銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です
自由診療で行われるがん免疫療法編は、なかなかの長編となりましたが、今回とあと2回ほどのまとめで終了です
NKT細胞療法編では
①でNKT細胞について
②で治療効果について
書いてきましたが、NKT細胞療法の特殊な治療法について今回は説明していきます
NKT細胞療法は、NKT細胞を活性化させる治療法なので活性化リンパ球療法に入ります
活性化リンパ球療法というとこれまで
LAK療法
CTL療法
TIL療法
αβT細胞療法
γδT細胞療法
NK療法
が登場しました
これらはいずれもリンパ球を培養して、活性化する+数を増やす、ことを目的としてきました
しかし、NKT細胞療法はNKT細胞を培養せずに代わりに樹状細胞を使います
NKT細胞の話なのに、なぜ樹状細胞が出てくるのでしょうか?
①で、NKT細胞は他の細胞を活性化するアジュバントの役割があると言いました
実はNKT細胞に期待されているのは、直接的ながん細胞への攻撃ではなく、体内のT細胞やNK細胞といった攻撃的リンパ球の活性化です
しかも、NKT細胞によるリンパ球の活性化は1年以上という長い期間続くとことが最近分かりました
(ちなみに、樹状細胞による活性化は抗原を渡したら速やかに消失します)
NKT細胞療法は
体内のNKT細胞を活性化
↓
攻撃的リンパ球が長期間活性化し、がん細胞を攻撃し続ける
という流れの治療法です
では、体内に存在するNKT細胞をどのような方法で活性化するのか?
ここで樹状細胞を使います
αガラクトシルセラミド(αGalCer)
*舌噛みそうな名前なので覚えなくてよい
という
NKT細胞だけを活性化させる物質があります
αGalCerを点滴などで体内に投与しても、NKT細胞は受け取ることができません
”樹状細胞から渡さないと受け取れない”という制約があるのです
NKT細胞療法のやり方は、一度、樹状細胞を体外に取り出してαGalCerと樹状細胞をともに培養し、樹状細胞を投与します
抗原がαGalCerに変わっただけの樹状細胞療法と言えますね
でも、NKT細胞療法って言った方が、かっこ良くて最新って感じがするのでNKT推しなのだろうと推測します
*個人の見解です
慶応大学病院でも医師主導治験で、NKT細胞療法を開始したようですね
こちらはアンビシオン社というベンチャー企業と提携するようです
理化学研究所(理研)が持っていたは、αGalCerの特許が切れてしまったので、利権、もとい理研の独占が終了し、NKT細胞療法を行うクリニックが今後は増えていくかもしれません