バーンスタイン名盤100選 LPジャケット美術館 II | geezenstacの森

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バーンスタイン名盤100選

LPジャケット美術館 II

 

著者/高橋敏郎、佐渡裕
発行/新潮社 とんぼの本

 

 

 今年生誕90年のマルチ・アーティスト、バーンスタイン。最後の愛弟子と稀代のLPコレクターが組んで、その熱い生涯と芸術を100枚の「LPジャケット」でつづる画期的アートブック。---データベース---

 

 昨日第1集(2007)を取り上げましたがこちらはその翌年の続巻です。それもバーンスタインだけのレコードを取り上げています。正しくはバーンスタインの演奏ものだけでなく、弟子筋にあたる小澤征爾や佐渡裕、さらには大植英次、M.Tトーマスの演奏も収録されています。まあ、作曲家バーンスタインの作品を取り上げているということではバーンスタインなんでしょうがね。そして、「LPジャケット美術館」の文字がこちらは入り変わって小さくなっているのは時代的にCDでしか発売されなかったものや、LDのソースまで注ぎ込んで100選に漕ぎ着けています。

本書の章立てです。
第1章 バーンスタインの肖像
第2章 作曲家バーンスタイン(Stage他)
第3章 作曲家バーンスタイン(Orchestral)
第4章 指揮者・ピアニストバーンスタイン(〜1960年代)
第5章 指揮者・ピアニストバーンスタイン(1970年代〜)
第6章 バーンスタインVSアート
 

 

 第1章で取り上げられているRCA時代のバーンスタイン、ここで使われている写真を見ると映画でバーンスタイン役を演じたブラッドリー・クーパーを思い出してしまいます。1946、47年SPからの復刻CD

 

 バーンスタインのレコード中「ウェスト・サイド物語」とともに空前のベストセラーになったアルバムで、1958,9年の録音の一枚です。ピアノを弾きながら指揮もするというそのスタイルはアメリカのスーパースターの誕生だったのでしょう。この決めポーズも実演に接したことがある人なら納得できるショットでしょう。えいがにもこういうカッコイイポーズが次々と登場しています。

 

 

 秀逸なデザインのベートーヴェンの「英雄」のジャケットです。この録音は1964年1月のものですが、ベートーヴェンを挟んでナポレオンとレニーが対峙しているのがいいですねぇ。名を発売当時、「英雄の誕生」というボーナス盤がついていました。

 

 

  1960年5月録音時の壮年期のバーンスタイン。ヨーロッパに留学経験のないバーンスタインの作曲家としての分析力で挑んだブラームスの1番です。

 

 

 珍しい髭面のバーンスタイン。1976年10月のコンサートでの風貌です。この時レニーは妻のフェリシアとは別居中でした。ピアノはその妻の恩師だったというクラウディオ・アラウというのも何かのインルンでしょう。心なしかレニーの表情は物憂げで精彩がありません。

 

 モーツァルトのレクイエムを1978年10月、癌で亡くなった愛妻のためのライブとして録音をし、CDのジャケットに愛妻の写真を使ったバーンスタイン。奥さんが美人なのでLPジャケットとしてはピッタリだが、巨匠のやることはすごい。

 

 ここでは共著として佐渡裕氏の名が記載されていますが、記事としてはコラムを2本書いているだけです。ここでも高橋氏は自前のコレクションを駆使しながら、その思い出の一枚一枚にその録音に関するエピソードを語りながら紹介しています。

 

 

 この一枚はバーンスタインが初めてデッカに録音した一枚として所有していた記憶があります。その珍しさのために購入したものですが、当時はバーンスタイン自体に興味がなかったので90年代にパソコン代捻出のためにオークションで売却してしまっていました。今となっては慙愧の極みです。

 

 

 バーンスタインはハイドンの交響曲もかなり録音していますが、これはちょっとショッキングな一枚でした。何しろマリア・テレジアの首がちょん切れていますからねぇ。デザイン的にはそこに曲名をタイプしていますからはらんすは取れています。歴史的な事実に踏み込むとこういうデザインもありですな。こんな記事を書いています。

 

 

 

 

 はて、女性モデルがジャケットに登場することは初期のイージー・リスニングのアルバムには当たり前のようにありました。でも、これは礫としたバーンスタインのフランスものの一枚です。これにボレロでも含まれていたら多分ベストセラーになったのではないでしょうか?1960-61年の録音です。

 

 前巻ではバーンスタインのレコードは6点しか取り上げせれていませんでした。いずれもCBSかEMI時代のものです。DGGは一枚もなかったんですなぁ。まあ、今回も本書では何枚も取り上げられていますが、できるだけカットしました。ジャケットにわざわざ黄色い枠をでかでかと使っているのが我慢できないからです。これはDGGの自己満足であってジャケットデザインには相応しくないと思われるからです。最低限の意味のある2枚のみを取り上げたのはそういう意味があります。まあ、DGG自身もそれを反省してか、後年のCD時代になってからはスタンプ程度の黄色い枠を片隅に排しただけのジャケットを採用していました。

 

 そういうジャケットデザインの変遷も窺い知ることができるなかなか興味深い一冊です。もちろんバーンスタインのラストコンサートのCDも、LP第1号の収録されています。ぜひ手にとって30㎝x30㎝の芸術を手に取って楽しんでください。

 

 

 

 下はソニーのバーンスタイン1000円盤で発売された50選のカタログ

https://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Special/LeonardBernstein/100th_catalog.pdf

 

 下は弟子の佐渡裕が語るレニーとの思い出

 

 

 

バーンスタインとある日本人のラブレター