銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です

 

 

今回はNK細胞療法について

 

NK細胞療法は20年近く前に流行した時ほどの勢いはないですが、いまだに存在し、様々な名前となって行われています

 

ちょっとググっただけでこんな感じです

 

活性NK細胞療法

高活性化NK細胞療法

高度活性化NK細胞療法

高純度活性化NK細胞療法

ANK療法

 

NK細胞療法自体がNK細胞を活性化させて培養しているのですが、あえて「活性化」や「A(増幅する)」を付けなくても良いと思いますが、付けたほうが差別化ができるのか、、、しかも「高」まで付けて、、、

 

頭に何が付いていても、培養方法も大差はないですからね

 

培養方法といえば、NK細胞療法は血液を30-50ml採取して行うのですが、施設によってはアフェレーシス(透析みたいな機械)でリンパ球を回収し培養することがあります

 

どちらの方法が良いのかは分かりませんが、大学の臨床試験等でも普通に血液を採取して行っているので、わざわざアフェレーシスまでは必要ないと個人的には思います

 

 

本題に入ります

 

NK細胞療法は効果が期待できるのか?

 

 

様々なクリニックのHPを見ていると、NK細胞療法に関して、奏功したという症例報告はあるものの、比較試験などの臨床試験はほぼ見られませんでした

 

もしかすると、NK細胞療法は奏功する症例もあるけど、通常あまり効果が期待できないのかもしれません

 

なぜ、理論的にはがんを死滅させるNK細胞療法が効果が見られないのか?

 

 

答えはここにあるかもしれません

 

 

NK細胞はがん細胞のNKG2DLという目印を頼りにがん細胞を攻撃します

 

ところが、攻撃した時にこの目印をもらってしまい、そのため免疫細胞療法で投与した活性化NK細胞に攻撃されるようになることがあります(NKG2DLを纏ってしまうことを、ドレスを着ると表現し、ドレス現象と呼びます)

 

がん細胞だけでなく、同じ攻撃部隊だった自己のNK細胞の大量死が起こるため、治療効果が薄れると考えられています

実際、NK細胞療法で効果が見られなかった症例で、急速なNK細胞死が観察されているようです

 

こちらを克服しない限り、NK細胞療法は次のステージに行けないかなと

 

 

 

と思ったら、最近またNK細胞療法の研究が盛んになっていました

 

NK細胞がより働きやすくなる併用薬の研究が進んでいるようです

 

 

あとは、iPS細胞を用いて、がんを見つける特殊なアンテナを付けて培養する方法があり、治験も始まっています

 

 

明細胞型卵巣がんに多く発現するGPC3という目印があれば、治療効果が見られる可能性があるとのことです

 

 

あとは、CAR-T細胞療法の代わりに、NK細胞を使ったCAR-NK細胞療法というのも血液がんで治験が行われています

 

CAR-T細胞療法より副作用が軽いようです

 

 

あと、HER2陽性乳がんで使われるハーセプチンがNK細胞を活性化(ADCC活性)させるということで、治療効果を高める可能性があり、NK細胞療法+ハーセプチン投与を行っているクリニックもあります

 

ただ、ハーセプチンを併用したからと言って劇的に効果がUPするということはなさそうです

 

 

結論:いくら活性化させても、NK細胞単独の治療では効果を出すのは難しいと思います

(でもたまに奏功例はあるようです)

 

 

 

NK細胞療法については過去ブログも参照に

 

 

 

 

 

 

 

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