幻想古書店で珈琲を 3
賢者たちの秘密
著者/蒼月海里
出版/角川春樹事務所 ハルキ文庫
本や人との「縁」を失くした者の前にだけ現れるという不思議な古書店『止まり木』で働く名取司。ある日、自らを魔法使いだと名乗る店主の亜門が、書庫の整理をしてくると、店の奥に消えて行った。奥の部屋が気になってしかたがない司は、亜門の友人・コバルトとともに、亜門が入った「秘密の書庫」に向かう。そして、そこで見た光景に驚愕する――。新キャラクターも登場し、ますます目が離せない人気シリーズ第三弾!---データベース---
今回は宗教色が強く、旧約聖書?? 新約聖書??と訳が分からなくて読むのに時間が掛かってしまいました。何しろ無宗教なので・・・今の時代、確かに普通に生きていれば、飢える事も迫害される事もないですよね。なので、信仰する人が少なくなり、自分の力で前に進む方が多いのかもしれませんね。でも、何かあった時には、ついつい神さまの意地悪…と思ってみたり、上手くいった時は、自分の実力だと思ってみたり・・・そんなんじゃあ、神さまも面倒みきれないですよねー。というテーマで始まる第3巻で、以下のような内容になっています。
目次
第一話 司、亜門とかつての自分を振り返る
幕間 秘密の珈琲
第二話 司、亜門の背負うものを知る
幕間 調和の珈琲
第三話 司、亜門とクリスマスを過ごす
この巻から新キャラクターとしてアザリアと風音(かざね)が登場します。前者は強大な力を持つ「大天使ラファエル」、後者はノルマを気にしすぎる天使で、なぜかトーキョー支部の所属です。この小説の中では悪魔と天使は相反する存在なのですが、それは一面的な見方で、歴史の中では聖書の世界を是とし、それ以外の異教を悪として分類しています。ですから、キリスト教がすべてで、その他の宗教は悪なんですなぁ。ちなみに亜門は一般的には、ヨーロッパの伝承あるいは悪魔学に登場する悪魔の1体なのですが、ここでは古代エジプトの神の一人なのです。
さて、本として登場するのは第一話が「あしながおじさん(ジーン・ウェブスター)」、第二話は「すばらしい新世界(オルダス・ハクスリー) 」、そして第三話は「クリスマスキャロル(チャールズ・ディケンズ)」にまつわるストーリーが展開します。
その第一話では婚約破棄された男性が「止まり木」にやってきます。魔法の力で他人の人生を本にすることができる亜門は『あしながおじさん』に込められたメッセージで彼女の本当の思いへと導かせせていきます。そして、幸福は人が作りだしたり見つけ出したりするものを司は実感するのです。
この巻の幕間は、ちょっとヘビーです。書庫の整理と亜門は店の奥に消えてしまいます。暇を持て余しているところにコバルトが現れ亜門を探しに禁断の奥の扉を開けてしまいます。そこは宮殿の大広間とでもいうべき空間で階下に続いています。そして、司はヒエログリフで書かれたパピルスの古文書を見つけます。まあ、亜門の秘密はさらに続くのでしょう。幕間のコーヒーは「コピ・アルク」が登場します。
ある日、司は「止まり木」の扉を見つけることができなくなります。それは大天使ラファエルの結界に阻まれたからです。魔神である亜門との縁を大事にすると言う司を地獄に落とすというエンジェル風音。なんだかファンタジーに磨きがかかったような?怒りにより無慈悲で恐ろしい力を秘めていたコバルトの正体に驚くことになります。
次の幕間の珈琲は「テ・エ・カフェ」です。なんと珈琲に紅茶のアッサムをブレンドしたものです。こんなのがあるんですなぁ。
で、最後は現代的な父娘の飾らないクリスマス物語でした。さて、今のクリスマスはクリスマス・イブの方が盛り上がりますが、昔は曜日の観念が違っていて、クリスマスは24日の日没から始まっていたのですなぁ。で、くだんのイブは英語のeveningの短縮形で、クリスマスの晩という意味なんですな。よってイブはすでにクリスマスの25日な訳です。こんなこともこの本で初めて知りました。
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