日本のオーケストラを指揮した
世界のマエストロ列伝
著者:野崎正俊
出版:現代芸術社
大戦前に遡り、オペラ公演を含めて日本のオーケストラにとって忘れられない世界のマエストロ101人の列伝と、さらに重要と思われるほかの指揮者150人のデータを名鑑風にまとめた1冊。---データベース---
この本については一度取り上げています。それが下の記事です。
この本は、来日し日本のオーケストラを指揮した人物に絞って生年月日順に取り上げていました。そこでは冒頭にフェリックス・ワインガルトナーが上がっているのですが、ニキシュと並んでもっとも最初の指揮者として崇められた世界的大指揮者のワインガルトナーが来日して、日本のオーケストラの指揮台に立っていたとことは多分知らない人がかなりいるのではないでしょうか。しかも夫妻でやってきてそれぞれが新交響楽団(N響の前身)を指揮したのです。1937年(昭和12)の出来事です。当時としては画期的なことだったのではないでしょうか。そして、生年順は一つの記述方法なのでそれでいいのでしょうが、現在の読者に向けてはやや戦前のウェイトが高すぎるような気がしてしまいます。ただ、この生年月日順だと埋もれてしまうのがそれよりも早い来日を果たしていたジョセフ・ローゼンストックなんですなぁ。
まあ、こういうことがあるのでこの本とは違う切り口でオーケストラ別に「日本のオーケストラを指揮した世界のマエストロ列伝」を調べてみようと思い立った次第です。ただ、この本をベースにしているのでやや雑駁なのはお許しください。
色々と面白い題材を見つけて著書を出すもので、『』(野崎正俊著:芸術現代社刊)という本がある。20世紀初頭から戦前のクラシック音楽界においてニキシュと並んでもっとも最初の指揮者として崇められた世界的大指揮者のワインガルトナーが来日して、日本のオーケストラの指揮台に立っていたとは全く知らなかった。。である。
日本のオーケストラを指揮した世界の指揮者たち
NHK交響楽団
ローゼンストック(36)ワインガルトナー(37)マルティノン(53)カラヤン(54)サージェント(54)グイ(56)シュヒター(57)アンセルメ(64)サヴァリッシュ(64)シルヴェストリ(64)カイルベルト(65)デルヴォー(65)マタチッチ(66)ブーレーズ(67)ディクソン(68) スゥイトナー(71)キタエンコ(72)シュタイン(73)バレンボイム(73)スワロフスキー(73)ギーレン(75)コンドラシン(80)ブロムシュテット(81)スラトキン(84)ノイマン(86)デュトワ(87)サラステ(87)サロネン(88)スヴェトラーノフ(93)マリナー(95)プレヴィン(95)P・ヤルヴィ(95)インバル(96)メルクル(97)ヤング(97)ミョンフン(98)ノリントン(03)アシュケナージ(03)ツァグロゼク(03)ルイジ(08)ノセダ(08)ジンマン(09)デ・ワールト(09)マゼール(12)
他、クレツキ、クルツ、ボスコフスキー、エレーデ、ライトナー、ホルライザー、バルシャイ、クレンツ、アッツモン、プラッソン、ハーガー、コウト、ヤノフスキ、ヴェラー、ホグウッド、シモノフ、バーメルト、スタインバーグ、クリヴィヌ、ナザレス、ビシュコフ、フロール、メッツマッハー、リットン、オラモ、ギルバート
読売日本交響楽団
イッセルシュテット(64)ストコフスキー(65)フィドラー(65)オッテルロー(66)プレートル(67)ヴァント(68)メータ(69)デュトワ(70)インバル(73)ブルゴス(74)キタエンコ(75)ザンデルリンク(76)チェリビダッケ(77)スクロヴァチェフスキ(78)マズア(78)ロジェストヴェンスキー(79)ロストロポーヴィッチ(81)レグナー(81)ドラティ(83)マゼール(87)サンティ(93)アルブレヒト(98)カム(00)セゲルスタム(01)ヴァンスカ(02)ゲルギエフ(03)ラザレフ(03)デ・ワールト(05)カンブルラン(06)オルソップ(10)
他、クルツ、リーガー、ホルライザー、ロヴィツキ、プリッチャード、フレモー、バルシャイ、クレンツ、ボド、ヴァンデルノート、ハンドリー、ヘルビヒ、テミルカーノフ、グッシュルバウアー、ロンバール、マータ、テイト、ホーネック
東京交響楽団
サージェント(54)A・ヤンソンス(58)マルコ(59)ヨッフム(60)カザルス(61)ゲルギエフ(84)クーン(93)P・ヤルヴィ(95)スダーン(97)ノセダ(01)キタエンコ(06)
他、スメターチェク
東京フィルハーモニー交響楽団
グルリット(40)ノイマン(91)マリナー(94)フェドセーエフ(95))ミョンフン(01)カム(04)オルソップ(04)ハーディング(04)エッティンガー(05)ルイジ(06)
他、クアドリ、バルシャイ、プラッソン、ホグウッド、ナバロ、プレトニョフ、ズヴェーデン
日本フィルハーモニー交響楽団
フルネ(58)マルケヴィッチ(60)ミュンシュ(62)マーク(62)シッパーズ(63)ストコフスキー(65)ケルテス(68)ベルグルンド(71)トーマス(71)カム(72)インバル(77)ノイマン(82)I・フィッシャー(85)ゲルギエフ(87)ヴァンスカ(90)ヴィオッティ(93)N・ヤルヴィ(95)ジェルメッティ(95)コボス(01)ラザレフ(03)
他、クレツキ、クルツ、スメターチェク、フェレンチーク、フレモー、ヘルビヒ、ドミトリエフ、ヴィット、ピエロフラーヴェク、ヤルヴィ
新日本フィルハーモニー交響楽団
スダーン(75)ナガノ(86)オルソップ(92)ハーディング(07)カンブルラン(08)
他、ブリュッヘン、ショスタコヴィッチ、ウルフ、メッツマッハー、ギルバート、アルミンク
東京都交響楽団
ベルグルンド(75)コシュラー(76)フェドセーエフ(76)ベルティーニ(81)マッケラス(82)エッシェンバッハ(89)カム(90)マリナー(95)
他、ジュスキント、フレモー、アッツモン、ドミトリエフ、T・ザンデルリンク、クリヴィヌ、A・フィッシャー、リットン、フルシャ、ズヴェーデン、デプリースト、インバル、ホフマン
大阪フィルハーモニー交響楽団
サージェント(54)ケーゲル(79)
京都市交響楽団
キタエンコ(06)
名古屋フィルハーモニー交響楽団
ライナー・ホーネック、ブラビンス、アツモン、フィッシャー
新星日本交響楽団
ノイマン(84)他、バルシャイ、ナバロ、ウルフ
アンサンブル金沢
キタエンコ(08)ミンコフスキ、スダーン
札幌交響楽団
スダーン(75)、バーメルト、エリアス・グランディ(25)
サイトウ・キネン・オーケストラ
ナガノ(97)ドゥネーヴ、メイア・ヴェルバー、マン、ディエゴ・マテウス、ギルバート
紀尾井シンフォニエッタ
ピノック、ナヌート(09)
東京春祭オーケストラ
ムーティ(06)
小生の力で調べれたのはこんなところでしょうか。これで見る限り、NHK交響楽団と読売日本交響楽団が群を抜いて招へいが多いのが分ります。N響はさすがに超一流がずらっと並んでいます。古くはカラヤン、アンセルメ、カイルベルトetc.と夢のような陣容です。ただ、なぜこんな歴史があるのに、技術が高いだけで音楽性とかオケの音色に個性がないのかな。かえって色々な指揮者が入り込み過ぎたからでしょうかねぇ。一時期外来指揮者でシーズンを埋めた時がありましたから読響も想像以上に大物が来ています。イッセルシュテット、ストコフスキー、プレートル、ヴァント、メータ、ザンデルリンク、チェリビダッケ、マゼール・・・楽団にとって貴重な財産でしょう。
このように、毎年のように世界各国から多数の指揮者が来日して日本のオケを振っています。その数は有に300人を優に越すのではないでしょうか。さらに、日本のオケは振らなくても、海外の楽団と来日し公演を行った指揮者も数に入れると、著名な指揮者はほとんど日本を訪れているといっても過言ではありません。今後は女性指揮者も増えてくるでしょうし、逆に来日していない指揮者を挙げる方が容易いほどでしょう。思えばフルトヴェングラー、トスカニーニ、メンゲルベルク、ワルター、シューリヒト、クレンペラー、ライナーぐらいが思い浮かびます。
こうしてみるとよくわかるりますが、ショルティも、セルも、バーンスタイン(PMFは日本のオケではないでしょう)も、クーベリック、ジュリーニ、そしてクライバーたちも来日公演はありましたたが日本のオケは振らなかったことがわかります。
さて、この本の表紙、ジャン・マルティノン、アルヴィド・ヤンソンス、チョン・ミュンフン、そして小さくヘルベルト・フォン・カラヤンが登場しています。これは後書きの中で、著者が日本のオーケストラにとってターニングポイントとなった指揮者として、ジャン・マルティノン、アルヴィド・ヤンソンス、チョン・ミュンフンをあげているからなのですがカラヤンは余分だわなぁ。この中で現役はチョン・ミュンフン、だけです。まあ、これに依存はありません。東京フィルハーモニーの現在のレベルに引き上げた功労者ですからねぇ。そうそう、丁度今週「ブラボー・オーケストラ」でベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」がらじるらじるで聴くことができますが、これは近年聞いた「英雄」の中ではぴか一の演奏です。時間があったら是非耳を傾けてください。4月20日午後8時25分まで聞き逃し配信されていますよ。