チェクナボリアン
「ガイーヌ」抜粋
曲目/ハチャトゥリアン
1.序奏とロシア人の踊り [04:40]
2.クルドの若者たちの踊り [03:51]
3.ガイ-ヌのアダ-ジョ [04:26]
4.ヌネ-のヴァリアシオン [01:34]
5.子守歌 [05:52]
6.アイシェの目覚めと踊り [06:49]
7.レズギンカ [02:36]
8.叙情的な二重奏 [05:07]
9.アルメンのヴァリアシオン [02:01]
10.ガイ-ヌのヴァリアシオンと終曲の踊り [04:53]
11.ばらの少女たちの踊り [02:09]
12.つるぎの舞 [02:22]
13.序奏と長老の踊り [05:40]
14.ゴバック [03:04]
15終幕の情景 [01:47]
指揮/ロリス・チェクナヴォリアン
演奏/ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
録音/1976/10/26.27
P:チャールズ・ゲルハルト
E:ロバート・アウガー
RCA/ARIORA GL71074
ロリス・チェクナボリアンは1970年代から注目していた指揮者でした。最初に注目したのはいきなりボロディンの交響曲全集を発売した時でした。ただ、録音年月日からするとこの録音の方が早かったのでしょうか。調べてみるとRCAへの最初の録音は1976年にシベリウスの交響曲第4.5番をロイヤルフィルと次にチャイコフスキーの「悲愴」をロンドン交響楽団と、そしてこのハチャトゥリアンの「ガイーヌ」をナショナルフィルと録音しています。その後に、ショスタコやボロディンが続きます。1980年代までは怒涛の録音をRCAに残していますが、ほとんど日本では発売されませんでした。この抜粋盤は1986年にデジタル・リマスター盤として発売されました。
ちょっとチェクナボリアンのおさらいです。
「アルメニア人大虐殺(1915)」の際にイランに逃れてきたアルメニア人の両親のもと、イラン西部のブルージェルドで1937年に誕生。8歳からヴァイオリン、ピアノ、作曲を学び、16歳の時にはテヘランで合唱団を結成、アマチュアのオーケストラを指揮、1954年からはウィーン音楽アカデミーでヴァイオリンと作曲を学び、ハンス・スワロフスキーに指揮を師事しました。
その後、アメリカでも学んで博士号を取得したチェクナヴォリアンは、1972年にイランに帰り、テヘラン・オペラの首席指揮者に就任。1974年にはハレ管弦楽団に招かれ、自作のピアノ協奏曲などで成功を収めます。その後、ロンドン・デビューでも大成功を収め、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団やロンドン交響楽団、ロイヤル・フィル、ロンドン・フィルなどに客演する一方、ロンドン・パーカッション・ヴィルトゥオージの音楽監督を務め、さらにRCAとは専属契約を取り交わします。
1978年にはチェクナヴォリアンを中心にロンドンでアルメニア音楽祭を開催するものの、期間中にイランで動乱が勃発、以後、ロンドンを拠点に世界的な活動をおこないますが、1989年からはアルメニア・フィルの首席指揮者に就任したため、アルメニアの首都イェレバンに居を移しています。
チェクナヴォリアンのレコーディングは、RCA, Philips, EMI, ASVなどに約100点ほどあり、ギュルケ版『運命』の初録音や、ショスタコーヴィチの10番、シベリウスの1・2・4・5番、チャイコフスキーの4・5・6番、ストラヴィンスキーの『春の祭典』、サン=サーンス交響曲第3番『オルガン付き』、R=コルサコフ『シェエラザード』などという興味深いものもありました。
作曲活動のほうも熱心で、交響曲や協奏曲、オペラ、バレエなど、すでに75作品ほどを書き上げていて、以前にも紹介しています。
さて、このレコードはイタリアで発売されたものです。全曲盤からの抜粋ですがこの内容で発売されたのはイタリア盤だけです。組曲ではなく抜粋盤として発売されたものです。ディスコグラフィ的にはナショナルフィルとは初めての録音ですが、臨時編成ですが、メンバーはヴァイオリンのシドニー・サックスの元ロンドンの各オーケストラのベテランが参集していますからまんざら知らないわけではないでしょう。ちなみに次のようなメンバーがクレジットされています。
ホルン:ジェームズ・ブラウン
オーボエ:デヴイッド・セオドーレ
コルネット:ジョン・ウィルブラハム
クラリネット:トミー・ケリー
パーカッション:トリスタン・フライ
コンサート・マスターのシドニー・サックスがプロデューサーのチャールズ・ゲルハルトとともに結成した臨時編成のオーケストラで、ほとんどは在ロンドンのオケの演奏者でした。そのため、チェクナボリアンにとっては初のナショナルフィルとの録音でしたが、メンバーは既知の人たちです。
このレコードは全集からの抜粋です。日本では発売されていませんからほとんど知られていません。1986年にデジタリー・トランスファーされて「レッドシール」ならぬミッドプライスの「ゴールド・シール」で発売されました。レーベルはクリーム・イエローでしたが個人的にはこのデザインの方が好きでした。
「ガイーヌ」はバレエ音楽です。という事で、当時のソビエトのスタッフでの録音されたものはどれも金管バリバリでド派手な演奏がほとんどでしたが、この一枚はバレエを中心に据えてそれを盛り立てる演奏に徹しています。このバレエは第1幕から第3幕で構成されていますが、ここではそれらの音楽を筋に沿って並べています。こうしてみると有名な曲は後半に集中しているのがわかります。組曲版は多々発売されていますが、筋を負った抜粋盤は中々ないのでこれは貴重な録音です。その中から、主なものを下記にピックアップして貼り付けました。
序奏とロシア人の踊り
クルドの若者たちの踊り
ガイ-ヌのアダ-ジョ
レズギンカ
バラの娘たちの踊り
剣の舞
ゴバック
終幕の情景