デュトワ ヤナーチェク シンフォニエッタ | geezenstacの森

geezenstacの森

音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

デュトワの

ヤナーチェク シンフォニエッタ

 

曲目/ヤナーチェク

シンフォニエッタ Op.60

1.Allegretto(ファンファーレ)    2:18

2.Andante-Allegretto 城(ブルノのシュピルベルク城)    6:25

3.Moderato (ブルノの王妃の修道院)   5:09

4.Allegretto (古城に至る道)   3:02

5.Andante Con Moto-Allegretto (ブルノ旧市庁舎)   7:29

グラコール・ミサ JW 3/9

1. Uvod (Introduction)    3:19

2. Kyrie    3:38

3. Slava (Gloria)    6:41

4. Veruju (Credo)    11:58

5.Svet    5:58

6.Agnece Bozij    4:43

7. Organ Solo (Postlude)    3:01

8. Intrada    1:54

 

指揮/シャルル・デュトワ

演奏/モントリオール交響楽団

ナタリア・トロイツカヤ(ソプラノ:2)

エヴァ・ランドヴァ(アルト:2)

カルディ・カルドフ(テノール:2)

セルゲイ・レイフェルクス(バリトン:2)

トーマス・トロッター(オルガン:2)

モントリオール交響合唱団(2)

録音/1991/10/

   1991/05/06-13、10月(1-5)    モントリオール、聖ユスターシュ教会

P:レイ・ミンシュル

 

 

 シャルル・デュトワは結構レパートリーは広いのですが、この録音はほとんど知られていないのではないでしょうか。まあ、デッカのこの曲の録音ではマッケラスが指揮したウィーンフィルの演奏があまりにも鮮烈でしたからねぇ。ただ、この演奏はその録音とサウンド的には非常に似ているところがあります。そういう意味では二番煎じの演奏という言い方がてきるのかもしれません。

 
 個人的にはシンフォニエッタで一番好きなのはアンチェル/チェコフィルの演奏です。もともと体育大会のオープニングのファンファーレとして書かれたという経緯がある曲ですから、野生みある金管の響きというものがそれにふさわしい演奏でしょう。そういう条件にぴったりの演奏があんチェルの録音です。ここでのデッカの響きは例のデッカツリーを使用したホールトーンをうまく取り込んだ録音です。まあ、演奏会では多分こういう響きがするのでしょうが野生味には欠けます。この曲の演奏には次の編成が要求されています。

 

 フルート4(うち1つがピッコロと持ち替え)、オーボエ2(うち1つがイングリッシュホルンと持ち替え)、クラリネット2、小クラリネット1、バスクラリネット1、ファゴット2、ホルン4、トランペット12(F管3、C管9)、バストランペット2、トロンボーン4、テノールチューバ2、チューバ1、ティンパニ、シンバル、鐘、ハープ1、弦楽五部

 

このうち、バンダは、トランペット9人、テナー・テューバ2人、バス・トランペット(ユーフォニアム奏者またはトロンボーン奏者が演奏)2人だそうです。実際の演奏会では2階席あたりにこのバンダが陣取って高らかに演奏します。

 
 第1楽章はホールトーンを生かした如何にもデッカらしいストレートに伸びた澄んだファンファーレになっています。ホールでの演奏なら多分最上級な響きなのでしょうが、成り立ちを考えるともう少し野趣があったわ宇が個人的には好きです。第2楽章はモントリオール響の洗練された美しい響きに魅了されますが、ここから加わる弦楽の響きが綺麗すぎるかもしれません。もっと活発な音楽を期待したいところですが、モントリオール響のフランス的なトーンにはこれ以上期待するのは無理でしょう。第3楽章は夢見るような音楽です。デュトワの指揮は細かいところまで神経が行き届いていて感心させられることしきりです。第4楽章も柔らかい響きでオーケストラはけしてうるさくならず、バランスのよい音楽です。第5楽章もこれまでの楽章と同じ方向で、音程がしっかり合って一点の濁りやくすみもない、まさしく喨々たる金管群の響きに聴き惚れます。ただ、一種イメージですけれど、ヤナーチェクの音楽の荒々しい力が洗練されてしまって弱められたかなという気もします。
 
 

 

 

 

 

 

シンフォニエッタの過去記事

 

 

 

 

 

 
  一方の「グラゴル・ミサ」も同じような傾向。華やかさと開放感を持った表現で、もちろんこちらも大変鮮やかな出来栄えです。但し、「ミサ」という曲の特質から言えば、神とか信仰とか、敬虔な心情や静謐さがあってもいいなあと思ってしまったのも事実で、ちょっとお祭り騒ぎ的な雰囲気が無きにしも非ずです。まあ、ここでは「シンフォニエッタ」を中心に聴いていますから、こちらの方はこれ以上の感想は差し控えます。なを、このCDにはこのミサの対訳がついています。