2日ぶりに小八幡川沿いを散歩していたら、今日もカワセミ君に会いました。
先週末から、行けば必ず会えます。

今日も「いるかなぁ」って思いながら歩いていると、自分からピピッと鳴きながら出て来てくれました。向こう岸のフェンスに止まると、こっちから話しながら見ていても、気にせずずっと同じ場所にいてくれます。人馴れしてしているのかも知れませんね。


$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-130202カワセミ
昨日、11月18日に岡野弘文さんオリジナルのアイデアカードの使い方をガイドする、「アイデアカードマスター講座」に参加しました。

予想以上にリラックスした楽しいセミナーで、4時間があっという間でした。私は何かツールがあるとどうしても「使ってやるぞー」って肩肘張ってしまいがちなのですが、「頭を使うことを意識しないで、自然とアイデアが出るようになる」という岡野さんの説明のお陰で力を抜いて参加できました。参加者の方達もノリがよく、あまり照れずにバカなアイデアでもギャハハって笑いながら
どんどん進められました。

日頃は「技術」を意識したヒントを得られる視点を活用することが多いのですが、このアイデアカードの「目的」「着眼点」「変更」という視点は適用範囲が広く、日常生活から社会問題、勿論技術を含めていろんな分野にすんなり使える感じがあります。

今日は、自分のセミナーの構成に一つピリッとしたものを盛り込もうとするとどんなことがありそうかを考えるのに使ってみました。

下の写真の一行目です。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-アイデアカード

最初の目的を設定して、その目的を達成するためにどんなやり方があるかというアイデアを探した結果です。(適当なところでめくってみました)
目的ー着眼点ー変更の順番に、「インパクトを与えるように」「作る人を」「光らせる」となりました。これはそのままなるほどでした。検討中のセミナーは「若手技術者教育」についてのもので、これまでの検討では「教える側」からの見方が主体でしたが、「若手技術者自身」にフォーカスする工夫を盛り込むことにしました。(具体的な中身はナイショです)

それから、私が一番面白いと思ったのは「自然現象ですらアイデアの結果という解釈が出来る」という見方です。いわゆるリバースエンジニアリングって言われる考え方ですが、これが凄くやり易い。

写真の下2行は「紅葉」を題材にリバースエンジニアリングをやってみたものです。考え方の一つは、紅葉を純粋に植物の中で起きている現象として捉えています。もう一つの考え方は紅葉を擬人化した解釈です。と、こんな風に視点が広がります。

通常のアイデアカードと違い、本当に自然にいつもの自分のし好と違う考え方の方向にも誘導してくれているようです。なかなか不思議な体験です。

あと、岡野さんは最近「不満買取センター」というありとあらゆる不満をネタに新しいサービスや製品を生み出すことも考えているようです。ご興味ある方は、この写真のアドレスにアクセスしてみて下さい。私は交差点で右折する車が後続車をブロックしていることが多いという不満を買い取ってもらいました。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-不満買取
日本料理人山本征治さんの技をTRIZの40の発明原理の視点で分析するシリーズ、一回おいて8回目になります。また、「鰻の炭火焼」で、最初の動画は同じです。いよいよ、焼きですね。




$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-タレかけ
焼きは、身から。少し焦げ目がついたところで火から外し、5分位で最初のタレかけ。
タレは、普通の鰻やさんみたいなドロドロではなくサラサラです。そのサラサラタレをボトルに入れて、シュッシュッとスプレーします。
多分、最初から刷毛塗りするよりも、均一に塗れているようです。身の中にも少し染み込んでいるかも知れません。この焼いてはシュッシュッを何度も繰り返します。


観察力/想像力を鍛える図化のブログ-タレ刷毛塗り
何度も塗っているうちに、バットにはみ出たタレが乾燥してドロドロになって来ます。そうなって初めて、刷毛の登場です。7分くらいです。

液体をスプレーで小液適にして塗布していますので、ここで使っている発明原理は35パラメータ変更原理でしょうね。

山本さんはTRIZなんて考え方はまずご存知ないと思います。でも、おいしい料理を作ろうと工夫した考え方が、いろんな場面で発明原理と一致しているというのは面白いです。


※40の発明原理は以下を参照下さい。
http://ishiirikie.sakura.ne.jp/sblo_files/ishiirikie/image/C8AFCCC0B8B6CDFDA4CBA4C4A4A4A4C6.pdf

今日の記事はちょっと「世界一有名な日本料理人」そのものではなく(とは言っても少し関連しますが)、「かぼすブリとかぼすヒラメ」のご紹介です。

以前の記事で「鮎を海水中で泳がせる」話を書いたことに対して、ある読者の方が「こんなものもあるそうですよ」って教えてくれたのが、かぼすブリとかぼすヒラメでした。

http://www.nga.gr.jp/tenbou/tayori/2011/02/post-1270.html

かぼすの名産地大分で新しく開発?された魚だそうです。餌にかぼすを混ぜると、かぼすの抗酸化成分が酸化を防いでくれるので、時間が経ってもおいしく食べられるとか。
更に、それだけじゃなくてかぼすの香りが身に移っていい香りになるそうです。
餌が消化されても、かぼすの抗酸化成分や香り成分は分解されずに吸収されるんですね。
切り立てでかぼすの香りが乗ったブリって旨そうですね。。

さて、こうやって改良されたブリを40の発明原理的に解釈すると、10.先取り作用 ですかね。
食べる直前に身にかけるかぼすを、魚が活きているうちに身に染み込ませると解釈しました。
日本料理人山本征治さんの技をTRIZの40の発明原理の視点で分析するシリーズの7回目になります。今回も前回と同じレシピ「鰻の炭火焼」です。なので、最初の動画は同じです。(あと1回同じ動画かな)

いよいよ、料理の中身に入ります。(とは言っても、「焼き」はまだですが)




神経抜きをしたあと、開いて中骨を取り除きます。それから裏返して、皮に2ミリ感覚位に切れ目を入れて行きます(2:10以降)。これはやはり身より固い皮を柔らかく、食べ易くするためでしょうね。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-皮切れ目入れ

その後また表に返して2:40くらいから、小さなハサミ(手術用?)を使って、丁寧に骨切りをして行きます。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-骨切り

で、4分間の蒸しが入ったあと、3:50くらいから。今度はもっととんでもないものが登場、本当に外科手術用のメスです!またまた裏返して、身に平行な向きに皮にプスプスと穴をあけて行きます。解説がないので想像するしかないのですが、蒸してある程度身のタンパク質を固定してからゼラチン質のところを更に柔らかく仕上げるのかなぁ。このあたりからは料理人でないと理解が難しいのかも知れません。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-皮穴あけ

皮に細かい切れ目を頭から尻尾まで入れておいて、その後ハサミでの骨切りと蒸しが入り、でまた皮にびっしりと穴をあけて行くと…細かくて丁寧な、気の遠くなるような根気のいる作業です。これだけ手を入れた鰻ってどんな味と噛み心地、舌触りなんでしょうね。

おっと、忘れちゃいけない、ここで活用している発明原理はどれも3. 局所的性質でしょう。


※40の発明原理は以下を参照下さい。
http://ishiirikie.sakura.ne.jp/sblo_files/ishiirikie/image/C8AFCCC0B8B6CDFDA4CBA4C4A4A4A4C6.pdf
日本料理人山本征治さんの技をTRIZの40の発明原理の視点で分析するシリーズの6回目になります。今回のレシピは前回と同じ「鰻の炭火焼」の下処理です。なので、最初の動画は同じです。

神経抜きのすぐ後にぬめり取りをやっています。ぬめりを取る理由は、生臭さをなくすためだそうです。



まず、鰻を70℃のお湯に7秒間(!)、浸します。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-お湯浸け

その後、直ぐに氷水の中へ。(この時間は出てなかった)
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-冷やし

表面が冷えたら、取り出してゼリー状に固まったぬめりを包丁でこそげ落とします。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-ぬめり取り

なんで、こんなやり方をしているか?
鰻のぬめりの成分を調べて見ると、ムチンという糖タンパクだそうです。だから、多分タンパク質を変成して固めるために「加熱→冷却」をしているんだと想像しました。

他の料理人達はどんな風にやっているのか、ネットで調べてみたところ、①塩をまぶしてこそげる②熱湯をかける というようなやり方が紹介されていました。山本さんのやり方が一番徹底してそうです。

さて、この方法で活用している発明原理は、35. パラメータの変更 でしょう。糖タンパクという同じ物質の性質を変えて取扱い易くしていますね。


日本料理人山本征治さんの5回目は鰻。それも焼く前の下処理だけなんですけど。鰻の頭と尻尾を切り落として、捌く前になんだか工作みたいなことを始めています。


はい、取り出したのはコンプレッサー!
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-コンプレッサー
エアの出口には針のようなノズルが付いています。

このノズルを尻尾の方の背骨あたりに差し込んで…
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-加圧準備

一気に空気を噴き出すと、
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-神経抜き
白いヒモのようなものが頭側からぶしゃっと出て来ました。

これは説明がみつからなかったのですが、多分死後硬直を防止するための「神経抜き」かと。
それにしても、頭と尻尾を切り落として即この作業をやったということは、「死後硬直の時間的余裕を出来るだけなくしたい」という気持ちの現れなんでしょうね。

ここで使っている発明原理は、29.空気圧と水圧の利用 ですね。この発明原理も初登場です。
それにしても、40の発明原理って料理と相性が良さそうですね。

世界一有名な日本料理人-山本征治さんの料理法にどんな工夫がされているかを分析するの4回目です。今日は一般的な名前で言うと、「鮎の塩焼き」です。

でも、山本さんが普通に鮎の塩焼きを作る訳がありません。今回の大きな工夫ポイントは3つと言えそうです(私がわかった範囲なので、本当はもっとあるのですが…)。そのポイントの一つが料理の名前に入っていて「泳がし鮎の炭火焼」なんです。ここでも、山本さんが目指すのは「素材のおいしさを究極まで引き出すこと」です。

ここ小田原でも、シーズンになると酒匂川は鮎釣りをする人でにぎわいます。だから、そんな人達は毎年沢山の鮎を食べていることでしょう。そんな人達でも、この山本さんの3つの工夫をどれだけ知っているかは?だと思います。



では、まずその工夫の1番目。動画の鮎釣りシーンのすぐあと、「取って来た鮎を海水に泳がせてから焼く」です。この画像の水は海水なんです。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-泳がし鮎
淡水魚の鮎をなんでわざわざ海水で泳がせるのか?
その目的は「海水の中で泳がせることで、エラの間やお腹の中にまで塩をし、外と中から塩味を付けること」だそうです!みなさん、そんなこと考えたことあります?
やってることは単純ですけど、「鮎を海水中で泳がせる」なんてどうやったら思いつくんだか…

それから、次の工夫は動画の4:00過ぎくらいから始まる「鮎の口を開く」です。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-鮎口開き
何故か?「口から頭の部分の水分を逃がして圧倒的なカリカリ感を実現するため」だそうです。
わたしゃ動画を見たとき、単に見栄えだけかと勘違いしてました。う~~ん、深い。

そして、3番目は4:20あたりにある、もっと過激な「鮎の胸のあたりを突き刺す」でした。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-鮎胆のう刺し
よーく見ると、刺し傷の穴から緑色の液体が流れているのがわかります。目的はこれなんです。
緑色の液体は胆汁。つまり、胆のうを刺して胆汁を逃がすことで「胆汁の強い苦みを薄めて上品な香りをまとわせる」ことをやってるそうです。

あー、どれも自分の感覚で確かめられていないのがもどかしい!

何だか、どんな発明原理が使われているかを想像するのがどうでもよくなって来ましたが、気を取り直してやってみます。

最初の「海水中で鮎を泳がせる」のは、「鮎の体の中にも塩をする」のが目的なので3.局所的性質の応用と言えますね。あと、淡水魚を海水中で泳がせるという見方をすれば、13.逆発想とも言えます。
それから、2番目の「鮎の口を開いて水分を逃がす」のは、「カリカリ感を妨害する物質の影響をなくす」ので22.災い転じて福となす ですかね。
3番目の「鮎の胆のうを刺して胆汁を逃がす」のは、「強過ぎる苦みを中和する」ということで、上と同じく22.災い転じて福となす でしょう。

鮎で初めて発明原理の13,22が出て来ましたね。素材に求められることによって、少しずつ使う発明原理も変化すると考えられます。それにしても、山本さんの発想は凄い。



※40の発明原理は以下を参照下さい。
http://ishiirikie.sakura.ne.jp/sblo_files/ishiirikie/image/C8AFCCC0B8B6CDFDA4CBA4C4A4A4A4C6.pdf
世界一有名な日本料理人:山本征治さんの料理法にどんな工夫がされているかの3回目です。今回の工夫ポイントは「材料を一番おいしくするための工夫」だと思いました。

今回は別なメニューについて「鱧椀2011 夏仕立て」というタイトルです。
「鱧の扱い方の可能性と骨切りの進化の証明」という注釈が付いています。
夏が過ぎて、鱧は季節外れになってしまうのかも知れませんが、工夫ポイントが明快なので取り上げてみました。



約8分の動画ですが、「骨切り」は3:30あたりから始まります。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-鱧レントゲン
料理のやり方を考えるために、何と鱧のレントゲン写真が出て来ます。…何故か?
一番おいしい骨切りの方法を考えるためです。
写真を一旦止めて見ると、中骨から出ている小骨が「頭から尻尾へ向けて斜めに生えている」ことがわかります。山本さんはここに目を付けました。

鱧料理にとって「骨切り」は一番重要な技術なんだと、いろんなテレビ番組を見ていてもそこにフォーカスされています。そのとき、普通の料理人の骨の切り方は、2~3ミリ位の幅で「まな板に直角に」包丁が降ろされています。でも、山本さんはこの骨の構造をもとに、「独自の骨切り方法」を編み出しました。それが、下の画像です。動画では3:50あたりから始まっています。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-鱧骨切り進化
ここまで、先に種明かしをしてしまえば理屈は簡単です。多分想像ついたと思いますが、山本さんの「独自の骨切り方法」というのは「包丁の刃を尻尾側に約25度傾けて切る」です。

傾ける効果は「骨の切り口が尖らない」ということです。
舌触りが全く違って来るらしいです。私は通常の鱧料理すらよく知らないのですが、こう説明されるとなるほどとうなってしまいます。

さて、ここまで来て発想法としての解釈をすると…
この方法で使った考え方を40の発明原理*で見ると、「4.非対称」 あたりが適合しそうです。

あるいは、USITオペレータ**という発想のヒントの「2a.有害な性質を使わないようにする」と考えるのがストレートかも知れません。

いずれにしても、世界一の日本料理人の発想がTRIZやUSITという発想のヒントからも説明が付くというのが面白いですね。(後付けと言われればそれまでですが、こういう見方を日頃からすることが、発想の基礎体力を付ける訓練になると私は思っています。)

*,**すみません。
  ここでは発想法そのものはわかっているものとして書かせて頂いています。
  ご興味ある方は以下を参照下さい。
*40の発明原理http://ishiirikie.sakura.ne.jp/sblo_files/ishiirikie/image/C8AFCCC0B8B6CDFDA4CBA4C4A4A4A4C6.pdf
**USITオペレータ
http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jlectures/USITSol0209/USITSolTableFull020906.html
昨日、山本征治さんの「赤ムツの龍鱗仕立て」のレシピから、中骨の活用法について書きました。
山本さんの技があまりに凄いので、解説する工夫のポイントを中骨だけに限定したのですが、それでもちょっと盛りだくさんでしたね。

今日は同じ赤ムツのレシピで本当に一つだけの工夫ポイントを取り上げてみます。
そのポイントは「皮の加熱」です。


$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-皮揚げ

皮の加熱の前に、実はウロコも食べられるための準備をしているのですが、ここでは割愛します。
加熱の前にこの処理を施したウロコを皮に貼付けて、乾燥させてあります。

その皮を油で揚げて加熱するシーンが昨日のビデオの12:54あたりから進んでいます。
上の画像はそこから切り取ったものです。

普通の揚げ方ではありませんね。
油の温度は通常より高めの200℃です。
見た目で違うのは、「油が皮の部分だけを浸している=加熱している」ことです。
身の方は一切油に浸かっていません。

つまり、
1)骨と同じように熱が通りにくい皮だけを先に加熱するために、
2)バット状の油槽を使って槽の上辺ギリギリまで油を満たして、
3)赤ムツの身を真っ平らに串刺しして、
4)裏返して固定し、裏側の皮だけに油が浸かる

ようにしています。

これはTRIZの40の発明原理で見ると、
3.局所的性質 と 10.先取り作用 という2つの原理を活用していると解釈出来ます。

もしかすると、この2つは結構料理をするとき使い手のある考え方かも知れませんね。