ストーンヘンジの謎 | geezenstacの森

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ストーンヘンジの謎

著者 キャロライン・アレクサンダー
発行 ナショナル・ジオグラフィック

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 「ナショナル・ジオグラフィック」という雑誌をご存知でしょうか。今は日本語版が発行されていますから、多分名前だけは知っている人も多いのではないでしょうかね。最近「ファイナンシャル・タイムズ」を買収した日経が日本語版を発行しています。小生がこの雑誌と出会ったのは多分中学生か、高校生の最初の頃だと思います。当時は日本語版なんてありませんから、当然英語版です。体裁は今とほとんど替わりがありません。黄色時の囲みの中に写真が一枚でーんと配されたレイアウトです。判型も変わりません。上の写真と同じですね。

 1888年の創刊といいますから今年で127年という事になります。伯父から貰ったこの雑誌は、その写真の素晴らしさに驚いたものでした。文字はほとんど理解出来ませんでしたが、その写真からは文字にも勝る世界の今の表情を読取る事が出来、日本の出版社が如何に商業主義で文化というものをないがしろにしているのかという事を実感させられたものです。学生という事で地理に興味があったせいもあるでしょうね。多分それが潜在意識になっていたのでしょうか、それまで国内旅行もした事が無かった人間が、大学卒業の記念にと海外旅行を企ててしまったのですから。それは1ヶ月間ヨーロッパを旅行するというものでした。

 そのスタート地点がイギリスでした。気ままな学生の旅行です。バックパッカーさながらに最初はロンドンをほっつき歩き、それこそ大英博物館だビックベンだと歩き回ったものです。しかし、個人的にはどうしても行きたい所があり、それが「ストーンヘンジ」だったのです。ただ、このストーンヘンジ、ロンドンから200キロ離れていますが、交通の便が余り良くありません。で、当時は仲間を募ってレンタカーで行く事にしました。1970年代で中頃で国際免許証なんて存在も知りませんでした。とりあえず日本の免許証を持っていったのでそれでレンタカーを借りる事が出来ました。イギリスは日本と同じ左側通行ですから車の運転は何の支障もありませんでした。てなわけで、個人的に最初に訪れた世界遺産はこの「ストーンヘンジ」だったのです。

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 いまでも、ストーンヘンジの謎は完全に解き明かされたとはいえません。ましてや当時は、イギリス人でもそれほど訪れる人がいませんでした。なにしろソールズベリー草原のなかにぽつんと遺跡があるだけですからね。当時はまだ、観光地化されていなくて土産物屋も無かったくらいです。管理小屋があってそこで何がしかの入場料は払った記憶があります。国が管理していますからね。でも、国有化される1918年までは荒れ放題だったようで、翌年から修復工事が開始され現在のような形に成ったようです。ストーンヘンジはイギリス国内で2,000以上もあると言われるストーン・サークル(環状列石)のなかでも規模が大きく、約5000年前に建てられて以来、世界中の多くのミステリーファンの興味と関心を惹きつけています。このストーンヘンジの特集をナショナル・ジオグラフィックでは2008年の6月号でしました。て、書店で見かけて懐かしさもあり購入した次第です。

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 従来ストーンヘンジは宗教的な儀式として使われた遺跡というのが定説のようになっていましたが、最近では遺跡の地下の調査が行われ、その周りに17個もの遺跡が存在することが判明しました。その変遷を辿る事が出来るイラストがこの特集で紹介されていました。ストーンヘンジの建設が始まったのは、紀元前3500年前の新石器時代であり、石ではなく、土を円形に持った土塁でした。それから青銅器時代までの1500年間をかけてストーンサークルへと変化・発展していったということが明らかになりました。つまり、紀元前2800年、2300年、1500年の3度にわたって建設されたのではなく、1500年という長い年月を経て、少しずつ形成されていったということになります。

 ストーンヘンジを誰が作ったのか、という謎は解明されつつあります。しかし、どうやって作ったか、何のために作ったのかという謎はいまだに解明できていません。また、トーンヘンジに用いられた石が、ストーンヘンジから400キロ以上離れた山脈から切り取られ、運ばれたことはまぎれもない事実です。この石をどうやって運び、どうやって組み立てたかについては、いまだに議論が続いており解明されておりません。何しろ400キロといえば東京-大阪間の距離ですからね。イースター島のモアイ像、エジプトやインカのピラミッド、古代で一番固いものと言えば石ですから、それを何らかの宗教儀式に用いるという事は共通認識ではあったにしろ、世界各地に残っているというのも考えてみれば不思議なものです。

 雑誌は一度発行されると余程の事が無い限り、読み捨てられてしまいますが、このナショナル・ジオグラフィック、太っ腹で過去のアーカイブをすべてDVDで残しています。また、この特集はネットでも見る事が出来ます。御用とお急ぎでなかったら下記にアクセスしてみて下さい。