大盛況!静岡市美術館 琳派、若冲、ときめきの日本美術―」 | geezenstacの森

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静岡市美術館

京都 細見美術館の名品

―琳派、若冲、ときめきの日本美術―

 

美術館1Fエントランスの「太陽讃歌」 前島秀章

 

会場入り口

 

 この展覧会は、約1,000点にもおよぶ良質なコレクションの中から、重要文化財8件を含む名品104件を厳選して紹介しています。古墳時代の考古遺物、平安・鎌倉時代の仏教や神道美術、室町時代の水墨画・茶の湯釜、桃山時代の七宝装飾・茶陶、江戸時代の風俗画・肉筆浮世絵。そして高い人気を誇る琳派、伊藤若冲など名品が一堂に展示されています。個人的には昨年の京都嵐山の「福田美術館」とともに感動した展示でした。

 

《花車図屛風》江戸後期

 

 ここも写真撮影は禁止ですが、ネットにはこの催しの写真が溢れかえっています。そして、しょっぱなから重文が並んでいます。この展覧会は5章で構成されていて、

I.祈りの形

II.数奇の心

Ⅲ.華やぎのとき

Ⅳ.琳派への憧れ

Ⅴ.若冲のちから

で、構成されていました。

 

◇I. 祈りのかたち

 

 優美な意匠の和鏡、精緻な模様が施された荘厳具や密教法具、鮮やかな彩色の仏画など、細見コレクションの原点であり根幹をなす仏教・神道美術の名品が並びます。「金銅春日神鹿御正体」はタペストリーにもなっていて、いやが上でも目につきます。

「金銅千体阿弥陀懸仏」は細工が美しく品が良い。「羽黒山銅鏡」は三十面有るも展示方法か悪くとても見にくく残念。
数奇のコーナーでは「芦屋霰地楓鹿図真形釜」が素晴らしい。ふっくらした胴に繊細な模様、環付や蓋の細工もそれはそれは見事。

 

重要文化財《金銅春日神鹿御正体》

 

重要文化財《金銅千体阿弥陀懸仏》鎌倉前期

 

金銅透彫尾長鶏唐草文華髪 鎌倉時代

 

重要美術品《金銅三昧耶五鈷鈴》鎌倉時代、重要美術品《金銅五鈷杵》平安後期、重要美術品《金銅金剛盤》室町時代

 

II.数奇の心

 

 初代古香庵・細見良氏が、茶の湯釜の蒐集をきっかけに、数寄者との交流を深め、蒐集した茶の湯に関係する作品などを展示していました。特に「根来」は、昭和10年代から蒐集・研究し、茶席に用いてその普及を促したようです。

 

「根来亀甲文瓶子」室町時代

 

Ⅲ.華やぎのとき

ここでは、神仏の荘厳、空間を彩る調度品など、日本美術のさまざまな「かざり」の中から、七宝で作られた釘隠しや引手、豪華な蒔絵や螺鈿が施された漆工芸品。そして、華やかに着飾り、楽しむ人々を描いた近世初期風俗画や、葛飾北斎の美人画など「かざりの美」を展示する。この中であまりクローズアップされていませんが、山東京伝の「江戸風俗図鑑」がさりげなく展示されていましたが、男女色々な職業をスタイル画風に表現し、陰間(男娼)や花魁、茶屋娘に神子など江戸時代の男女の姿態を見事に描いていて見入ってしまいました。

 

男女遊楽図屏風 江戸前期

七宝梅枝文釘隠 江戸前期

 

奥から「桜幔幕蒔絵螺鈿重箱」、菊蒔絵徳利、「藤蒔絵堤重」

 

五美人図 葛飾北斎

 

Ⅳ.琳派への憧れ

 

 「琳派への憧れ」では、琳派初期の俵屋宗達から江戸中期の尾形光琳。江戸琳派を代表する酒井抱一・鈴木其一。そして、近代の神坂雪佳まで、琳派を代表する絵師たちの作品が紹介されていました。

 

 

本阿弥光悦書、俵屋宗達下絵 《忍草下絵和歌色紙「郭公」》 江戸前期

 

酒井抱一《桜に小禽図》江戸後期

 

 

金魚玉図 神坂雪佳 明治末期
 

Ⅴ.若冲のちから

 

「第五章 若冲のちから」では、近年その卓越した画力が再評価されるとともに、“奇想の画家”と呼ばれ国内外で高い人気を誇る伊藤若冲の初期の作例から晩年まで、細見美術館が所蔵する全19件が一堂に展示されていました。また弟子にあたる若演の作品も展示されていたのが目を引きました。

 

伊藤若冲 《糸瓜群虫図》 江戸時代中期 

 

伊藤若冲 《雪中雄鶏図》 江戸時代中期

 

伊藤若冲《鶏図押絵貼屛風》

 

 

 

 

伊藤若冲 《群鶏図》 寛政8年

 

 まあ、見どころ満載の展覧会でした。名を、5月3日には来館者が1万人を超えたようで、この日も朝からひっきりなしに来館者が詰めかけていました。