カラヤン スッペ序曲集 | geezenstacの森

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カラヤン スッペ序曲集

 

曲目/フランツ・フォン・スッぺ

1.「軽騎兵」序曲.  7:34
2.「ウィーンの朝、昼、晩」序曲.  8:46
3.「スペードの女王」序曲.  8:22
4.「美しきガラテア」序曲.  7:26
5.「怪盗団」序曲.  7:04
6.「詩人と農夫」序曲.  9:15
 
指揮/ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

録音/1969/09/24.25 イエス・キリスト教会 ダーレム

P:オットー・ゲルデス

E:クラウス・シャイベ

 

ポリドール DGG MG2395(原盤2530051)

 

 

 ぎりぎり1960年代の録音です。1970年代のカラヤンは年代別のボックスセットを所有していますが、1960年代はほとんど手を出しませんでした。ましてゆ、こういう曲集はレコ芸のベスト300とかベスト500の対象外とあって、発売された時にしか注目を浴びない隠れ名盤と言っていいでしょう。ましてや小生はレコード時代は国内版はありませんでしたが海外のヘリオドール・レーベルで発売されていたステファン・ラコーンの指揮するアルバムを所有していたので、それ一枚あれば十分でしたから、このカラヤン版もそれほど興味はありませんでした。

 

 そんな中、最近中古盤で入手したタイミングで色々調べてみると、これは結構名盤であることがわかりました。このレコードは志鳥栄八郎氏が解説を書いていますが、わざわざコラム欄を作ってそこで、このカラヤンのこのレコードの意義を褒め称えています。そこには以下のように書かれています。

《このレコードには、スッペの序曲が6曲収められているが、私の20数年にわたる評論生活の中で、スッペの序曲をこれほど集めたレコードは、かつてほとんどなかったように記憶している。

ご存知のように、スッペの歌劇は現在はほとんど上演される事は無いが、序曲だけはしばしば演奏されている。そして、スッぺの序曲はこの6曲を聞けば卒業だと言っても言い過ぎではないであろう。また現在はほとんど聞くことのできない「怪盗団」序曲が演奏されているが、こういったところに、カラヤンの趣味性といったものがよく出ているのである。ともかく、このレコードは大変選曲の良い、しかも演奏も卓越な滅法楽しい1枚と言えよう。》

 

 ということで、このレコードは、発売当時は推薦版になっていました。ただどうしたことか、録音票は神馬しいものではなく、ちょっとがっかりしたのを覚えています。そんなことで主張は先送りにしていたのですが、この正月にターンテーブルに乗せてみることにしました。いやいや、思った以上に良い音がするではありませんか。グラムホンも60年代末にはそれまでの録音傾向と違って、かなり奥行きのあるサウンドを作り出していました。この1枚は、それまでのイエスキリスト教会で収録されています。なかなかバランスの良い響きです。

 

  

 スペの作品は、今ではほとんど上演される事はありません。ただ序曲はよく知られていて、たまにコンサートの演奏曲目に登ります。スッぺの作品の中でこの「ウィーンの朝・昼・晩」、序曲はまだ知られている方でしょう。イタリア生まれのウイーン育ちの彼はイタリア的陽気さとウィーン的優雅さを合わせ持っていて、この作品はその両方を併せ持った曲になっています。

 

 

 3曲目の(スペードの女王)はほとんど知られていないのではないでしょうか。同名の作品はチャイコフスキーにもありますが全く関係がないようです。こちらはやはり序曲だけが演奏されるようです。弦楽の特徴的な刻みの序奏で開始されますが、こういう部分の音楽の扱いはカラヤンは手慣れたものです。続く主部の華やかな部分との対比も見事でこういう消極でも手を抜かないカラヤンの手並みはさすがです。それにプラスしてオーケストラのうまさが加われますから鬼に金棒の演奏になっています。智勇幹部のフルートの二重奏が聴きどころでもあります。

 

スペードの女王総譜

 

 

  B面の曲目になると全く初めて聞くような曲が並びますが、この「美しきガラテア」は比較的知られている曲でしょう。華やかなマーチで開始され劇中の音楽が次々と紡がれていく作品です。ストーリーは他愛のないもので今では序曲しか演奏されることが無いようです。こういう曲を聞くとすっぺはメロディメーカーとしては優れた才能を持っていたことが割ります。

 

 

 「怪盗団」という曲は、このカラヤンのレコードで初めて知りました。こんな作品もスッペの作品の中にはあったんですなぁ。トランペットが中心となった金柑のファンファーレで景気良く開始されます。まあ、後は現に夜合奏やソロガックが活躍するワンパターンで進行していきます。そんな作りでも、カラヤンは音楽を飽きさせない工夫で曲を盛り上げています。

 

 

 最後の「詩人と農夫」よく知られた作品で、ケーキ平序曲の次に演奏される作品ではないでしょうか。すっぴんの作品はオペレッタと称するもので、日本では喜歌劇と訳されています。多分浅草オペラの演目の中では、このスペの作品はかなり取り上げられていたようです。

 

 

 ここでは収録されていませんが、「ボッカチオ」という作品では有名な「恋はやさし、野辺の花よ」や「ベアトリ姉ちゃん」なんかがよくしられていますから「ぼっかちお」が収録されていたら日本ではもっと売れたでしょうなぁ。ただ、序曲にはゆしられた旋律は現れませんけどね。