ジャズ名盤セレクション -レーベルとプレスによるLPレコードの音質の差異- | geezenstacの森

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ジャズ名盤セレクション      -レーベルとプレスによるLPレコードの音質の差異-

 

著者:山口 克巳 著  

出版者:誠文堂新光社

 

 

 

 ジャズLPの「凄さ」!!そのすべてを再生するための基礎知識。『オリジナル盤』と『ファーストプレス盤』、どこがどう違う?新しい機器が、新しい名盤を生み出す―カッティングが変ると、音も違ってくる。なぜ?『ブルーノート』が「ハードバップ」にかけた熱い想い。ジャズを「米の文化遺産」として捉えた『リヴァーサイド』の心意気。『コンテンポラリー』は、なぜ古くならない?---データベース---

 

 音楽ファンの間ではLPレコードが賞用され、ジャケットサイズやライナーの読みやすさからも根強い人気を保ってきました。ここ数年は、有名アーティストがCDと同時にLPもリリースし、LPの人気が徐々に高まって生産枚数は飛躍的に増大しています。CDを聴き馴れた音楽ファンは、初めてLPレコードに触れたとき、その音の質感の違いに驚くことでしょう。それはなぜか? 本書はその疑問に答えてくれる1冊です。単なるハードウエアの解説書ではなく、LPそのものの魅力を味わう内容となっていて、ジャズの名盤にさまざまなヴァージョン違いがあること、プレスを重ねるたびに音質が変わっていくこと、レーベル再編でそれまでと異なる会社から発売されることがあること、レコードジャケットの変遷などを詳しく解説。ジャズのレコードコレクター必見の内容です。

 

 「オリジナル盤」と「ファーストプレス盤」の違いは? カッティングが変わると、音も違ってくるのはなぜ? 「LPレコード」という媒体から見た「ジャズレコード」のさまざまな姿を紹介。『MJ』連載等をもとに単行本化したものがこの本になります。以前に山口氏の「LPレコード再発見」という本を取り上げていますが、その時も思ったのですが、雑誌掲載のままでの単行本化で紹介しているレコードのジャケットは全部白黒でした。カラーではなかったんですなぁ。なんでこんな中途半端な出版になったのだろうと思っていたのですが、その集大成峰として発売されたのがこの本となります。ここでは、ほぼほぼ全部がカラーページになり、アルバムやレーベルの変遷などもカラーで確認することができます。

 

 アトランティックは一時期ロンドン-キングで国内盤が発売されていたんですなぁ。

初期盤でも発売時期によってデザインが変更されている例です。

モノラルとステレオレコードのジャケットの違い

 

 アメリカ版の多くは共通のデザインを使っていながら印刷位置をずらしてジャケットら使用することによってモノラルとステレオを使い分けていました。そのため、ぱっと見同じに見えますが天地の位置どりが違います。シェリーマンの「マイフェア・レディ」なんかものではしっかりティーカップが写っていますが、ステレオ盤はほとんどカットされています。

 

コンテンポラリーレコードのレーベルデザインの変遷

 

 さて、この本てはレコードのカッティングやプレス機の違い、はたまたはLP初期は丸針、後期は楕円針ということで発売時期の違いにより、カッティングも違っていることが書かれています。要するに内周での歪みの違いがあるわけです。初期はRCAのダイナグルーヴ録音が丸針対応のレコード、後期は東芝のPTSクリアーサウンドによるカッティングが歪み是正に効果があったようですが、いずれも短命に終わっています。

 

 レコードの一般的な製造工程です。何度も凹凸の製盤をへて最終レコードがプレスされていることがわかります。レコード末期にはメタルマスターから直接プレスする方法でも発売されました。テルデックのDMMカッティングというものでしたがこれもあまり普及せずに終わりました。

 

 ジャズを中心に描かれていますが、レコード本体についてもくわすく解説されていますのでレコード好きにはたまらない一冊でしょう。