まずは今回はこの記事を書くうえに当たって、現在の関係者各位の心情をかんがえて、画像のアップは控えさせてもらう。
オヤジがこの61年間、目の前でいきなり燃え上がる火の手を見たのは、今回を含めて3回である。
1回目の火事は40年前の20代の頃であった。
一人で車でオヤジの街の郊外を走っていた時に、目の前でいきなり倉庫から火の手をあがった。
当時はもちろん携帯なんか無い時代だったので、消防署迄走って通報するしか無かった。
しかし、火の手の原因がはっきりしていれば問題ないのだが、不審火の場合は発見者=犯人という公式が非常に高く出てくる。
消防署まで車をかっ飛ばせばたった5分で着く距離であったが、オヤジはそのことに躊躇して、通報は止めてそのまま現場から走り去ってしまった。
後日、新聞でその倉庫の火の手の原因は不明という事で、不審火で多分、放火という事が記事で書かれていた。
その記事を読んだオヤジは、あの時、通報しなくて良かった。とホッとしたと同時に、立ち去った事が長い間、心の底でしこりとなって残っていた。
そして2回目は・・・
この記事である。
本当にあっという間に、車が燃え上がったのを目の前で見たのであるが、幸いなことに消防車がすぐにやってきて、無事に車は鎮火した。
と、同時に結構、車が燃えて爆発するのには結構、時間がかかるんだな。という、間違った認識をもってしまった。
そして今回の火災。
昨日の朝、オヤジは娘と共に、娘のセルボで娘が通う北見の絵画教室に行く途中であった。
いつもの見慣れた道と見慣れた建物。
そこには長い間建っていた古い倉庫があった。
シャッターが開いていて、中で焚火がされていた。
(倉庫の中で焚火とは、ずいぶん危険だなぁーー。)と何気なく眺めていたら、いきなり火の手が横の壁に燃えうっった!!
実はその時、デジカメはいつものようにズボンの横に置いてあり、いつもなら決定的なチャンス。というように写真を撮ることが出来たのだが、今回はそんな猶予はないと感じた。
「ヤバイ!!ヤバイ!!」
目の前の反対車線には建物の持ち主と見られる人が二人、こちらに向かって歩いていた。
オヤジはすぐさまその人の元にハンドルを切って、反対車線に逆走の向きで停まった。
対向車は逆向きに停めているオヤジの車を見て、(年寄りがぼけて反対車線に停めやがって。)とにらみつけてすれ違った。
車の窓を開けるや否や、「火事です!!火事!!倉庫が燃えています!!」と、その人達に叫んだ!!
後ろをみると、同じようにもう1台、車が停まっていた。
二人が倉庫に向かったのを見て、これで自分の役割は終えたと思って、後は面倒に巻き込まれたら嫌なので、一旦は走り去ろうとした。
後ろを見たらやはり同様に、後ろに停まった車はすでに走り去っていた。
しかし、万が一その人たちが消防に連絡をしないで、消火にあたっていたらまずいと思った。
またよくTV番組の特番で火災の通報で、消防署のオペレーターが、火災の場所を聞くと、「燃えているよーー!燃えているよーーー!」と、叫んでいるだけで、パニックを起こして場所も言えない人がいる事も知っていた。
そこで(今、この場で冷静でいられるのは自分しかいない!!)と思い立ったと同時に、考えるより先に手がスマホの119番を押していた。
「はい、消防署です。」と声が聞こえたので、まずは最初に。
「●×消防署ですか??」と確認を取った。
確か119番は全国共通なので、間違って違う場所にかかったらいけないと思ったのだ。
「はい●×消防署です。救急ですか??火事ですか??」と返事が返ってきた。
(あっ!!そうか!!救急車も消防だったな。)と、当たり前のことに気が付いた。
また普通は救急の通報が多いので、先に救急かと聞くんだな。と妙な事に感心した途端、オヤジの心は落ち着きだした。
「火事です。」
「場所はどこですか??」
「正確な住所は判らないのですが、●×ガソリンスタンドを越て、●×▲■に向かう途中の、右側の●●色の倉庫から火の手が出ています。」と、自分ながら落ち着いて電話が出来たと思った。
そしてこのまま走り去ろうと一旦思った。しかしもう自分の名前と電話番号も連絡したで、面倒に巻き込まれたなぁーーと思いつつ、更に消防車に場所を教えようとするため、Uターンを行って、再び燃えている倉庫に向かった。
火災の現場の写真を撮らなかった事、そしてこれからの行動が、今後のオヤジを大きく助ける事となったのは、その時は知る由も無かった。
倉庫からすれ違う時に、2回ほど爆発音が聞こえた。
このままでは危ないと感じたオヤジは、更にセルボを加速させて、倉庫の前の道路を突き切った。
倉庫から少し離れた場所にセルボを止めて、ライトを点けて消防車を待っ。
その間、娘には「これからこのまま交通整理をするから、絵画教室に少し遅れると連絡しろ。」と言った。
再び再び倉庫から爆発音がした!!
この場所もさらに危険だと察したオヤジは、更に離れた場所にクルマを移動した。
そうしたらようやく消防車が現れた!!
消防車めがけてパッシングをするオヤジ!!
2台目の消防車にも連絡してから、再び反対車線にUターン。
娘には「危ないから絶対にクルマから出るなよ!!」と言い捨てて、オヤジは愛用のレーシング・ジャケットを着こみ、外に飛び出した。
消防車の後から何台もの車がやってきた。
オヤジは大きく両手を振ってからバツ印を示し、更に左手を横にグルグル廻して迂回しろと、後続車に示した。
気配を察した後ろ側の車は、どんどんUターンをしたのだが、先頭の車は意味が分からず走り抜けようとした。
そこでオヤジはフロントガラスを、どんどん叩き車を停めた。
「いったい、何があったの??」運転席側の窓を開けドライバーがオヤジの行為を見て聞いてきた。
「火事です!!倉庫が爆発しています。危ないから迂回してください!!」
そうして10分ぐらい交通整理をしていたら、車の流れが無くなった。
そこでひと段落したと思ったオヤジは、火事で周りに指示を与えている消防士に向かって走っていった。
「倉庫が爆発しています!!危険ですから近寄らないでください。」その消防士は近寄ってきたオヤジに向かって言った。
「火災の通報をしたオヤジというものです。これから用事があるので戻りたいのですが、もう現場から離れて大丈夫ですよね。」と確認をした。
名前と電話番号をその消防士に渡したオヤジは、自分の役目はもうこれで終わったと感じ、大きく迂回して、当初の予定である北見に向かった。
夕方、見慣れない電話番号から電話がかかってきた。
「はい。オヤジです。」
「網走警察です。」
「今回の火事で、誰か付近に見慣れない不審者はいませんでしたか??」とオヤジに聞いてきた。
(やばいなぁーー。火災の原因、不審火なんだ。面倒な事に巻き込まれたなぁーー。)と感じながらも、
「いえ、僕が見たときは誰もいませんでした。」
「オヤジさんはどうして、あそこを走っていたのですか??」
どうやらタイミングよく、火災の現場にいた事が、警察にひっかかっていたようである。
「北見に行く途中の通り道なので、そこを通りかかりました。」
「火災の様子は完全に倉庫から火の手は上がっていました??」
「いえ、最初は倉庫で焚火でもしているような感じで、危ないなぁーー。と思ってみていたら、いきなり隣の壁に火の手が燃えうっったので火事だと感じました。」
「うん。現場の状況は合っているなぁーー。2台の車が持ち主の元に、現れたと言っていたし。」と、電話の向こうで警察は小声で話していた。
その話の内容で、オヤジの後ろを走っていた人は若い人だという事も、調査されていた。
多分、その状況では倉庫を放火して、火の手が急に大きくなったので、犯人が慌てて持ち主に話したという状況が濃厚であった。
そんな感じのやりとりをして、住所と名前、電話番号を聞かれ、会社の名前を聞かれたときに、「●●会社です。」と、答えた途端、警察の担当者は、
「もしかして●●会社のオヤジ君??」
「はい、そうです。そこのオヤジです。」と答えた途端、警察の雰囲気も軟化した。
そうして無事に警察からの事情聴取は終わった。
家に帰る途中、火災の起きた現場を見たら、ほぼ、全壊に近く無残に焼け落ちていた倉庫が現れた。
1時間後、家に帰ってきたら、また違う番号から電話がかかってきた。
電話に出てみると、今度は消火にあたった●×消防署からであった。
「まず、この場の電話で、オヤジさんが話した記録は、個人情報のからみで、一切、他人には見せないので、ご安心してください。」というお決まりの個人情報保護のセリフが出てきた。
「あっ。大丈夫ですよ、先ほど警察にも話しましたので、何でも聞いてください。」
聞かれた質問は警察と同じような事であったが、さらに詳しく、家から出てから火災の現場から立ち去る迄の間を答えた。
倉庫の前側の道路を走りぬけるときに、2回ほど爆発音がした。という答えに。消防士は「えっ?」と絶句していた。
そうこうして一抹を話していたら、緊急のコールが消防にかかっていた。
「そのまま、お待ちください。」と話して保留をされたまま、その消防士からの電話はその日はそれっきりとなった。
「お父さん。これ。」
その後、娘がiPhonの画像を見せてくれた。
それはオヤジが燃えさかる倉庫の炎の中、セルボを加速させている最中、偶然に火事の現場を映してあった画像であった。
火の手が上がり、持ち主と消防署に連絡、そしてUターンして倉庫に向かった時間は、わずか1分から2分程度。
完全に倉庫全体が火でおおわれて、その中で一生懸命消化作業をしている、倉庫の持ち主2人の姿が映されていた。
この画像を見て改めて、デジカメで火の手が上がった写真を撮らなくて良かったこと、またその後、現場を立ち去らないで、消防車に火災の位置を教え、車の交通整理をした事が良かったと感じた。
もし、あの時に偶然にデジカメで画像を撮り、持ち主に火事です。と教えて去っただけなら、オヤジが一番重要な、放火の容疑者にされることが明白だったからだ。
翌日の今日、再び●×消防から昨日のお詫びの連絡が来た。
「いや、良いんですよ。緊急のコールが鳴っていたので、多分、出動だと思っていました。」
「それではまた、何かありましたらご連絡いたします。」
「ご苦労様です。」
こうして一連の火災の出来事は終了した。
40年前の出来事と同じ状況に、再び出会ったオヤジであったが、
「これでいいんだ。たとえ面倒に巻き込まれても、今度は立ち向かうことが出来た。」
「オヤジは今度はようやく前に向かって進める。」
スマホから手を離したオヤジの顔はいつもよりも輝いていた。
ところで、オヤジの放火の疑い??晴れたのかなぁーー??
火災の原因、今回はきちんと判れば良いけど・・・・・・
良かったら、今のオヤジの生き方に、多大な影響を与えてくれた、この二人のブログにも、遊びに行ってみて下さい。