またまた2009年に書いたわしのmixiレビューより抜粋!


まいど、あつしです。


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西暦1987年(悪魔暦紀元前12年)11月発布の四枚目の大教典(アルバム)である。
メインコンポーザーであったジェイル大橋が脱退し、Sgt.ルーク篁III世(サージェント・ルーク・たかむら・さんせい)が新たに加入した。なお、この悪魔事異動(メンバーチェンジ。人事異動)以来、解散までメンバーが固定する。
ワンマンタイプのコンポーザーがいなくなったため、皆で作り上げた作品という感じがする。前三作までは、ダミアン浜田、ジェイル大橋作曲で占められていたが、今作はエース清水が5曲、ルーク篁が3曲、ゼノン石川とライデン湯沢が各1曲と、楽器隊全員が作曲に参加している。このように作曲陣が一新されたため、当然かもしれないが、前三作からの変化の著しさに驚かざるをえない。おそらく、新しい血であるルークの作品である一曲目を聴いて、何か新鮮なものを感じた信者(ファン)も多いはずだ。新たな聖飢魔IIの始まりを感じたはずである。
音にも変化があり前作とは比べものにならないくらいゴリゴリのハードなサウンドになっている。ボーカルにも変化がある。前三作までは綺麗に歌うという印象だったが、今作からは、がなるようなパワー全開の歌い方に変わっている。


「ROCK'N'ROLL PRISONER」
ルーク篁の作品。先述したように、イントロを聴いた時点で、今までの聖飢魔IIとは違うということが感じられる。前三作はどちらか言えば、ブリティッシュの影響が感じられたのに対し、この曲はかなりアメリカンハードロックの影響が強い。そこが新たな聖飢魔IIを感じさせるのだろう。

「EARTH EATER」
 エース清水作曲の作品。最初から最後までゼノン石川のベーステクニックが冴え渡っている。このように終始チョッパーを使った曲も今までなかったので、更に新鮮に感じるだろう。ゼノンのプレイもそうだが、ギターもボーカルも非常にアグレッシブである。サビのコーラスが意外に良く、曲に彩りを加えている。サビ明けの変拍子になる部分がかっこいい。

「1999 SECRET OBJECT」
ルーク篁の作品。小教典(シングル)にもなった作品で、イントロのギターがインパクトがあってかっこいい。そんなに難しくないのに、かっこよく、しかもうまく聞こえるという非常においしいフレーズなので、世のギター少年にオススメの曲である。楽器屋で試奏する時に困ったら、こいつをかましてやれば良い。曲的にもメロディーが良く、ギターも見せ所満載の秀作である。

「FROG NIGHT」
ゼノン石川の作品。のっそりした曲。Bメロが何げにツェッペリンの「天国への階段」の一部に似ていて面白い。のっそりした印象の曲だが、サビは意外に力強い。

「破れぬ夢の中で」
エース清水作曲の作品。良い具合に疾走し、更にメロディアスな曲でかっこいい。しかし、サビで転調するのだが、これが大変違和感がある。これが成功か失敗かは聴く人次第である。

「BIG TIME CHANGES」
エース清水作曲の作品。ミサ(ライブ)では定番のハードなナンバー。ギターソロが秀逸である。運指的にかなり練られたソロだと思われる。決して高速ではないが相当な練習が必要である。

「NEVER ENDING DARKNESS」
ルーク篁作曲の作品。ギターのアルペジオから始まるバラード。だんだん盛り上がりを見せる壮大なバラードである。この曲からは、哀しさと静かな怒りが感じられる。間奏のツインギターによるメロディーが非常に良い。

「THE FINAL APOCALYPSE」
ライデン湯沢作曲の作品。変拍子の曲である。この曲は聖飢魔IIの中ではかなり異色である。ボーカルは珍しく非常に低音である。なお、二番はゲストが歌っている。ハードロック曲ではないが、タイトルが「最後の黙示録」というように、ある種、非常に悪魔らしい作品。

「CREEPING TWILIGHT」
エース清水作曲の作品。イントロが非常に凝っていて、四分音符を並べているのだと思えば、実はそれは三連符だったということが後で判明する。だから、物凄く違和感を感じた人も少なくないだろう。「なんちゅう所にスネアを入れてるんだ?」と。

「ANGEL SMILE」
エース清水作曲の作品。というか、エース清水が歌っている。歌唱力はデーモン小暮には遠く及ばないが、非常に良い声を持っている。静かなやさしいバラードで、エースの声が非常にマッチしている。クラシックギターでのギターソロが非常に美しい。すごく繊細な曲に仕上がっている。



一般的には「Aメロ→Bメロ→サビ→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→(Bメロ)→サビ」という流れの曲が多いが、(意図的なのかは分からないが)この教典には一曲もこの流れの曲がない。

このように、全体を通して非常に凝っている。そして、内容的に「悪魔」の要素が薄れ、より純粋にヘヴィーメタル・ハードロックを追及した形になってきており、非常に聴きごたえのある作品に仕上がっている。



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ボン。