パン作りを通じて
野生の力を取り戻す
五感パン職人の
ジェニーです![]()
の続きです。
ミキサーに腕を巻き込まれる
事故を起こしてしまいました・・・
続く・・・
のまま放置になっちゃってごめんなさい。
今日の話はちょっと痛い話になります![]()
グロいかもしれないけど、
今後もう掘り返すことも無いだろうし
記念に書き留めさせてくださいね![]()
もう、13年ぐらい前の話です。
ジェニーが事故を起こしたのは、
早朝3時台![]()
3台のミキサーのうち、
一番小さい縦型ミキサーでした。
どこのパン屋にもあるやつ。
そのミキサーで、
ぎりぎり回せるぐらいの
少ない量の生地を捏ねていました。
忘れもしない、「セーグル・フリュイ」
ライ麦入りの生地にドライフルーツがたくさん入ったパン

800g仕込みぐらいの少量の生地に
最後にドライフルーツ類を加えて回し、
取り出すところでした。
生地が少量すぎると、
ミキサーのフックにうまくひっかからなくて
フルーツが綺麗に混ざっていなかった。
具が偏っていると分割、成形する専務に怒られるし、
ボールの中の生地を一度上下ひっくり返してから
もう少しだけ回そうか、
でも、仕込みの上司である工場長には
早く早くって怒られるから
混ざってなくても、もう上げちゃおうか
どっちの上司に忖度するか迷ったあげく
左手をボールに入れたまま、
右手でミキサーのスイッチを押していました。
ガチン
ってすごい音がして、
ミキサーはとまりました。
見たら、左手首がぱっくり割れていました。
一瞬白いのが見えて、これはヤバイと思いました![]()
(骨が見えてると思ったけど、白いのは脂肪でした
)
カードを持ったままの右手で手首を押さえたまま、
「大丈夫?」って聞かれて
「やばい。やばいやばいやばい」
としか答えられませんでした。
いざという時の語彙力ってこんなもんなんですね。。。
一瞬「これで寝れる。。。
」
という考えがよぎりましたけど。
忙しく働いていたフロアの一同が固まる中、
入社したばかり、ジェニーよりちょっと年上のイクタ君が、
まだ使っていなかった真っ白な白衣とタオルを貸してくれた。
あの時、私に近づいてくれたの、
イクタ君だけだったな。
誰も頼りになる人がいなかったので、
自分で頑張るしかなく、
イクタ君に頼んで肘の上を縛ってもらい、
動かすのが怖かったけど、
勇気を出して
よいしょっと腕を持ち上げた。
心臓より上に。
出血多量にならないように
カードを持った右手を離すのが怖かったけど、
イクタ君が上から白衣で包んでくれて
なんとか外せた。
実は、結果から言うと
そんな大げさな怪我ではありませんでした![]()
でも、その時はぽたぽたと血が滴って、
コンクリートの床に血溜まりが出来ていて
大きな怪我なんてしたことなかったジェニーは
どれぐらいビビればいいのかよくわからなかったのです![]()
工場長の指示でパートのおじさんが救急車を呼んでくれて
二階から外まで自分で歩いて行きました![]()
外はまだ暗かった。
更衣室から私のコートを持ってきてくれたのは
誰だったかな。
4月だったはずなんだけど、
真冬のコートでした。
そういえば、
今年の冬にその時のコート、断捨離したな。
生まれて初めての救急車は
一人で乗りました。
救急隊の人は優しかった![]()
血圧がちょっと低いかなって心配してくれたから
血圧はいつも低いんですって頑張って答えた。
連絡するご家族はって聞かれたけど、
心の中で「猫が一匹・・・」と答えました。
せっかく仕事を任せてもらったのに
期待に応えられなかったな、
社長に申し訳ないなって思ったら
ちょっと涙が出ました![]()
時間が時間だけに、
なかなか受け入れてくれる病院がなく、
どこだか知らない所まで運ばれました。
救急車からは、ベッドで下ろされたのかな。
その後は歩いて移動して、
おじさんのお医者さんが、
裂けた皮膚を縫い合わせてくれました。
なぜか、
こんな機会は滅多にないから
しっかり見ておかなくちゃ、と思い、
縫われている手首をじっと見ていました。
なんか、ひと針ひと針止めていくような縫い方だった。
途中、涙がぽろりとこぼれて
おばさんの看護師さんがびっくりして
「痛い?」って心配してくれたけど
そういえば最初から最後まで
手首はこれっぽっちも痛くなかった。
なんで泣いたのかは、忘れてしまいました。
20針で私の皮膚は繋がって
治療代を請求されたけど、
お金を持っていなくて
看護師さんに
「今度から救急車で運ばれる時はお金持ってきてね」
って言われました![]()
自分がどこにいるのかわからなくて、
タクシーを呼んでくれたんだけど、
タクシーが着く前に専務の奥さんが迎えに来てくれて
ありがたかったけど、
明るく振舞わなくてはならなくもあった。
奥さんは、交通事故に会い、
何度も手術を繰り返した経験のある人でした。
奥さんの車で会社に帰る時![]()
もう夜は明けていて
会社に着いたら、
専務がセーグル・フリュイを成形していて
「え、それ売るんですか?」
って突っ込んで、
「大丈夫やろ」
って彼が答えたその時、心が折れた![]()
ボールの中に血は落ちてなかったし、
商品としては大丈夫だったんですけどね。
自分の受けたショックと、
周囲の認識とのギャップに、
傷ついたのかな。
その日はもう帰っていいよって言われて、
原付を運転して帰りました。
つづく・・・