたと思います。
その後、落ち着いた時、今度は支援する側にまわって、様々な活動を行いながら、次は自由な生活を実現するためにセルフケアプランなどを作る備えを固め、課題に取り組んで解決しました。
こんな感じで、備えをして自分らしい生活を実現させましたが、ここまでで分かったことは、早く備えた分だけ早く自由になり、備えた量だけ、生活の自由度が増えるということが分かりました。
ちなみに僕は、25年経った今でも1年先、3年先、5年先の生活のために備えています。
たぶん僕は、馬鹿で臆病な人間だと思います。
だから『人よりも早く備えなければ!』と考えています。
ALSは、備えがなくては乗り越えられません。
しかし逆に、備えがあれば『もっと多くの人が乗り越えられるはずだ』と考えています。
この備えは、思い立った時が好機です!
手遅れなんて事はありません。
今からでも1年先、3年先、5年先の生活のために備える事は可能です!
先日も関東から来られたご夫婦に対して、備えの話しをしながら、不自由のない余裕の生活を見てもらいました。
あっ、笑いがある悠々自適な生活の空気感も味わってもらいました。
言葉や文字では伝わらない空気感を、ご夫婦で感じ『乗り越える』と決意されました。
僕達の中では『応援する人が増えたね』という感じです。
乗り越える仲間は、多ければ多いほどいい!
最近、人工呼吸器をつける予定の患者と、その家族が、備えを忘れている事が多いように感じたので書いてみました。
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