レコード芸術 1968年7月号 その2 | geezenstacの森

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レコード芸術 1968年7月号 その2

 

 

 先月号で表紙を飾った海野義雄のメンチャイこの号のグラモフォンの広告です。そこては触れませんでしたが、この録音にはちょうどドイツに居合わせた指揮者の岩城宏之氏がこの録音に立ち会っています。この録音はNDR放送局のスタジオ10という公開放送で使用するところです。客席は400あまりのホールですが、ここでは岩城氏やブーレーズなどが指揮をして、現代音楽のちクルスを定期的にやっているところだそうです。録音はチャイコフスキーの協奏曲から始まり、ものの5分でオーケストラと打ち解けてすんなりとレコーディングがスタートしたということです。

 

 休憩の時にはイッセルシュテットが岩城氏のところに来て、今度この男(海野氏)と定期をやるんだよ、いい奏者を教えてくれたとか言ってニコニコだったようです。このセッションは一曲につき6時間という短時間で録り終えたそうです。

 

 

 この号では当時の注目ピアニストとして、フランス人のエリック・ハイドシェックとブラジル生まれのブルーノ=レオナルド・ゲルバー、そして、マルタ・アルゲリッチがカラーグラビアで取り上げられています。ただ、アルゲリッチは当時はアルゲリッヒと表記されていました。時代を感じさせます。ハイドシェックとゲルバーはこの年来日してツァーを開催しました。でも、ゲルバーはいつしか名前を聞かなくなりましたなぁ。

 

 

 アルゲリッチはこのころプロコフィエフとラヴェルのピアノ協奏曲をアバド/゛ルリンフィルと録音しており、話題になっていました。このレコードは1968年のACCディスク大賞を受賞しています。個人的にはこの時代のアバドが一番輝いていたように思います。こんなショットも掲載されています。

 

スコアリーディング中のアバド

 

ロベール・カサドシュファミリー

 

 この年、カサドシュファミリーが来日し、各地でコンサートを開いています。写真は前列ロベール・カサドシュ、後列左から妻のギャピー・カサドシュ、ロベールの妻、そして息子のロベール・カサドシュです。コンサートではロベールの自作のピアノ協奏曲やモーツァルトの3台のピアノのための協奏曲などを演奏しています。下の写真はニッフィルトの演奏会で、指揮は渡邉暁雄です

 

 この年は結構大物も来日していて、フルートのピエール・ランパルトオーレル・ニコレが同時期に来日しています。下は日本でのつかの間の休暇を京都で楽しむ二人です。

 

 

 二人はコンサートでも共演していて、素晴らしいデュオ・フルートを披露しています。まるで夢のようなコンサートですなぁ。

 

 

 この当時のレコ芸はこういうコンサート表まで載せていて、音楽の友以上に充実した内容でした。もちろんレコーディング情報も抜かりはありません。ハイティンクはマーラーやブルックナーの大曲に取り組んでいましたが、ヨッフムは地道にバッハの宗教曲の録音に勤しんでいました。ステ゜に「マタイ」と「ロ短調ミサ」を録音し終え、この時は「ヨハネ受難曲」に取り掛かっていました。

 

 

 また、ボスコフスキーはニュー・イヤーコンサートの指揮台に立ち、毎年、その年の演奏曲をアルバムに残しています。ボスコフスキーの弾き振りはもはや伝統となっていました。