デルヴォー / フランス管弦楽名曲集 | geezenstacの森

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デルヴォー

フランス管弦楽名曲集



曲目/
1.ラヴェル:ボレロ  16:27
2.サン=サーンス:交響詩『死の舞踏』

3.デュカス:交響詩『魔法使いの弟子』 11:56
4.シャブリエ:狂詩曲『スペイン』 5:58
5.ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲 9:45

指揮/ピエール・デルヴォー
演奏/コロンヌ管弦楽団

 

録音/1961

東芝EMI AFRC-521

 

 

デュカス、シャブリエ、ドビュッシー、ラヴェル、サン=サーンスというフランスの作曲家5人の、代名詞的名曲5曲を収録したお徳用とも言えるディスクです。フランスのオーケストラの魅力のひとつが木管楽器の響きの美しさ。このコロンヌ管弦楽団もその例に漏れず、気品のあるサウンドが実に魅力的です。デルヴォーにとってはこうした選曲、オーケストラでの演奏は得意中の得意。自然体で曲に向かい、爽快なテンポでオーケストラを歌わせ、フランス的なムードを巧みに演出しています。

 

 ピエール・デルヴォーの名前を室たのはずいぶん前です。日本コロムビアから発売されていたダイヤモンド1000シリーズに組み込まれていたお色ディスク原板らよるメンデルスゾーンの「イタリア」と「夏の夜の夢」をカップリングした一枚でした。デルヴォーは名前の通りフランス人指揮者でしたがメンデルスゾーンを巧みにフランス流に料理していました。このブログの初期に取り上げています。

 

 

 オイロディスクに録音したのはちょいと異質でしたが、この演奏には痛く惚れ込み今でも時々このレコードを引っ張り出しては聴いています。元々はフランスですからパテにいろいろ録音しています。その中の一枚がこのレコードですが、これも洒落た演奏で、1960年台のフランスのローカル色豊かな音色を讃えた録音です。彼の残したラヴェルの「ボレロ」では、本命としてはこの1961年のEMIへの録音ですが、実はオイロディスクにもハンブルク国立フィルと録音を残していますし、さらにはコマンドクラッシックスにもおなしせコロンヌ管弦楽団と35㎜マグネチックフィルムに録音したものも存在していますし、さらにはNHK交響楽団とのライブ録音も存在します。そして、面白いことにここでの演奏もテンポ的には遅いのですが、このハンブルク国立フィルとの録音は多分調べた限り史上最も遅い「ボレロ」ではないかということです。巷に流布している情報ではフレイタス・ブランコシャンゼリゼ管弦楽団との18分36秒らしいのですが、このデルヴォー/ハンブルクはそれを上回る18分40秒なのです。まあ、一般的に演奏は次のような演奏時間です。

ポール・パレー/デトロイト交響楽団:13分25秒
ドホナーニ/クリーヴランド:14分19秒
アンセルメ/スイスロマンド:14分20秒
ブーレーズ/ベルリンフィル:14分58秒
デュトワ/モントリオール:15分13秒
クリュイタンス/パリ音楽院:15分27秒

マルティノン/シカゴ響:13分41秒

チェリビダッケ/ミュンヘンフィル:18分11秒

ってなとこでしょうか。超感上、このコロンヌとの録音は多分これをバレエとして踊った場合は一番踊りやすいテンポではないかなぁというのが感想です。まあ、一度聴いてみてください。

 

 

 サン・サーンスの「死の舞踏」はこのオーケストラとはゆかりのある曲で、初演は1875年1月24日にパリのシャトレ座にて、エドゥアール・コロンヌ指揮、コロンヌ管弦楽団によって行われているのです。

 

 

 今回このレコードを引っ張り出してきて一番最初に聴いたのは実はデュカスの「魔法使いの弟子」でした。8月3日のレコードコンサートでかける曲目で、その参考にと聴いてみたくなったからです。そして。その語り口のうまさに聴き入ってしまいました。とても洗練された演奏とは言えないのですが、この曲の持つファンタジックな曲想とデルヴォー/コロンヌ管の土臭さとフランス訛りのある妙に人懐っこい語り口はなんとも言えないエスプリに溢れています。これはおもしろいえんそうです。

 

 

 シャブリエの狂詩曲「スペイン」は昔は散々CMで聴いた曲です。デルヴォーの解釈は基本的に変わりませんが、この演奏はちょっと低域がだぶついていて音に締まりがないのが残念です。別にパリ音楽院管弦楽団との録音があり、そちらの方が出来がいいかなぁ。

 

 

 最後はドビュッシーの「牧神の古語への前奏曲」です。この演奏におけるフルートのソリストの名前は書かれていませんが、味がありますねぇ。いかにもフランス物の演奏という雰囲気があります。この時代の録音はそういう香りがします。今はコロンヌ管弦楽団の録音はそうそう聞くことはできませんからねぇ。一つの時代を形成した名演奏と言ってもいいでしょう。