クーベリックのシューマン | geezenstacの森

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クーベリックのシューマン

 

曲目/シューマン

Schumann: Symphony #2 In C, Op. 61

1. Sostenuto Assai    11:44

2. Scherzo: Allegro Vivace    6:55

3. Adagio Espressivo    9:20

4. Allegro Molto Vivace    9:27

Schumann: Symphony #3 In E Flat, "Rhenish" *

1. Lebhaft    9:47

2. Scherzo    6:08

3. Nicht Schnell    5:09

4. Feierlich    6:03

5. Lebhaft    6:01

 

指揮/ラファエル・クーベリック

演奏/ベルリンフィルハーモニー管弦楽団

 

録音/1964/09/24-27、1964/02/08,09* イエス・キリスト教会

P:ハンス・ウェッバー

E:ギュンター・ヘルマンス

 

DGG RESONANCE 429520-2

 

 

 クーベリックのシューマンといえばバイエルン放送交響楽団とのものが有名ですが、ベルリンフィルとのシューマン交響曲全集も捨てがたいものです。ドヴォルザークの交響曲全集と並び名盤と扱われています。クーベリックによるシューマンの交響曲全集は、この後の1978-79年収録のバイエルン放送交響楽団とのSONY録音も定評がありますが、このDGへの録音は、気力的にも十分であったクーベリックがカラヤン時代のベルリン・フィルを使って、強力な推進力を駆って果敢にドライヴしている印象を持つほど、強烈な印象を残す演奏です。1963年からクーベリックはDGと契約しベルリン・フィルとのセッション録音を開始。この年、シューマンの第4番の他に、ワーグナーの管弦楽曲集、ヘンデルの水上の音楽他やG.アンダとのシューマン&グリーグのピアノ協奏曲を収録するなど、後に名盤を言われているものを多く収録しています。

 

 1963年から64年にかけて完成し、DGとベルリン・フィルにとっては初のシューマンの交響曲全集となりました。当時の主な独墺圏の指揮者の多くは、シューマンの交響曲に関しては実演では第4番のみ演奏する場合が多かったこともあってDGには交響曲全集がそれまで存在していませんでしたので、若いクーベリックが起用されたのかも知れません。DGのメインのカラヤンも第4番を1957年に録音していますが、それ1曲で終わっています。全集を作ったのは1970年代に入ってからです。とは言いながらもドイツ・ロマン派の典型と言えるシューマンの作品はオケにとっても重要なレパートリーであり、当時40代後半であったクーベリックに対しての評価の高さを示していると言えます。

 

 まあ、それでもカラヤン盤が登場すると、このクーベリック盤はバジェットプライス盤に回されセカンドライフを務めることになります。小生もこうして、グラモフォン・スペシャル1300シリーズでレコード時代全集を揃えました。これもあり、ソニーに録音したバイエルン放送交響楽団とのものはてを出しませんでした。その経緯はこちらでも書いています。 

 

 それで、またCD時代になってからはこのCDを入手した次第です。交響曲第2番は一般的にはいちばん人気のない曲ですが、ジョージ・セルなんかはシューマンの交響曲の中ではいちばん好きな曲だと言っています。まあ、第二楽章なんかは延々と続くヴァイオリンのスピッカートはシューマンのソナタや室内楽にもしばしば見られますが、大編成でこれを要求されると優秀なオーケストラでないと音がゴチャゴチャに聞こえてしまいます。こういうところをきっちりと交通整理する醍醐味が指揮者にはあるのでしょうなぁ。

 

 クーベリックは、強靭なベルリンフィルのアンサンブルをそのままうまく活用して、キリッと引き締まったシューマンの世界を描き出しています。世間一般は後の録音を評価する声が多いのですが、小生はかっちりとしたシューマンが好きなのでやはり愛聴盤としてはこのベルリンフィルをチョイスします。

 

 

 その筋肉質のシューマンはこの第3番でも生かされています。ロマンティックに流れるわけでもなく、いかにも、ライン川はドイツの川というイメージで骨太に描いています。下に代表的な録音の比較を上げておきます。

 

シューマン/交響曲第3番「ライン」比較

演奏/録音年 第1楽章 第2楽章 第3楽章 第4楽章 第5楽章
クーベリック/ベルリンPO(1963) 9:44 6:05 5:06 6:02 6:01
クーベリック/バイエルン放送SO(1979) 10:11 6:15 6:12 6:29 5:50
ボールト/ロンドンPO(1956) 7:27 5:57 5:15 5:26 4:57
ハイティンク/アムステルダムコンセルトヘボウO(1981) 9:54 6:36 5:02 5:32 5:35
セル/クリーヴランド管弦楽団(1960) 9:12 6:16 5:09 5:47 5:50
バーンスタイン/VPO(1984) 9:43 6:26 6:10 6:57 5:28

 

 「ライン」は第1楽章から気持ちの良いほど明朗な響きで演奏される。1960年代のベルリンフィルはカラヤンの作り上げる重厚なハーモニーが特徴だと思っていたが、こんなにも明るい音色を出すことに驚きます。第2楽章と第3楽章は牧歌的で詩情豊かな歌い上げだあるのに対し、第4楽章はまるで寺院にいるかのように、崇高な音楽に取り囲まれる気分にさせてくれます。第五楽章ではメロディラインの繰り返しの箇所は微妙にニュアンスを変えて音楽を躍動させています。

 

 このベルリンフィルとのシューマンはクーベリックの金字塔といってもいいでしょう。

 

 

 このクーベリックのシューマンはこの8月に重量盤LPで復活しています。やはり、名盤なんでしょうなぁ。

 

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