ルパン三世 第4話 中編 | 成田家の徒然なる日々 ~16th Season

成田家の徒然なる日々 ~16th Season

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↑ 前編の続きです。

 

「俺はルパンじゃないぞ。偽物んだ。無罪だ。助けてくれぇ~」(ルパン)

「見てろ。奴はきっとやる。奴は必ず脱獄するぞ。

だが何時だ? 奴は今あの独房の中だ。全く信じられん」(銭形)

「あ~~~」(不二子)

「また!」(不二子)

「しつこい女だなぁ」(次元)

「誰か来てくれぇ。ルパンが逃げるぞぉ」(ルパン)

「ふん」(警官)

「こいつだ。こいつがルパンだ。着てくれぇ~ 捕まえろぉ~」(ルパン)

「バカ! キ〇ガイ」(警官)

「俺はルパンじゃなぁ~~い! 俺はルパンじゃなぁ~~い」(ルパン)

「何故だ? 何故、奴は叫ぶばかりで逃げようとしない? もう半年近くになるというのに」(銭形)

「逃げられないですよ。こんな厳重な警備は世界中探したって、ありゃしません」(警官)

「馬鹿もん! 俺は奴の事を知り尽くしている。困難があればあるほど奴は燃える!

メラメラとな。本当に見事な奴なんだよ。あえぇぇ~~」(銭形)

「あぁぁ~~」(不二子)

「止しな。無駄だよ」(次元)

「うん!」(不二子)

「もう春か …」(銭形)

「さすがのルパンも観念したようですな」(警官)

「馬鹿もん。奴を誰だと思ってるんだ。ルパン三世だぞ。俺が … この俺が人生を賭けて追い続けた男だ」(銭形)

「まるで警部はルパンに脱獄して欲しいかのようですな」(警官)

「何? 馬鹿を言うな。油断するなと言ってるんだ」(銭形)

「あぁ~~ もう! 一体どういうつもりなの? このままじゃ箱は開かずじまいよ。分からずや!」

(不二子)

「もう間もなく確実にルパンの刑は執行される。

ルパン … 何てこったルパン。信じられん。もう一年になろうとしているのに一度も脱獄を企てんとは

次元? そうだ、次元大介はどうしたんだ? 次元、ルパンを見しにする気か? もう誰でもいい。何とかしてくれ。何でもいい。このままじゃ納得がいかん」(銭形)

「まさか本当に処刑されちまう気じゃあるまいな?」(次元)

「ん?」(次元)

「開けろ」(銭形)

「はっ」(警官)

「いよいよ今日が最期か … 一年間ご苦労だったな。それにしても元気そうじゃないかルパン?」

(銭形)

「気をつけろ! この銭形警部こそ本物のルパンだぞ!」(ルパン)

「ルパン、貴様、狂ったな?」(銭形)

「和尚、後30分で奴の刑は執行されます。今日が最期。お願いします」(銭形)

「うむ。ご免」(和尚)

「またかい。この一年、毎日の様にツラ出してやがる。見飽きたぜ、タコ坊主」(ルパン)

「どうじゃ。少しは仏の御心が分かったかな?」

(和尚)

「次元 …」(ルパン)

「ルパン、一体どういう気なんだ?」(次元)

「次元かぁ … いや長い付き合いだったが、いよいよ、おサラバって事になったぜ」(ルパン)

「さぁ」(次元)

「おい!? 何を企んでいるんだ?」(次元)

「何も企んじゃいないさ。素晴らしいゲームを楽しんでいるんだ。

処刑か脱獄か、万に一つの失敗も許されない際どいゲームをな」(ルパン)

「どうしたルパン? 気でも違ったのか?」(次元)

「正気だよ」(ルパン)

「無茶だルパン!? 素手じゃ何もできん」(次元)

「次元、やれるかやれないか俺の勝手にさせてくれ」(ルパン)

「ようし分かったよ。お前は生まれつき贅沢なんだよな。好きにするさ」(次元)

「ありがとう。後、何分だ?」(ルパン)

「ん~ 後20分程だな。お前がんじまったら銭形の旦那も生きがいを失って悲しいだろうぜ」(次元)

「時間ですが」(警官)

「ま、御仏の慈悲におすがりなさる事じゃ。成仏しなされ。南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏」(次元)

「済みましたぞ警部」(次元)

「何か奴に変わった様子はありませんでしたか?」(銭形)

「ん~~ 御仏の心が通じたようですな。南無阿弥陀仏。

南無阿弥陀仏」(次元)

「和尚」(ルパン)

「私をお呼びかな?」(次元)

「和尚、タバコくれよ」(ルパン)

「警部、よろしいかな?」(次元)

「遂に俺の刑執行か …」(ルパン)

「奴等、身体検査の時に一つだけ見落とした所がある。

この爪だけが剃刀になっている事をな。

ふふん … 無理をすりゃ、この一年間いつでも脱獄できた。だが俺は待った。

最後の一瞬に賭けたんだ。生との境目って所にな」(ルパン)

「おい、ルパン。ちょっと、こっちへ来い … 早くせんか。

何をしてたんだ?」(銭形)

「いやいや別に。ところで警部、髭を剃ってくれ。

このままで、あの世に行ったら閻魔大王がビックリしちゃうもんな」(ルパン)

「ふふん。殊勝な心掛けだ」(銭形)

「ああ言ってはいますが奴は、この一年、髭を剃る事をひどく嫌がっていたんであります」(警官)

「聞いてやれ。それが法の慈悲ってもんだ」(銭形)

「はっ」(警官)

「ほら」(警官)

「静かにしな。

いいか。少しでも騒いでみろ。ここで静かにさせてやるぞ。俺の言う通りにしてもらおう」(ルパン)

「あ~~ これで奴ともお別れか」(銭形)

「は?」(警官)

「ん、あぁ、うん。これで世間も静かになるってもんだ」(銭形)

「良かったですな」(警官)

「ルパンが脱獄したぁ~~」(警官)

「やった! 遂にやったぁ~」(銭形)

「ん?」(銭形)

「何だ。いるじゃねぇか?」(銭形)

「また例の騒ぎ出したんです」(警官)

「警部! 謀られた!」(ルパン)

「けっ」(銭形)

「騙されるな。奴の計略だ」(ルパン)

「いい加減にしろ」(銭形)

「違う。この男は偽物だ」(ルパン)

「また同じ事を言ってます」(ルパン)

 

↓後編へ続く。