ノロノロ台風の影響が各地に及んでいるようですが、ご無事に過ごされてますか? こちらは、今頃になって雨が強くなってきました。こんな時は、仕事が一段落したら、夏に撮り溜めたデータで、天体写真の現像作業を行いましょう。

まゆ星雲(IC5146)は、はくちょう座の北の端にある散光星雲です。かつて同じ鏡筒で撮ったことがありますが、いまの撮影だと、どんな画像になるかと、ダイオウイカを狙った望遠鏡セットの隣で試してみました。

紅い散光星雲の周囲に、ふわっとした白っぽい分子雲が纏わり付いていて、とても綺麗ですね。天の川の星の輝きもキラッキラッしていてカラフルです。まだ鏡筒の調整中なので、日の丸縦構図にしておいたら、暗黒帯の端が切れてしまいました。

真ん中の美味しいところのみをA版縦横比でトリミングしてみましょう。

暗黒帯は真っ黒ではないことを知りました。分子雲で星が暗くなって、周囲より黒っぽく見えるだけなんですね。強調処理で分子雲が見えてくると、他の場所の星たちの背景の方が、もっと暗いことを確認できました。暗黒帯は分子雲の影なんだと実感した次第です。

さらに、まゆ星雲をアップで見てみましょう。

繊細でふんわりしてますね。隣に小さな青い反射星雲もあるようです。ビクセンR200SS鏡筒でも、これだけの解像度を得られて大満足です。新型のCMOSセンサーとPixInsightを使った現像で、7シーズン前に撮った画像とこんなに違ってしまうのかと、技術の進歩にさらに驚きです。

 

 

 

備忘録: (以下、個人的な覚書 専門的な内容なので、綺麗な写真の鑑賞が目的の方はスルーしてね)

 

撮影データ:  

AXP赤道儀 + ASIAIRPRO コントロール

鏡筒:R200SS + コレクターPH (焦点距離 760mm F3.8) 

ASI2600MM-pro (gain 100、cooling 0℃) 

オフアキシスオートガイド ASI174MMMini

Red、Green、 Blue  60sec、各 10、28、20コマ 

Lum  60sec   152コマ (総露出合計 210分間 ) 

8月9日の夜 自宅にて撮影

画像処理: PixInsight (BlurXTerminator、NoiseXteminatoreなど含む)、Photoshop 使用

以前から、コウモリ星雲に淡いイカ星雲が隠れていると聞いていて、いつかは撮影したいと思っていました。アメブロでお世話になっている、getaさんや、koheiさんも、最近このSh2-129星雲を撮影してブログ記事にされており、なんとか様になる天体写真を作り上げたいと、住宅地から、う〜☆彡も頑張ってみました。ようやく完成した作品の中央部をアップでご覧いただきます。

コウモリ星雲(Sh2-129)は、ケフェウス座の「象の鼻星雲」(IC1396)のすぐ近くにある淡い散光星雲です。露光時間が短いと写真の赤く明るい部分だけ見えて、羽を上に挙げたコウモリを正面から見ているような形をしているので、Flying Bat星雲とも呼ばれています。getaさんの画像がわかりやすいですね。青緑(OIII)の光だけを通すフィルタを使い時間をかけて撮影すると、青い星雲が浮かび上がります。イカの形をしているこの青い星雲は、Squid星雲とか、Giant Squid星雲などと呼ばれます。このダイオウイカ星雲は、2011年にフランスの天体写真愛好家によって発見されたそうです。う〜☆彡も、このイカをようやく見つけることができました。

今回の苦労経過を記載しますね。まず、普通にRGB合成した画像が、下左の画像です。

        

コウモリが飛んでいるのがわかりますか? 紅星雲の強調が控えめであることもあり、真ん中の胴体から頭が淡くて、左右の翼を振り上げていることのみ、比較的わかりやすいでしょうか。上右画像がLRGB画像です。Lum画像データも加えて真ん中のイカを探しましたが、心眼でしか見えません。イカを探してコントラスト上げ過ぎですね。

これだけでは寂しいので、住宅地天体撮影の味方、ナローバンドパスフィルターの登場です。Hα、OIII、SIIの輝線を通すフィルターも使って撮影してみました。SHO画像から、お決まりのハッブルパレット画像を作り始めました。中央部を見てみると、

SII情報はそこそこありますが、OIII情報はとても少ないことがわかりました。これでもOIIIは他のHαやSIIの2倍以上の露出時間をかけています。Hα情報が圧倒的に多いので、緑ぽいです。SII情報の度合いでオレンジ〜赤方向への色シフトはできますが、OIII情報での青色方向への色シフトはごくわずかのみしか表現されません。わずかにイカが見え隠れするのみ。

この表現を諦めて、どうしようかと悩んでいましたが、koheiさんのダイオウイカ報告にある、「星なし画像で、B、G画像にOIII画像情報を加える手技」を見て、発想を真似て再現像してみました。

A版サイズに少々トリミングした画像です。この中央部を更にトリミングしたのがトップ画像ですよ。淡いところまでかなり強調しているので、背景の暗黒帯までいい感じになりました。青色は更に強調しているので、背景にやや青っぽいムラがあるのは、ご愛嬌でww

 

 

備忘録: (以下、個人的な覚書 専門的な内容なので、綺麗な写真の鑑賞が目的の方はスルーしてね)

 

撮影データ:  

SXP赤道儀 + N.I.N.A. コントロール

オフアキシスオートガイド PHD2 + ASI 220MM mini

鏡筒: タカハシ FSQ-106EDP + 645RD QE0.72×(焦点距離 380mm F3.6)

光学センサー: QHY600M  ( gain 26、cooling 0℃) 

Lum、Red、Green、Blue 各  gain 26 60sec  55、13、13、12コマ 

Hα、OIII、SII 各  gain 60、300sec  11、23、10コマ 

RGB露出時間 38分間、LRGB露出時間 93分間、SHO露出時間 220分間、NBRGB総露出時間 208分間

8月 8日、9日、10日の3夜 自宅にて撮影

画像処理: PixInsight で主な現像 、Photoshop にて画像調整

      BlurXTerminator、StarXTerminator、NoiseXteminatoreなどを含む

      SHO画像では NarrowbandNormalization を使用

 

先日の IC1396(象の鼻星雲)と比べると、RGBデータだけで3分の1以下しか露出時間がないので、RGB画像がしょぼいのは仕方がない。Lumデータを加えても、当然イカは現れない。SHOをカラーシフトしても、あまり青い部分は目立たない。カラーシフトにNarrowbandNormalizationを試してみたが、不慣れでまだまだ使い方こなせていない。それでも、OIIIデータを2時間近く手に入れたので、なんとかOIIIでのモノクロではダイオウイカらしきものは見えている。星消し画像同士で、B、GにOIIIを加えてみることとした。PixInsightでは、最近になってImageBlendスクリプトを使い始めたが、こちらもまだ使い方がよくわからない。今回は、NBRGBCombinationスクリプトでやってみた。BにOIIIたっぷりで、RにHαをごくわずかにしたとことろ、星消し画像であっても、NBRGBスクリプトはこんな画像を作ってくれた。なお、星はRGBの星画像を拝借してスクリーン合成した。

ペガスス座にあるNGC7331銀河付近を、今回はじめて撮ってみました。

これはトリミング画像ですが、760mmの焦点距離なので、近くにある密集銀河ステファンの五つ子銀河も、余裕で画角に収まります。他にも、小さな銀河がたくさんありますね。若干マイナー感ありますが、興味深い領域と思います。

 

NGC7331銀河をアップで見ると、

なかなか見応えがある渦巻き星雲です。天の川銀河にも似た形かもしれません。小さな銀河もたくさん写っているので、カタログ番号を付記します。

 

NGC7331銀河の南西(画像右下)で群れて見える、「ステファンの五つ子銀河」も、トリミングして大きく見てみましょう。

フランスの天文学者エドゥアール・ステファンによって1878年に発見された銀河の集団です。4つの互いに衝突している銀河と手前にある1つの銀河(NGC7320)が重なって見えているそうです。相互作用で、面白い形に変形した銀河たちですね。こちらも番号を付記しておきましょう。

Stephan's Quintet なので、銀河は5つのはずですが、NGC7317、NGC7318、NGC7319、NGC7320の、4つしかありません。よく見ると、NGC7318には中心の明るいところが2つあって、只今衝突中らしいです。別々の銀河と考えて、それぞれ、NGC7317A、NGC7317Bと番号をつけられています。これで五つ子になりました。

なお、衝突しているところに集まる銀河たちは、HCG92 のカタログ番号も与えられています。密集した銀河の集団を「コンパクト銀河群」と呼び,「ヒクソン・コンパクト・グループ (Hickson Compact Group : HCG)」というカタログにまとめられていて、その92番目なんです。少し離れたとことにある、NGC7320C もHCG92 に属すそうです。これで、ここにHCG92の銀河が5つ見えることになります。ややっこしいですね。今回のアノテーションはPixInsightで作りましたが、NGC730Cは手書きで加えました。

 

参考までに、トリミング前の画像も貼っておきます。

やっぱり、銀河って、鑑賞していて、とっても楽しい対象ですね。

 

 

備忘録: (以下、個人的な覚書 専門的な内容なので、綺麗な写真の鑑賞が目的の方はスルーしてね)

 

撮影データ:  

AXP赤道儀 + ASIAIRPRO コントロール

鏡筒:R200SS + コレクターPH (焦点距離 760mm F3.8) 

ASI2600MM-pro (gain 100、cooling 0℃) 

オフアキシスオートガイド ASI174MMMini

Red、Green、 Blue 、60秒、各 30、38、30コマ 

Lum  60sec  138コマ (総露出合計 236分間 ) 

8月3日の夜 自宅にて撮影

画像処理: PixInsight (BlurXTerminator、NoiseXteminatoreなど含む)、Photoshop 使用

地震が頻発しているようで、東南海大地震にも注意が必要なのでしょうか。被災された方々にはお見舞い申し上げます。

 

さて、ケフェウス座にはたくさんの散光星雲がありますが、その中でも、一番人気(?)の散光星雲(IC1396)を、焦点距離380mmでLRGB撮影してみました。

立派な散光星雲です。前回これぐらいの範囲を撮ったのは7年前。今回は、たっぷり4時間越えの総露出時間ですが、これまでで最高の出来になりました。かなりピント位置に注意して撮影した成果が出たでしょうか。やはり、基本は重要です。せっかくですので、名所をトリミングして拡大してみましょう。

ガーネットスター(ケフェウス座μ星)とその周辺です。撮影するとオレンジ色ですが、紅く見えるので、ウィリアム・ハーシェルにより名付けられました。迫力ある明るい星ですね。

一番のみどころは、象の鼻と名付けられた暗黒星雲

Elephant's Trunk Nebula の通称がわかりますか? 以前の長焦点画像にも肉薄する絵になりました。これだけの解像度を得られるのはBXTのおかげかもしれません。 

この画像で私的に気に入っているのは、散光星雲南部の暗黒帯たち

いかがでしょうか? 天の川のたくさんの星々と、散光星雲に重なる暗黒帯の表情がたまりませ〜ん。

薄雲が流れる中、二晩もかけて撮影した甲斐がありました。

 

 

備忘録: (以下、個人的な覚書 専門的な内容なので、綺麗な写真の鑑賞が目的の方はスルーしてね)

 

撮影データ:  

SXP赤道儀 + N.I.N.A. コントロール

オフアキシスオートガイド PHD2 + ASI 220MM mini

鏡筒: タカハシ FSQ-106EDP + 645RD QE0.72×(焦点距離 380mm F3.6)

光学センサー: QHY600M  ( gain 26、cooling 0℃) 

Lum、Red、Green、Blue 各  gain 26 60sec  118、32、26、78コマ 

総露出時間   254分間

7月 31日、8月1日の2夜 自宅にて撮影

画像処理: PixInsight (BlurXTerminator、NoiseXteminatoreなど含む)、Photoshop 使用

やっと梅雨が明けましたね^^ あまりもの暑さに夏バテになりそうですが、直射日光のない夜はまだ活動できる気温です。三日月星雲(NGC6888)〜 チューリップ星雲(Sh2-101)を試し撮りしたので見てみましょう。

LRGB画像ですが、住宅地の短時間撮影なので、コントラストが低いです。

色ずれまで目立ったので、強拡大は遠慮しておきます(汗

 

HαとOIIIフィルターデータも少し獲得したのでHOO画像も作ってみましょう

周辺の星雲の構造がクッキリしてきましたね。星も小さくなってます。でも、赤と緑のみでは寂しいですね。

良いとこ取りしたかったので、PixInsightのNBRGBスクリプトで合成してみました

なかなか楽しい画像になってきました。

それぞれ面白い画像ですが、更に、3つの画像を合成してみましょうか。

あまりの猛暑で、空調の効いた室内に閉じこもって、画像遊びしてみました。

 

 

 

備忘録: (以下、個人的な覚書 専門的な内容なので、綺麗な写真の鑑賞が目的の方はスルーしてね)

 

撮影データ:  

SXP赤道儀 + N.I.N.A. コントロール

オフアキシスオートガイド PHD2 + ASI 220MM mini

鏡筒: タカハシ FSQ-106EDP + 645RD QE0.72×(焦点距離 380mm F3.6)

光学センサー: QHY600M  ( gain 26、cooling -10℃) 

Lum、Red、Green、Blue 各  gain 26 60sec   13、5、4、5コマ  (LRGB露出時間   27分間)

Hα、OIII  各  gain 60 300sec   9、4コマ  (HOO露出時間   65分間) 総露出時間 92分間)

自宅にて撮影

画像処理: PixInsight(BTXなどを含む)、Photoshop、NeatImage 使用

 

 

今回は、Blueフィルター画像で、ピントがかなりずれて、星が大きくなっていた

    Redフィルター画像も少しピントが甘かった

そのため、パープルフリンジに悩ませられることになった

星の色が破綻してしまうので、トリミングなし画像のみ公開

いろいろ小技で誤魔化そうとしたが、無理だった

次回は、星の色を綺麗に出したいな