探偵・日暮旅人の探し物 | geezenstacの森

geezenstacの森

音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

探偵・日暮旅人の探し物

 

著者:山口 幸三郎

出版:アスキー・メディアワークス メディアワークス文庫

 

 

 保育士の山川陽子はある日、保護者の迎えが遅い園児・百代灯衣を自宅まで送り届ける。灯衣の自宅は治安の悪い繁華街にあり、日暮旅人と名乗る灯衣の父親は探し物専門の奇妙な探偵事務所を営んでいた。澄んだ目をした旅人と、人形のように美しい灯衣。名字の違う不思議な親子に興味を惹かれた陽子はたびたび事務所を訪れ、旅人が持つ能力を知ることになる。音、匂い、味、感触、温度、重さ、痛み。旅人は、目に見えないモノを“視る”ことで探し物をしているというのだが―。---データベース---

 

 このアスキーメディアワークスの文庫本では以前「ビブリア古書堂の事件手帳」シリーズを取り上げていますが、それ以来の読書です。久しぶりに接したこともあるのでしょうが、ワクワクして読むことができました。この小説、一応タイトルにあるようによ探偵ものなんですが、普通の探偵物とは一味もふた味も違います。このシリーズ自体のポリシーがライトノベルというか、一昔前でいうジョブナイル小説に近い感覚で読むことができます。

 

 最初にプロローグ的に「椅子の声」のエピソードが語られます。本編には全く関係のないストーリーですが、主人公の日暮旅人の不思議な能力の片鱗を知ることができます。この探偵、本職は探し物です。ということで、殺人事件は起こりません。そんなこともあり、ファンタジーな展開になっています。本格的探偵小説を望むなら、この小説はがっかりするでしょう。

 

 ライトノベルということで、主人公は若者です。主人公に絡むのは保育士の山川陽子、どうも、この山川陽子は主人公の幼馴染なのですが、日暮旅人はそのことを隠します。日暮旅人には血の繋がらない幼稚園児の百代灯衣がいます。この灯衣は陽子の務める幼稚園の園児です。ちょっとキャラクターの設定が名探偵コナンに登場する灰原あいを彷彿とさせます。さらに、旅人は視覚以外の感覚がないという特異な体質の持ち主ということで、彼の探偵事務所をサポートする雪路雅彦というチンピラまがいの男が絡みます。

 

 これはシリーズ第1作ということで、それぞれのキャラクターを紹介する程度の展開ですが、それぞれのエピソードを使ってうまく全体像がわかるような展開になっています。この小説、すでに2017年には日本テレビ系でドラマ化されていますから知っている方も多いのでしょうかねぇ。小生はドラマはほとんど見ないので、この小説は新鮮でした。

 

 さらに、コミック化もされています。こちらは要点をうまくまとめていて、さらに視覚でそれこそ小説よりも克明に主人公の5感を表現していますからこちらもお勧めです。下はその第1巻分が読めます。

 

https://www.cmoa.jp/bib/reader/main.html?cid=0000104740_jp_0001&u0=1&u1=0&rurl=https%3A%2F%2Fwww.cmoa.jp%2Ftitle%2F104740%2F