愛知県医師会交響楽団 第40回定期演奏会き | geezenstacの森

geezenstacの森

音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

愛知県医師会交響楽団

第40回定期演奏会

 

 

アンコール:ドヴォルザーク/ユモレスク

 

 いつもは愛知県芸術劇場コンサートホールで開催されているのですが、今回は会場が押さえられなかったということで「閉館が決まっている「白川ホール」でのコンサートになったということです。この白川ホールは2月いっぱいで閉館することになっています。そんなこともあり、この1-2月はびっしりスケジュールで埋まっています。コロナ禍で決まったことですが、昨今の利用状況を考えたら存続でも問題ないと思うんですけどねぇ。自民党の不祥事で、政党交付金を削ってこういうところに金を回せないものでしょうか。

 

 

 当日の講演は寄付金付きの前売り券は完売ということでした。そんな状況で、県芸のキャパが半分ぐらいということで混雑するかもと思いちょいと早めに出かけました。曲目がどちらも好きな曲なので最初からチェックしていたコンサートです。ただ、当初の予定では仕事の出勤日になっていたので諦めていたコンサートですが、変わってほしいと言われたので偶然にも行けることになりました。

 

 

 開演前のステージの様子です。主催が愛知県医師会で、「名古屋小児癌基金チャリティコンサート」とあるように、普通のコンサートとは様子が違い最初に関係者が登場してチャリティ募金の贈呈式などが行われました。そんなことでちょっと指揮者の顔がボケてしまいそうな演奏会ではありました。また、交響曲が2曲というのも自信の程が現れているプログラムです。

 

 指揮者は初見参の佐々木新平氏。プロフィールによると秋田県出身。東京学芸大学芸術文化課程音楽専攻を経て、 桐朋学園大学にて指揮を専攻。これまでヨーロッパ各地の国際指揮マスタークラスに選抜され、J.パヌラ、H.アンドレシュク、M.ストリンガーの各氏に師事。2010年より2年間、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団指揮研究員をつとめ、飯守泰次郎、矢崎彦太郎両氏をはじめとする指揮者のもとで研鑽を積んだ。在任中はアシスタント業務のほか文化庁公演をはじめ数々の公演を指揮する。コンサート以外でも、2015年1月公開の映画『マエストロ!』では、撮影前の準備段階から制作に携わり、西田敏行氏への指揮指導のほか劇中音楽収録の指揮も担当する。2016年12月公開の映画『海賊とよばれた男』では、メインタイトルほか劇中音楽を指揮する。また安倍なつみのアルバム「光へ-Classical&Crossover」のミュージックビデオでの指揮やフルオーケストラによるゲーム音楽のレコーディングなど、多方面に活動の幅を広げている。

 

とあります。「マエストロ」ではトンカチを持って指揮する西田敏行氏がユニークでしたが、現在TBSで放送中の「さよならマエストロ」でも西田氏が登場していますから何か親近感を感じます。

 

 さて、大曲の一曲目、シューマンの交響曲第4番です。シューマンの交響曲では一番好きな曲です。指揮者が登場し、指揮台に登ると間髪を入れずに演奏が始まります。第一楽章の冒頭は、弦楽器による重厚な和音で開始されますが、1つ気になったのはバイオリンのピッチが合っていないことです。最近のコンサートではちょくちょく感じるのですが、お客さんのいない方での練習とお客さんが入った後でも本番はかなりホールの状況に違いがあるのでしょうか。冒頭の弦のピッチが合わない合っていないと言う現象ちょっと耳にします。特に冬場は最初のチューニングにもっと時間をかけても良いのではないでしょうか。演奏は至極重厚なサウンドで開始されました。何しろ第一バイオリンが6プルトに対してコントラバスが6本もあります。これで重厚に響かない事はありえないでしょう。ちなみに、この日の編成は、他に第二バイオリン6、ビオラ5、チェロ3.5プルトと言う弦の構成になっていました。

 

 もともとこの交響曲は、4楽章がアタッカでつながる形で書かれています。今回もそのオリジナルに従って各楽章がアタッカでつながっていました。ですから、全体が1つの交響詩のような構成で音楽が響きます。以前どこかの記事で、このオーケストラの水準は高いということが書かれているのを読んだことがありますが、それはメンバーがほぼ固定されていて、エキストラがビオラに1人、トランペットに1人、トロンボーンに1人と言うだけの構成で成り立っているからでしょう。

 

 実はこのオーケストラには、仕事仲間も1人参加していて、前日もきっちり仕事をこなしてからリハーサルに参加していました。そういうこともあり、親近感を持ってこの演奏を聴くことができました。前評判通りきっちりとしたアンサンブルで大きな音楽がホールを包んでいました。ただ、この曲が生まれた背景には、もう少し音楽遊びがあってもよかったかなという感じがしないではありません。指揮者はインテンポでぐいぐい押していきますが、もう少し全体に音楽の膨らみがあったら、この曲の魅力がもっと伝わったのではないかと思いました。

 

 後半はドヴォルザークの交響曲第8番です。この交響曲を初めて生で聞いたのはドイツのボン・ベートーベンホールででした。その時までにこの交響曲は、ほとんど知りませんでした。レコードで初めてこの交響曲を聞いたのは、ブルーノワルター指揮コロンビア交響楽団の演奏でした。ただ初めてそのメロディーが流れた時なんて親しみやすい交響曲なのだろうと言う感想がありました。それもあり、生で聴いたときの音の広がり、意外にも土の匂いがプンプンする演奏ということでも非常に記憶が残っていた曲です。

今回の演奏でも、随所にそのドヴォルザークの土着性というか、交響曲自体が持つ民族性というのが非常に色濃く現れていた演奏ではないかと思います。たまたま、後でプログラムの解説記事を読んだのですが、そこでも指揮者がそういう部分をもっと引き出して演奏するようにと言う指示を飛ばしていたと言う記述がありました。

 

 この交響曲は、随所にソロが活躍する曲でもありますが、個人的な記憶の中では、第4楽章のフルートのソロ部分、そしてトランペットの咆哮が目立つ部分でもあります。ソロの部分はえてして指揮者は自由に演奏させるようにしているようですが、鑑賞した場所が2階バルコニー席と言うのもあるのでしょうが、トランペットの響きがやけに大きく聞こえたのが印象的でした。ドヴォルザークの曲としては、次の第9番の「新世界より」が1番有名なのでしょうが、個人的にはこの8番が1番好きな曲です。そういうこともあり、今回の演奏会はおいしい曲が並んだということで、十分に満足した演奏会となりました。

 

 

  ちょっと早めに出かけた演奏会開演までに時間がありましたから、ホールの中をぶらぶらとしてみました。来月いっぱいで閉館ということで、そこに飾ってある絵画作品を見て回りました。

 

 

 

image
 中央階段の回り込みにある壁面のオブジェ

 

  作者や作品名の表示はありませんが、館内の各所に統一感のある作品が随所に飾られています。

 

 

 

 

 ホール左右のロビーにある絵画の数々

 

閉館とともに、これらの作品はどうなるんでしょうかね?