GET LOST! -29ページ目

A corpse in a corner of a room

暗い部屋の隅に転がる骸
伸ばした手さえ見えない部屋
悲しい音色が偽物の月の向こうから流れて来る


痛く静かなこの場所で
骸の声に耳を澄ますな
そう誰かが言っていた気がする
誰だっただろう


暗い部屋の隅に転がる骸
美しいドレスに身を包み
長くしなやかな髪
朽ち果てた姿に少女を重ねる


この音色は歌声だろう
きっと悲しい少女の歌声だろう
耳を澄ますなと言った奴は誰だ
なんて綺麗なレクイエム


暗い部屋の隅に転がる骸
そっと寄り添って僕も眠ろう
手と手を繋ぎ永遠に


重い月は造られた幻影
押しつぶされたあなたはあの時の少女
僕には判るあなたが誰か
小さな骸小さな骸


僕がいつか消してしまった
僕に造られた幻影
だから僕も眠ろう
罪の無いあなたに悲しい思いをさせた
その罪と罰として


暗い部屋の隅に転がる二人の骸
いつかそこに花が咲きますように
僕の過ちをあざ笑うような
真っ赤な花が
咲きますように

Superficial malice

苦しくてのた打ち回る
部屋は荒れ果てている
空気が濁っている
それでもこの監獄に住み慣れてしまった


朽ち果てた世界だ、そう君が言った
現実を見たいか、そう君が訊いた
すべての言葉から逃げたい
その瞬間僕は耳をきつくふさいだ


疾走する
平衡感覚を失って
僕はふらりふらり闇の奥底に消える
無声映画はお好きですか
不気味なタキシードのウサギ
喜劇はお好きですか
すべて歪んでしまった映像


ティーカップの中身は淀んだ血液だった
嫌なにおい 少し甘い鉄臭
飲み干してしまえば
僕は憎しみそのものになれるだろうか
この世を恨み
恨みきれない生半可な人間が僕の中に生きている


口に含む赤黒い液体
目の前には腐りゆく姿
君がまた僕を皮肉るんだ
それで楽になったつもりか、と
僕は君だ、と君は笑った


自意識過剰なストーカー
鏡の向こうであざ笑う
精神まで忍び込んだ君は
僕が死ぬまで消し去れない
悟ったときにはもう遅かった


世界は僕を見捨ててくれればいい
破壊を自由と勘違いした不完全作品を
この血がすべて流れてしまえばいい
望んでも僕は僕を守り続ける


あの世では会えないよ、と君は笑う
此処から消えないから、と君は笑う
なんて素敵な笑顔だ
僕は笑った

交響曲と疼く種

心が闇に隠れてからどれくらい時間が経っただろか?
理解したくないくらい身体は重いものなんだろうな
ここに立っていることさえ出来なんだ
重力に負けてしまうんだ


蓄積する日々の中で疲労は僕を縛り付けるように増幅し続ける
呼吸をすくことさえ億劫で動きを止めてしまう
それはこの胸の奥深くに
疼く種があるから


交響曲にあわせて上下する僕の手は意志と連動しない
自分の叫び声さえ聞こえないくらい大音量
痛いんだここに居ることがとても
憎悪の瞬間が来る


飲み込まれる恐怖が全身を震わす一瞬
脈拍は急上昇する
心臓ははち切れそうなほど速度を速める
吐きそうだ
気分が悪い


心が闇に隠れてからどれくらい時間が経っただろうか?
現実世界で換算することの出来ない時間が