銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です。
さて、お待ちかねの?
NK細胞療法のメリットについて
樹状細胞療法やCTL療法、TIL療法など
T細胞を使った攻撃をする治療は
がん細胞が抗原を隠している場合には
上手く攻撃することができません
一方、NK細胞には自己と正常細胞以外の
すべての細胞(体には不要な細胞)を
見つけ次第攻撃するという特徴があり
抗原に関係なくがん細胞を死滅させます
また
T細胞は攻撃する際の足掛かりとして
まずがん細胞の表面にあるMHCという
分子にくっつく必要があります
(MHCはHLAと表現することもあります)
MHC分子が出ていないがん細胞に対して
T細胞は攻撃を仕掛けることができません
一方、NK細胞はMHC分子が無くても
がん細胞を直接攻撃することができます
攻撃力としてはT細胞の方が高いですが
T細胞には抗原やMHC分子がないと
がん細胞を攻撃できないという弱点があり
その弱点を補うのがNK細胞という訳です
ちなみに
MHC分子が存在するがん細胞に対しては
NK細胞は正常だと判断してしまい
攻撃することはできません
そうなると
NK細胞療法と樹状細胞療法やCTL療法を
併用してお互いの弱点を補い合う
のが理想的な免疫療法と言えます
樹状細胞療法を日本一やっていた某施設も
HPでそう言っていますね
でも、どこの施設のHPを見てみても
併用プランはなかなか無いんですよね…
免疫療法用に行った一回の血液採取で
両方の細胞を培養するのが難しい
というのが理由だと思います
あと、両方の治療をするとなると
金額が跳ね上がりますからね…
ところで、
NK細胞療法を日本一多く提供している
リンパ球バンクはHP上で
活性化したNK細胞(ANK細胞)は
がん細胞の表面にMHCがあっても
ANK細胞は攻撃できるので
T細胞療法は併用しなくて良い
と断言しています
それが間違いないのであれば
活性化NK細胞だけですべてが済み
他の免疫療法は不要だと言えますが…
効果が見られない人もいますので
そう簡単な話ではないのでしょうね
あと、
NK細胞療法を行う際には
分子標的薬を併用することで
より治療効果を高める
という方法があります
分子標的薬って標準治療薬だよね
免疫療法に標準治療を足すの?
と思われるかもしませんが
NK細胞は
・抗EGFR抗体
・抗CD20モノクローナル抗体
・抗Her2抗体
これらの抗体を認識すると
T細胞ががん抗原を認識するのと同じ感じです
攻撃力が増すことが分かっています
これを
抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性
といいます
って、難しいですよね…
うーんどう説明したものか…
こんな例えばどうでしょ
NK細胞を船、がん細胞を岸とします
NK細胞はがん細胞を攻撃する際に
沖合からでも攻撃することができます
抗体は船着き場のようなものです
岸に船着き場が付いていれば
船であるNK細胞は着岸した上で
がん細胞に対して近くからより強力な
攻撃を仕掛けることができます
これまで分かっている船着き場は
先の3種類だけです
もし岸にこれらの抗体(船着き場)を
取り付けることができれば
NK細胞療法がパワーアップします
具体的な薬剤名は
①抗EGFR抗体
セツキシマブ(商品名:アービタックス)
大腸がんで主に使われます
②抗CD20モノクローナル抗体
リツキシマブ(商品名:リツキサン)
B細胞リンパ腫などで使われます
③抗Her2抗体
トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)
乳がんや胃がんで使われます
病理検査でこれらの抗体が見つかり
上記の薬剤を使用中であれば
NK細胞療法がより効果を発揮する
可能性が高いと言えます
あとは
NK細胞はウイルスも攻撃するので
例えば下記のような
・EBウイルスー中咽頭がん
・B型C型肝炎ウイルスー肝臓がん
・HTLV-1ー成人T細胞性白血病(ATL)
ウイルスが原因で起こるがんには
より効果的な可能性があります
実際、
ANK療法が成人T細胞性白血病に著効した
という論文が出てきています
~リンパ球バンクHPより~
NK細胞療法は症例を選べば
効果的である可能性が高い
というのが結論です
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