レコード芸術 1968年7月号
その1
この月の表紙は若き日のウラディミール・アシュケナージのベートーヴェンのピアノソナタ第23番「ハンマークラヴィーア」が使われています。最初はショパン弾きとして台頭し、この時ベートーヴェンのピアノソナタに挑戦していました。その第1弾として発売されたのがこのレコードで、キングもよほど自信があったのでしょう。見開きジャケット仕様に加え、全曲スコアを付けています。俗にいう「ロンドン・デラックス・アルバム」でSLA1003という番号での発売です。また、この年の4月新譜からロンドンレコード発売15周年を記念して「7:1」レコードプレゼントセールを開始しています。
これとは反対にビクターRCAは展開していた「ダイナグルーブ・ソサイエティ」の「7:1」レコードプレゼントセールを廃止する告知をこの号で行っていてキングとは対称的な展開を取っています。ダイナグルーヴ戦略が失敗したということなのでしょうか。小生もこの時代はRCAのアルバムは一枚も所有していません。
ダイナグルーヴ録音の「クラシック・グランプリ・シリーズ」はキングのSLAシリーズと同じ1枚2,300円のシリーズでした。小沢の「トゥランガリラ」もこのシリーズの発売だったんですなぁ。2枚組で4,600円もしました。
広告の枠外にこそっと廃止の告知を載せています。
こちらは間違いだらけのフィリップスの広告です。この年、コンセルトヘボウが来日していますが、ヨッフムとハイティンクの2頭体制でした。しかし、レコーディングではハイティンクがマーラーやこのブルックナーでフィリップスをリードしていました。この告知、下の解説で、交響曲第0番を10番といっていますし、交響曲第9番の販売価格は2,000円の間違いです。このレコードの告知は別のページでも行っていますが、そちらでも間違っています。チエック体制はどうなっていたのでしょうなぁ。
さて、こちらは日本コロムビアの広告ですが、なんと「Amadeo」レーベルのグルダのベートーヴェンピアノソナタ全集が発売されています「Amadeo」はフィリップスから発売されていたのは記憶していますが、この時代コロムビアから発売されていたとは知りませんでした。グルダのベートーヴェンは今でも名盤の一つで、このブログでは取り上げていませんが、小生もCDで真っ先に購入したのはこのグルダの全集でした。