エリック・サティのジムノペディ
曲目/
1.サティ/Gymnopédies III & I 6:45
2.サティ/Les aventures de Mercure (Ballet) 13:47
3.サティ/La belle excentrique (Music Hall Music) 4:55
4.サティ/Jack-in-the-Box (orch. Milhaud) 7:03
5.ミヨー/Saudades do Brasil (Suite of Dances) 26:44
6.ストラヴィンスキー/Ragtime 4:43
指揮/バーナード・ハーマン
演奏/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 1
ロンドン・フェスティバル・ブレーヤーズ 2-5
ロンドン・フェスティバル・レコーディング・アンサンブル 6
録音/1971 1.6
1973 2-5
LONDON 421395-2
アメリカのLONDONレーベルで発売された「ウィークエンド」シリーズの中の一枚です。ただ、このシリーズは日本で発売されなかっただけで世界各国で発売されています。もちろんドイツやイギリスではデッカレーベルで発売されていますし、発売されたのが1987年ということで、CDだけでなく、LPやカセットテープでも発売されています。このブログでは以前にホルスト・シュタインのシベリウスを取り上げています。
多分レコードでもこの内容で日本で発売されたことはないのではないでしょうか。元々はフェイズ4のために録音されたバーナージハーマンの2枚のLPからの抜粋で構成されたものです。ただ、このCDはどこにもフェイズ4の表示はありません。オリジナルは、
THE IMPRESSIONISTS/BERNARD HERRMANN PFS4224
Erik Satie And His Friend Darius Milhaud PFS4286
として発売されていました。こんなアルバムですな。
さて、CDではサティの作品にプラスして、ミヨーとストラヴィンスキーの作品が収録されています。最初はサティの代表作の「ジムノペディ」です。元々はピアノ曲ですが、ここではドビュッシーが編曲したオーケストラ盤が収録されています。作曲されたのは1888年ですが、オーケストレーションは1897年になされています。ただ、編曲されたのは1番と3番だけです。「なぜ第2番を編曲しなかったのか?」という問いに、ドビュッシーは「第2番まで編曲して聞かせるには少し退屈だから」と答えたといわれています。また編曲の際、ドビュッシーの意図により元の第1番は第3番として、第3番は第1番として番号をひっくり返している。ということで、演奏は3番1番という順になっています。まあ、通常は1番が演奏されますな。録音がフェイズ四ということで、各楽器は非常にクリアです。ただ通ジョゥのバランスとはちょっと異なるので少々面食らいます。
2曲目のバレエ音楽『メルキュール』は初演はピカソの舞台装置で発表されています。もちろんディアギレフの依頼によって書かれた作品です。前衛的に響きで、賑やかに始まりますが、ちょっとリズムが重たいような演奏になってしまってるのが残念かな。
こちらはダンス・ホールのための音楽でしょうか。「La belle excentrique」は「風変わりな女」と訳されます。元は4手連弾のための作品ですが、自らオーケストラ編曲もしています。中間部のワルツが退廃的な雰囲気を醸し出しています。
パントマイムのための音楽で「びっくり箱」です。この曲はダリウス・ミヨーが編曲しています。
「Saudades do Brasil 」は舞踊組曲『ブラジルへの郷愁』 作品67として知られ、元はダリウス・ミヨーが1920年に作曲した、12曲から成るピアノの小品集です。翌1921年、作曲者自身の手によって管弦楽編曲されたものがここに収録されています。ミヨーは1917年から翌年にかけてブラジルに住んでいました。で、タイトル通りの作品として作曲されたのですが、同じようにブラジルの生活にインスパイアされた作品としては「屋根の上の牛」にも色濃く現れています。
最後のストラヴィンスキーはバレエ・リュッスの繋がりでしょう。1918年に作曲された作品で、制作過程にはアンセルメも深く関わっているようです。作品は11の管楽器のために書かれています。シンコペーションを取り入れた作品ですが、スコット・ジョップリんのラグタイムに比べると、音楽はあまり洗練されていません。
いってみればコンピュレーションアルバムですが、なかなか聴きごたえがあります。以前発売されたデッカのフェイズ4のボックスセットにはこのアルパムは収録されていませんでした。バーナード・ハーマンのものは彼の映画音楽が収録されていましたが、こちらの方が入れられるべきだったでしょうなぁ。今となっては貴重なアルバムです。