バーンスタインのハイドンのびっくりジャケット | geezenstacの森

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バーンスタイン
ハイドンのびっくりジャケット

Bernstein :Haydn
曲目/ハイドン
Symphony No 84 In E-Flat Major
1. Largo; Allegro 7:55
2. Andante 6:05
3. Menuetto: Allegretto 3:35
4. Finale: Vivace 5:25
Symphony No 85 In B-Flat Major "La Reine"
5. Adagio; Vivace 8:25
6. Romanze: Allegretto 5:10
7. Menuetto: Allegretto 4:35
8. Finale: Presto 3:10

 

指揮/レナード・バーンスタイン
演奏/ニューヨーク・フィルハーモニック

 

録音/1966/05/14,20 
   1966/05/20 フィルハーモニック・ホール
P:ジョン・マックルーア

 

COLUMBIA MS6948

 

イメージ 1
 

 

 LP時代はバーンスタインはほとんど興味を持っていませんでした。当然、彼の代表盤といわれるマーラーはまだまだ一般的ではなく、一枚も持っていませんでした。この一枚はジャケ買いしたものです。無茶苦茶ショッキングな一枚で、女性の首が切断されています。このジャケットを手にしたときはその奇抜なデザインに思わず手を止めました。演奏者は二の次でした。で、よく見てみるとレナード・バーンスタインの文字が見えるではありませんか。その時、バーンスタインはハイドンも録音しているんだと納得して購入を決めた一枚です。

 

 交響曲第84番はニックネームがありません。バーンスタインはハイドンのパリ交響曲を録音していますが、最初から6曲を録音するつもりは無かったようで、82.83番を1962年に録音してからかなり、間を空けていました。そして、84番と85番をセットで録音しています。85番は「王妃」というニックネームを持っていますから、このジャケットはそれに拠るものでしょう。このニックネームの由来は、時のフランス王妃のマリー・アントワネット(左絵)が気に入っていたからと言われています。あらためて、ジャケットを見るとそのマリー・アントワネットが描かれています。歴史的事実として、マリー・アントワネットはギロチンで処刑されていますから、このジャケットはそれを象徴しているのでしょう。

 

 1960年代というと、ハイドンの交響曲はフルオーケストラで演奏されるのが当たり前でした。ここでも、バーンスタインはコンサートで取り上げながらフル編成のオーケストラでこれらの曲を演奏しています。でも、こういう演奏好きです。この時代のバーンスタインはリズムがきっちりしていて、躍動感があります。84番は序奏の付いた第1楽章からはじまりますが、からっとしたラールゴではじまり、はじけるようなリズムでアレグロに繋がっています。

 

 ハイドンの交響曲はこの辺りの作品を聴いていると、シューベルトのような味わいがあります。弦に旋律を謳わせながら重厚にならずすっきりと音楽を纏めています。晩年のウィーンフィルとの演奏はこうはいってませんからね。

 

 

 ところで、やはり、聴きものは交響曲第85番でしょう。こちらも、すっきりとしたアプローチで王妃の悲劇性をあまり強調していません。カラヤンもレコード時代は84、85番をカップリングしたレコードを録音していましたが、よりドラマチックに仕上げていて、例のレガートタッぷりな味付けは劇的ですらあります。このバーンスタインの演奏を聴いた後ではちょっと演出過多なんじゃ?と思えるくらいです。

 

 

 ただ、バーンスタインのコロンビアの録音は、この録音でも遭難ですが、スタジオに恵まれなかったようで、セッションはあちこちで録音されています。プロデューサーはマックルーアが殆どを担当していますが、30番街スタジオやマンハッタンセンター、そして、このフィルハーモニックホールと一定していません。そういう点でここでは響きがややデットでバーンスタインの元気さだけが取り柄の演奏となっていて、あまりまともに再発されない所が残念です。