- <司法試験機械的合格法>論文基礎力養成講座 憲法/日本実業出版社
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主要7科目が揃っています。
【良い点】
①問題数は1科目数十問程度と、潰すには理想的な分量です。
②絶対に落とせない最重要レベルの論点は網羅されていると思います。
③事例問題中心の編集方針はgoodです。
④刑訴が実務説なのもgoodです。いまだに学者通説ばっかりの他校は見習って欲しいです。
⑤論証⇒問題‐解答へとステップアップする編集スタイルは勉強がしやすいと思います。
【悪い点】
①答案の実践性はやや低めかなと感じます。受験生が一般に書くよりも長い答案が多いです。
②致命的なマイナス面ですが、条文を示す姿勢が、全ての問題集の中で最低レベルです。
何条のどの文言の話をしているのかが全く読み取れない答案がかなり多いです。
答案でもそういうところがありますが、論証例のほうはもっと酷いです。
③これでは、論文問題を解く際に、論点を置きにいくクセが付いてしまう虞があると思います。
この問題集を使う方は、いま自分が勉強しているのが何条のどの文言の話なのかを常に調べながら(脇にメモでもしながら)学習していく必要があると思います。
常に条文から思考していくクセを日頃から身に付けておかないと、似た問題には対応できても、応用問題には手も足も出ない受験生になってしまいます。
更にいうと、条文が書かれていなかったら、そこから先は何も思考を継続できないというくらいにならなければいけません。「条文を示してくれない限り、私には何もできません」というくらいの、条文に完全に依存しきった条文教の信者になるくらいの心構えが必要です。
司法試験は全て条文です。法律学は全て条文の勉強をしているだけですし、論文試験は全て条文の処理をしているだけです。
すべては条文に始まり条文に終わるのが、法律学であり司法試験です。
柴田先生は総合的には非常に優秀で良い講師だと思いますし、著作も良いものが多い思っているのですが、この条文への意識の希薄さだけは(以前からしばしば気になってはいましたが)かなり問題が多いと言わざるを得ません。
おすすめ度⇒B
⇒「言い換え」の連鎖 というエントリーで、本問題集のような思考プロセスが、なぜ「致命的」と言わざるを得ないくらいにダメなのかについて、かなり突っ込んで論じています。
また、同エントリーのコメント欄では、柴田講師が条文を挙げないで問題を解く際のその思考過程が、実際にはどのような「方法」でなされているのかについて、私なりの仮説を提示しています。