今回は下記の資料を用いて、お話をさせて頂く。
・資料1 総務省報道資料 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数 (平成21年3月31日現在)
(参考資料3) 都道府県別の年齢階級別人口
http://www.soumu.go.jp/main_content/000033823.xls
・資料2 国立社会保障・人口問題研究所 日本の市区町村別将来推計人口
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson03/download/honsuikei.pdf
人口減少社会。この言葉をTVや新聞で聞かない日はない。皆さんはこの言葉にどんなイメージをお持ちだろうか。
日本の人口は2004年を境に減少に転じ、2050年には9000万人台へ突入する。
そう、私達がこうしている間にも日本の人口はどんどん減少に向かっている。
2050年、9000万人。
皆さんはこの数字を見て、何か感じるものはないだろうか。なぜ2050年に9000万人なのか。
【no12_re】
この画像は資料1【都道府県別の年齢階級別人口】を用い、日本 全国各47都道府県の人口構成でもっとも多い比率の世代を割り出し、
一目でわかるよう色分けしたものである。
上記の画像を見ると現在、日本の各都道府県では65才以上の世代が最多のところが大半を占めており、
50~64才世代は栃木、茨城の2県、35~49才世代は埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪の6都府県、20~34才世代はなし、
0~19才世代が最多は沖縄、滋賀の2県のみ、という事がわかる。
ここで大雑把に2050年までの人口推移を計算してみる。
現在日本の人口は約1億3000万人。50歳以上の世代の人数は約5000万人。
現在毎年産まれる子供の数は約100万人。残り2050年まで約40年。
日本人の平均寿命は約80歳なので50歳以上の方はほぼ存命していないと計算する。
すると1億3000万-5000万=8000万人。子供が毎年100万人生まれたとすると+4000万人で1億2000万人。
9000万人とは+3000万人とまだかなりの誤差がある。
そこで、さらに35~49世代も存命していないとして2500万マイナスする。
1億2000万-2500万=9500万人 となり上記の数字とかなり合致する結果となった。
現在毎年産まれる新生児数は減少傾向にあるため、こうしてみると2050年、9000万人という数字はあながち嘘ではなく、
むしろ信用できる数字と言えるのではないだろうか。
2050年まで約40年、日本の人口は単純計算で毎年およそ100万の人口が減少していきます。では都道府県別に見てみるとどうなのか?
・・・そう、重要なのはここからです。
【no13】
こちら は資料2【日本の市区町村別将来推計人口】を用い、各都道府県の2015-2030年人口比を色分けで示したものだ。
都道府県最多世代との画像と比較してみると、若年世代の比率が高いほど、人口減少率も低く、
0~19才世代が最多を占める滋賀、沖縄の2県に至っては滋賀1.03、沖縄1.01と人口比がプラスとなり、人口が増加すると出ています。
*滋賀のみ資料1と比較して+7%とやや誤差が大きいのですが、ここでは他の都道府県が誤差±3%以内なので無視して進めます。
なぜ、滋賀と沖縄で人口が増加するのか。
そもそも人口増加とは何を意味するのでしょうか。
簡単に言えば、子供が産まれれば人口増加です。反対に人口減少とは人が亡くなる事だ。
では子供がたくさん産まれれば人口は減少しないのか?
答えはNOです。
子供がたくさん産まれれば人口が減少しないのであれば、
0~19世代の若年層割合の高い都道府県と人口減少度の低い都道府県が一致しなければなりません。
【no14】
私は結論を押し付けようとは思わない。私の提示した資料を信用するもしないも自由だ。皆さんがそれぞれ結論を出して頂きたい。
2050年まであと約40年。人の命は 永遠ではない。当然ながら、高齢の方から寿命を迎える。わが国の年代別人口を数字で言うならば、
65才以上 2822万人
50~64才 2636万人
35~49才 2592万人
20~34才 2331万人
0~19才 2325万人
となる。
上記の数字を見る限り、人口減少社会とは高齢世代人口の割合が高い事、
すなわち人口ピラミッドの逆三角形現象による人口推移の結果、起こる事だといえると思う。
ここでは人口が減る事によるメリット、デメリットについて論じるつもりはない。景気が良かろうが悪かろうが人間の寿命は無くならず、
そして、子供が何人生まれようが亡くなる人の数は減りはしないからだ。
そもそも人口減少とさまざまな社会問題を結びつける事は問題解決に何のプラスにもならない。
むしろ当事者間で認識のあいまいさを生み、問題が複雑化するだけである。
デフレ、不景気、世代間格差、そして少子化。
これらは全て人口減少 とは関連がない。これらの問題が解決しても人は死ぬ。
これらと人口減少問題を結び付けている限り、問題の先送りにはなっても解決などありえない。
ただ一つ言えるのは、現代日本において人が亡くなる要因というのは加齢から来る寿命というものが一番多く、
人口減少社会だからと言って、人がある日突然、消失したり、特定世代に奇病が流行したりもしない。
誰もが普通の生活を営み、誰もが普通に寿命を迎え、そして、誰もが新たな命を育み、生きていくのだ。
その中でこれまでの人口推移の結果、寿命を迎える人がこれまでの世の中より多くなる。
ただそれだけの話である。
人口減少社会。皆さんはこの言葉にどんな幻想(イメージ)をお持ち ですか?
私は社会学や人口問題の専門家ではない。しかしこう断言する。
『人口減少社会とは人口逆ピラミッド現象により起こる人口推移、すなわち単なる自然現象に過ぎない。』