前回の記事で、担当さんとの関係を「情」という言葉で表現しました。
数字や実績という目に見えるものばかりを追うのをやめたとき、
私の中で、エルメスの見え方が少しずつ変わり始めました。
あのとき感じた「変わった景色」。
その正体のひとつが、
クローズのイベントへ招待状をいただくようになったことです。
年に2回ほど行われる、限られたご案内。
普段の店頭とは違い、
落ち着いた空間の中で、ゆっくりと商品を見ることができる時間です。
さりげなく用意された飲み物や軽いおもてなしの中で、
慌ただしさとは無縁の、静かな時間が流れていました。
そこには、普段なかなか出会えないものが、
まるで最初からそこにあったかのように並んでいて。
(イベントの様子は控えさせていただきますが、とても印象的な時間でした。)
以前の私が感じていた「焦り」とは、
まったく違う世界でした。
かつては、
「いつ出してもらえるのか」と気持ちが追いつかず、
ただ待ち続ける時間がしんどかった。
でも今は、
その時間さえも楽しめるようになったのです。
ここで、少しだけお話しすると。
実は去年から、
「そろそろ卒業かな」と考えるようになり、
お買い物のペースも意識して半分ほどに落としています。
バッグもある程度揃い、
これからは本当に大切なものだけを残していきたいと感じたからです。
一般的には、購入が減れば、
ご案内も少なくなると思われがちですが、
それでも、担当さんの対応は変わりませんでした。
今でも変わらず、
私のことを気にかけてくださっているのを感じます。
つい先日も、特別なイベントにお声がけをいただきました。
そこにあったのは、ただの商品ではなく、
「これを持ってほしい」と思ってくださっているような、
そんな温かさでした。
その瞬間、
胸が少しだけ熱くなったのを覚えています。
「大切にされている」と感じること。
それは、とてもありがたいことであり、
同時に、少し複雑な気持ちにもなります。
去年から頭の片隅にあった「卒業」という言葉。
今あるものを大切にして、
これ以上は増やさない——そう思っていたはずなのに。
こうして、変わらず丁寧に向き合ってくださる方がいる。
その中で、
自分はどうしていきたいのか。
「大切にされているからこそ、離れられない」
そんな、うまく言葉にできない気持ちがあります。
この少し複雑な感情については、
次の記事で、もう少し正直に書いてみようと思います。
(つづく)
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