カール・シューリヒト ロマン派序曲集 | geezenstacの森

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カール・シューリヒト

ロマン派序曲集

 

曲目/

1.ニコライ:歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」〜序曲
2.ウェーバー:歌劇「オイリアンテ」〜序曲
3.ウェーバー:歌劇「オベロン」〜序曲
4.メンデルスゾーン:序曲「美しいメルジーヌ」Op.32
5.メンデルスゾーン:序曲「ルイ・ブラス」Op.95

 

指揮/カール・シューリヒト

演奏/南西ドイツ放送交響楽団
録音/1962/09

コンサートホール MS2293
 

 

 19世紀のはじめごろに活躍した3人のロマン主義作曲家による、歌劇、演劇のための序曲、それに、文学的作品の内容を音楽化した一種の音詩とも言うべき演奏会用の序曲が演奏録音されています。 初期ロマン派の音楽に共通する抒情的な美しい作品であり、あるいは爽快でたのしく明るい。 また、あるものは幻想的なニュアンスが濃厚であり、劇的な緊張裡に力強くもりあがる---それは、すべて、ロマン派の音楽の持って生まれた新しい特徴だったのです。

 ジャケット冒頭には上述のような総覧的な記載がありますが(解説:小林利之)、カール・シューリヒトによる演奏では、すべてがシューリヒトらしさで染まって、快速で爽快ながらも生命力を歌心のある円熟した演奏を聴かせてくれます。ジャケットに記載はありませんが、ネットで調べると1962年9月の録音だそうです。多分本拠地のハンス・ロスバウト・スタジオで録音されたものではないでしょうか。

 録音はステレオですが、当時コンサートホールはモノとステレオの両方を発売していました。まあ、コンサートホールの録音ですから、音質的にはそれほど期待できません。このレコードも低域は不足し、高音はやや持ち上げられていて這い上がりの演奏になっています。ただ演奏は曲の持つ華やかさとコケティッシュさをよく表現していてなかなか楽しめる演奏になっています。

 

 

 CD時代になって日本コロムビアから再発されたものはイコライザー補正されていて、かなり聴ける音質になっています。下がその音源を使った演奏ですが、かなり温室のバランスは良くなっています。これは日本コロムビアに保管されていたテープから復刻されたものです。テープヒスはさすがに多いですが、これはオリジナルのマスターに起因するものですからどうしようないのでしょう。確かにロマンティックな表現にふさわしいダイナミックな盛り上がりをこの「オイリアンテ」では感じることができます。

 

 

  ここではウェーバーの序曲が2曲演奏されていますが、オベロン序曲では非常にノリのいい演奏で応えているのも嬉しいところで、シューリヒトもうまくコントロールして聴き応えある演奏に仕上げていますね。もともとこのオーケストラは現代音楽に強いといわれたオーケストラで、この1962年当時は、現代音楽の大御所ハンス・ロスバウトが首席指揮者を務めていました。そんなことで、レスポンスの良さは定評がありました。

 

 

 

  バーデン・バーデンにある南西ドイツ放送も骨のある良い演奏を展開していて、特にメンデルスゾーンの2曲ではダイナミズムも感じます。シューリヒトの店舗は晩年になっても遅くなることはなく、ここでもハツラツとしたテンポで曲を推し進めています。ただ、インテンポで押し切るのではなく、聴かせどころでは店舗を落としてそれ混むロマンティックな表情付けを行なっているなど随所に個性を発揮しています。

 

 

 このメンデルスゾーンとしては渋い選曲の演奏ですが、これらの曲を手堅くまとめています。これで、音がよければかなり注目されたのではないでしようか。

 

 

*シューリヒトを取り上げた記事