起業して直後に、社長が猛ダッシュで営業をかけ、社員もそれに答えて必死にがんばると、立ち上げ期の成長というのは案外簡単に立ち上がるものです。


しかし、順調に成長するかに見えた創業期の売上の伸びも、創業して1年~2・3年、年商にして1億円~3億円(*1)の水準までくると、足踏みしてしまう。この現象を売上成長の壁といったり、プロダクト化、会社化の壁といったりすると Vol.101 売上が伸び悩む最初の壁  に書きました。



それでは、プロダクト化、会社化の壁とは一体どのようなものでしょう。



日本の場合は、起業家といっても脱サラ組みが多くて、その人たちは、技術出身者か、営業出身者が多くて、それぞれ、それなりの評価を得ていた人が多い。


そして、会社を興すぐらいの人たちなので、アイデアマンで、営業力があって、人脈もある。


だから、どんどん、既存の人脈を使って、お客様と接点を持ち、そして持ち前のセンスでどんどん新しいアイデアを提案でき、そして、それが仕事になる。



しかし、それが、いけないんです。



なぜかというと、社長は、仕事はとってくるものの。アイデアマンでどんどん新しい提案をしてしまうし、また、サービス精神も旺盛なので、顧客ごとに異なる要望をどんどん吸収しようとしてしまう。

そうすると、提供する製品、サービスは結果的に、個別受注型というか、受託型になっていく。



つまり、成長しようと思えば、同じような製品・サービスを繰り返し、繰り返し、拡大再生産する必要があるのに、その真逆になっていくわけですね。

これだと、売上が増えれば増えるほど、社内は煩雑になっていくし、品質も落ちてくる。

なぜかというと、この個別対応を調整しきれる社員は、社長を除いてはいないからなんです。

そこで限界がおとづれるわけですね。




ここに気づいて製品化に着手できる社長ももちろんいます。




しかし、製品化の段階までいっても、多くの起業家はそこを乗り越えられないんです。

製品化も失敗する場合は、典型的なパターンというのがあります。


1 アイデアはすばらしいが、そもそも 事業としても経済合理性があわない 事業モデルになってしまっている場合。

2 製品・サービスはあるものの、それが価値を発揮するには、周辺に価値を完成させるための様々なものを整備する必要があるが、それができていない、または、そこに追加で発生するコストまでは、考えていない。


3 社長の製品・サービスへの思い込みが強すぎるために、客観性にかけている 誰もほしがらない製品・サービスを作ってしまっている。


4 営業または技術はわかっても、あたらな製品・サービスを作り上げるのに必要な、マーケティングがわからない。


5 一見してよさそうに見える製品・サービスであるが、顧客ターゲットの絞込みが甘い状態で製品化を行っているため、誰にとっても買いづらい製品・サービスになってしまっている。


などなど。



では、この課題をどのように乗り越えればいいのでしょうか?



続きは次回に。



春日原森



*1 ちなみに、年商1億円~3億円までいかずに、売上に伸びやんでいる創業ベンチャーがあったとすると、はっきりいって、その会社は社長が(よっぽどののんびり屋か、何か勘違いしているかのどちらかのり理由で)必死に営業をしていないか、または、相当営業センスがずれているかのどちらかであり、この場合、その社長は残念ながら多くの場合は、経営者向きでないという結論になってしまいます。





27才で起業して10年が経過、今また起業する39歳の起業家のブログ



昨日、イーアクセスの創業10周年記念パーティーに出席させていただきました。


帝国ホテルで行われたパーティは大変盛大で、会場には、パソコンメーカー、大手量販店、販売会社の社長、役員などの顔もちらほらと見えて、急成長を続けるイーアクセスグループの強さを目の当たりにしたような気がしました。



27才で起業して10年が経過、今また起業する39歳の起業家のブログ

ゲストとして、今度の新しいCMに起用された タレントの佐藤ありさ さんが余興としてバイオリンを弾いたりする一幕もあり、大いにもりあがりました。


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しかし、このパーティで僕が、何より、感じたのは、ベンチャースピリットです。


KDDIを京セラの稲盛会長と二人で立ち上げ、大成功を収めた千本会長は、二度目の創業を目指し、今度は、エリックガンさんという新しいパートナーとくんで、再び、たった二人からの起業をされたわけです。


ブロードバンドを安く、日本中に普及させたいという思いとともに。


そして、創業して最初のオフィスというのは、入り口の扉に、A4の紙に社名を書いて貼り付けただけの簡素なオフィス!!(これ千本会長のプレゼンテーションで実際にオフィスの入り口の写真がでてくるのですが、ぐっときました。いつかこの写真が手に入ったら、このブログで皆様にもみていただきたいと思っています。)


それが、たったの10年でグループの連結の売上は944億円までの企業に育っている。


そして、ゲストスピーチも振るっていました。


先ほど書いたように、会場には、パソコンメーカー、大手量販店、販売会社の役員などが多数おられる中で、スピーカーとしてお話されたのは、ジャパネットたかたの高田社長。


 『 消費者目線を徹底的に追求していけば、供給者側が、供給者の理屈の延長線で起こす、漸進的なイノベーションでなく、より革新的なイノベーションを生むことができる。 』


 『 そこにこそ、この不景気の日本に新たなマーケットを生むことができる。』


 『 ジャパネットたかたは、メーカーではないが、イーモバイルが作り出した革新的なコンセプトの製品であるネットPCを、これまでのチャネルは販売してこなかったような、お年寄りや主婦などパソコンに疎いユーザーに対してTVショッピングを通じて販売している。これこそがイノベーションなのです。』


高田社長のお話、たいへん熱いスピーチでこちらも、ぐっとくるものがありました。



昨日は、


『人間の情熱と想像力こそが、あらゆるものを作り上げている。』


ということを、改めて思い出した一日でした。




春日原森


P.S. イーアクセスグループの皆様10周年おめでとうございます。


(*前々回ブログをご覧になられていない方は、成長の壁につかまったら【戦略】 をご覧下さい。)


ベンチャー企業が典型的にたどる売上と利益の成長曲線を前回書いてみました。


緑の太い線は、売上を、赤の細い線は、利益を表していますが、本当に不思議なくらい、どんな経営者も、どんな企業も、この曲線をたどって成長していきます。

( ”成長する企業” ってのが 前提ですけど(笑)、立ち止まりっぱなしというケースも多いですから(笑) )


違いがあるとすると、壁の前に留まる時間が、経営者や、企業によって、短かったり、長かったり というぐらいでしょうか。


27才で起業して10年が経過、今また起業する39歳の起業家のブログ


さて、創業して、まず、最初にぶつかるのが売上成長の壁です。


僕の理解では、だいたい、創業して1年目から2・3年目ぐらい、年商にすると1億円~3億円ぐらいのところで、みなさん最初の壁にぶつかりますね。


意気揚々と起業をして、社長が一生懸命がんばり、従業員もしっかりとついてきてくれると、年商1億円から3億円までは、あっという間に成長します。


「すごいよね!」


「俺たち天才!」


って感じで浮かれちゃったりして。




...しかし、そこからが、問題です。


いっくらがんばっても、数字が伸びない。


というか、売上を伸ばそうとするのですが、


プロジェクトが火を噴いたり、


サービスや製品の品質が落ちたり、


様々な問題が発生して、なかなか売上が伸びていかない。


まさに 壁 があるように、売上が伸びていかないんですね。




だから、僕は、この状態を、売上の壁(棚)と言っているのですが。



この売上の壁は、またの名を、


プロダクト化の壁


または


会社化の壁 って呼ばれたりします。



これ、要するに、社長の個人事業から脱し切れていない、会社になりきれていない状態、家内制手工業の状態なのですが。



だいたい、起業する人というのは、技術出身者か、営業出身者が多くて、技術者であれば、その分野では名の知れた人だったり、営業であれば、トップセールス出身者で、販売には自信がある というタイプが多いのですが、これが曲者なわけですね。



日本の場合は、起業家といっても脱サラ組が多いですから。


創業した当初から、お客さんがついている。


特に、トップセールスだったり、その道では第一人者というような技術者の場合、とりわけです。


だからこそスタートダッシュは効くわけですね。

また、ご祝儀的に仕事をくれるケースも多いですし。



しかし、それゆえに、1年もすると、ぱったりと伸び悩みが始まってしまう。



ちょっと長くなりましたので、続きは次回にしましょう。いつもぶつぎりのブログですみません。



春日原森