「素直な子は伸びる」とよく言われますが、そもそも「素直な子」って何なのでしょうか?
万人が納得する解釈として、おそらく
- 純粋に勉強を楽しめる子
- 勉強をやろう、伸びよう、と思っている子
- 人の話を聞くことができて、その話に共感出来る子
を意味しているのは何となく分かります。
でも、実際には、
- 与えられたことに対しいちいち疑問に思ったり突っかかったりせず、もちろん反抗的な態度は一切とらず、淡々とかつ高い処理能力でこなすことができる子
どうも「素直な子」という言葉が、「上から言われたことに黙って従う子」の方便になっているような気がして仕方がないんです。
自分のやり方に固執する子は成績が伸びない、というか教えたくない、などと言い切ってしまうプロの先生もいますが、単に「口答えする子どもは教えたくない」って言っているのと同義としか思えません。
相手の言うことを頑なに拒否するのはよくありません。が、それを聞いてすぐさま飛びつくだけでなく、自分のやり方の間違っている点や改善すべき点をも考察する「こだわり」の精神がないと、 学術的な研究・開発なんて将来全くできない人間になってしまいます。
日本の受験システムは日本社会に適応するための試金石なのか、とすら感じてしまう時があります。
例えば、ブラック部活やブラック企業はその典型で、このようなブラックなシステムを生き抜くために一番手っ取り早いのは、「お上の言うことには黙って従う」、いわば「何も考えない」ことだからです。
最新の技術と情報を駆使しつつも、それによって旧態依然たるシステムがますます強固にされている、それが今の受験システムなのかもしれません。
それに子どもを合わせるためには、余計な雑念を一切取り払った「受験マシーン」になってもらうのが最適解なのかもしれません。
そのためには、いっそ反抗期なんてない方がいい、という考え方もあろうかと思います。実際、反抗期がないままに大学入学を迎えるケースが増えているそうです。
が、子どもに反抗期がないと、大人になってから爆発する可能性も高く、非常に危険です。
自分で判断することを拒否し、やるべきことは全て第三者に決めてもらい、それに従って大学入試に合格できたとして、その先一体どうするつもりなのか、という疑問が頭をもたげるわけです。
その先は、今流行りの外資系コンサルでも目指すのでしょうか?
今後社会で求められるのは、「与えられたことを速く正確にこなす能力」 より、「やるべきこと」も「やる方法」も自分で決める能力です。 「言われたことはちゃんとやりますから、何をやるべきかはアナタが決めて下さい」ではコンサルにはなれません。
ただ「素直」なだけでは、今後ますます不確実性が高くなる世の中を生きるためのレジリエンスを高められません。先回りして課題を与えるばかりではなく、時には子どもに回り道をさせる姿勢も大切だと思います。