以前から、コウモリ星雲に淡いイカ星雲が隠れていると聞いていて、いつかは撮影したいと思っていました。アメブロでお世話になっている、getaさんや、koheiさんも、最近このSh2-129星雲を撮影してブログ記事にされており、なんとか様になる天体写真を作り上げたいと、住宅地から、う〜☆彡も頑張ってみました。ようやく完成した作品の中央部をアップでご覧いただきます。

コウモリ星雲(Sh2-129)は、ケフェウス座の「象の鼻星雲」(IC1396)のすぐ近くにある淡い散光星雲です。露光時間が短いと写真の赤く明るい部分だけ見えて、羽を上に挙げたコウモリを正面から見ているような形をしているので、Flying Bat星雲とも呼ばれています。getaさんの画像がわかりやすいですね。青緑(OIII)の光だけを通すフィルタを使い時間をかけて撮影すると、青い星雲が浮かび上がります。イカの形をしているこの青い星雲は、Squid星雲とか、Giant Squid星雲などと呼ばれます。このダイオウイカ星雲は、2011年にフランスの天体写真愛好家によって発見されたそうです。う〜☆彡も、このイカをようやく見つけることができました。

今回の苦労経過を記載しますね。まず、普通にRGB合成した画像が、下左の画像です。

        

コウモリが飛んでいるのがわかりますか? 紅星雲の強調が控えめであることもあり、真ん中の胴体から頭が淡くて、左右の翼を振り上げていることのみ、比較的わかりやすいでしょうか。上右画像がLRGB画像です。Lum画像データも加えて真ん中のイカを探しましたが、心眼でしか見えません。イカを探してコントラスト上げ過ぎですね。

これだけでは寂しいので、住宅地天体撮影の味方、ナローバンドパスフィルターの登場です。Hα、OIII、SIIの輝線を通すフィルターも使って撮影してみました。SHO画像から、お決まりのハッブルパレット画像を作り始めました。中央部を見てみると、

SII情報はそこそこありますが、OIII情報はとても少ないことがわかりました。これでもOIIIは他のHαやSIIの2倍以上の露出時間をかけています。Hα情報が圧倒的に多いので、緑ぽいです。SII情報の度合いでオレンジ〜赤方向への色シフトはできますが、OIII情報での青色方向への色シフトはごくわずかのみしか表現されません。わずかにイカが見え隠れするのみ。

この表現を諦めて、どうしようかと悩んでいましたが、koheiさんのダイオウイカ報告にある、「星なし画像で、B、G画像にOIII画像情報を加える手技」を見て、発想を真似て再現像してみました。

A版サイズに少々トリミングした画像です。この中央部を更にトリミングしたのがトップ画像ですよ。淡いところまでかなり強調しているので、背景の暗黒帯までいい感じになりました。青色は更に強調しているので、背景にやや青っぽいムラがあるのは、ご愛嬌でww

 

 

備忘録: (以下、個人的な覚書 専門的な内容なので、綺麗な写真の鑑賞が目的の方はスルーしてね)

 

撮影データ:  

SXP赤道儀 + N.I.N.A. コントロール

オフアキシスオートガイド PHD2 + ASI 220MM mini

鏡筒: タカハシ FSQ-106EDP + 645RD QE0.72×(焦点距離 380mm F3.6)

光学センサー: QHY600M  ( gain 26、cooling 0℃) 

Lum、Red、Green、Blue 各  gain 26 60sec  55、13、13、12コマ 

Hα、OIII、SII 各  gain 60、300sec  11、23、10コマ 

RGB露出時間 38分間、LRGB露出時間 93分間、SHO露出時間 220分間、NBRGB総露出時間 208分間

8月 8日、9日、10日の3夜 自宅にて撮影

画像処理: PixInsight で主な現像 、Photoshop にて画像調整

      BlurXTerminator、StarXTerminator、NoiseXteminatoreなどを含む

      SHO画像では NarrowbandNormalization を使用

 

先日の IC1396(象の鼻星雲)と比べると、RGBデータだけで3分の1以下しか露出時間がないので、RGB画像がしょぼいのは仕方がない。Lumデータを加えても、当然イカは現れない。SHOをカラーシフトしても、あまり青い部分は目立たない。カラーシフトにNarrowbandNormalizationを試してみたが、不慣れでまだまだ使い方こなせていない。それでも、OIIIデータを2時間近く手に入れたので、なんとかOIIIでのモノクロではダイオウイカらしきものは見えている。星消し画像同士で、B、GにOIIIを加えてみることとした。PixInsightでは、最近になってImageBlendスクリプトを使い始めたが、こちらもまだ使い方がよくわからない。今回は、NBRGBCombinationスクリプトでやってみた。BにOIIIたっぷりで、RにHαをごくわずかにしたとことろ、星消し画像であっても、NBRGBスクリプトはこんな画像を作ってくれた。なお、星はRGBの星画像を拝借してスクリーン合成した。